さて、2015年も東京には次々と新しいカレー屋が登場しました。
まずはそのトレンドというか、傾向を少しおさらいしてみましょう。
傾向1:呑めるカレー屋「カレー居酒屋&BAR」の増加
カレーを一皿いただいて終わり、ではなく、お酒やスパイスおつまみを楽しみながら寛げるお店は女性にも人気で、これからもますます増えていくことでしょう。
傾向2:日本の旬の食材・調理法を融合させたスパイス料理
インドなどのスパイス料理に、日本の旬の食材や、調理法を融合させ、世界中そこでしか食べることができない、新しいスパイス料理を開発するお店が増えてきました。
グローバリゼーションとローカリゼーションを併せ持つこの流れは東京と大阪から地方へと拡大し、独自のカレー文化となっていきそうです。
傾向3:「間借り」から誕生する人気店
SNSやキュレーションサイトが盛んな昨今、間借り営業でファンを獲得してのち、実店舗をオープンする流れが盛んになってきました。
その数は現状、市場があまりに広すぎて分散する東京よりも大阪のほうが多いのですが、そんな中でも、東京で間借りのうちから人気を博するお店は、真の実力店といえるでしょう。
傾向4:外国人コミュニティにおけるマニアック料理の開放
東京にはインド、ネパール、バングラデシュ、ミャンマーなど、多くの外国人コミュニティが存在します。しかしそれらは長い間、それぞれのコミュニティの中で閉じていて、そこで供されている現地人向け料理が一般の目につくことがあまりありませんでした。
が、これもネット情報の細分化と大きくかかわることですが、「より本物」を求めるマニアの声と、現地人のニーズが合致した、マニアックな料理を堂々と提供するお店が急増したのが2015年。
しかしもちろん、それらのお店をマニアだけで支え切れることはなく、充分なコミュニティの受け皿があることが前提ではあります。
様々な食文化が交錯する東京、
そこでしか生まれ得なかった素晴らしいカレーを提供しはじめた、綺羅星のようなルーキーたち。
今回はその中から厳選した10店をご紹介。
これからの東京カレー界をリードする、新世代の名店揃いですよ。
1.カレーとスパイスの無限の可能性に挑戦する、縦横無尽の鬼才。「インド亜大陸食堂 カルパシ」(浅草)
2015年10月7日オープン。
店を持たず、イベント等で縦横無尽なカレーを提供、
コアなカレーファンや南アジア料理マニアから絶大な支持をうけていた、
関東インディーズカレー界の超人気者、Be Spicy KURO氏のお店。
多くのカレーファンが待ちわびていた、真打ち中の真打ちです。
場所は「日本最古の地下街」、浅草地下街。
日本酒BAR「コメジルシ」の平日ランチ時の間借り営業でのスタートです。
このお店が面白いのはスリランカ、ネパール、南インド各州、日本と、週ごとにカレーのテーマが変わるスタイル。
そのどれもがウルトラマニアックでありながら、ただ現地の味を再現しているだけでないのがこの店の良さ。
マニアでない客が食べても「美味い!」と驚くそのチューニングはまさに独自の才能です。
唯一の問題は、あまりに情熱と手間を注ぎすぎるため、一日の提供数が限られていること。
現在は朝早くからの整理券配布などで対応していますので、お店の公式twitterやFBページをチェックすることをお勧めします。
紹介しているお店はこちら!
店名:インド亜大陸食堂Kalpasi
住所:東京都台東区浅草1-1-12 浅草地下街15
※「コメジルシ」の平日ランチ時間借り
お店の公式FBページ https://www.facebook.com/kalpasi96
2.スパイス料理×旬の食材=未だかつて無かったカレー膳。「ハブモアカレー」(表参道)
2015年10月20日オープン。
シェフは2015年、新宿「curry草枕」の厨房で働きつつ、水曜限定の間借りで要町「ハブモアカレー」をスタート。
インド料理を基軸としながらも、まるで「京のおばんざい」であるかのように、季節の美味しい食材を愉しむ独特のカレープレートを提供しはじめました。
その独特のカレーは瞬く間にネット上でも評判となり、半年も経たないうちになんと、表参道に実店舗をオープンしてしまったのです。
「カレーは和食」を独自解釈で追求するその姿勢、カレーマニアでなくとも毎日食べたくなるその味わいは他にないもので、Japanese Curry Awards2015の新人賞にも選出!
農家から直接仕入れした、珍しい西洋野菜も楽しく、毎日ちょっとずつ変化していくその内容が、移り行く季節も感じさせてくれる、とっても素敵なお店なのです。
紹介しているお店はこちら!
店名:ハブモアカレー(have more curry)
住所:東京都港区北青山3-12-7 カプリース青山 B1F
電話:03-3407-7001
紹介しているお店はこちら!
- HAVE MORE CURRY
- インド料理 地下鉄千代田線 表参道駅 徒歩3分
※このお店のページは現在ご利用いただけません
3.インド料理が日本で進化。独特の”重ね煮カレー”「Curry & Spice 青い鳥」(幡ヶ谷)
2015年12月22日オープン。
こちらのカレーの特長は、「重ね煮」。
食材を「陰陽」順に積み重ねて、少ない水で煮るという料理法で、
自然の素材の持つ本来の甘味やうまみを引き出すため、最小限の調味料で美味しい料理を作れるというもの。
インドのアーユルヴェーダが中国へ渡り発展した「陰陽思想」。
それが日本へと渡ったのち、このお店でインド料理へとフィードバックするというのですから、実に興味深いカレーなんです。
シェフはヨガ、アーユルヴェーダ、アロマ、漢方などを総合的に実践、インド料理研究家の先生に師事し、さらに「スパイス&ハーブ居酒屋 やるき」での勤務を通じてスパイス居酒屋のあり方を学んだ女性。
いわば「スパイス料理の総合格闘家」だからこそ発想できるカレーというわけです。
そして共同経営する旦那さんはなんと・・・ホンモノの総合格闘家!
南インド料理を基調としながらも、「重ね煮」という独特な手法と生き生きとした食材を駆使し、
独自の世界観を持つカレーに昇華させた、とっても魅力的なこのお店。
今後はインドに加え、スリランカなどのエッセンスも自由に取り入れていくかも、とのこと。
ここにしかない「重ね煮カレー」が今後どのように進化していくのか、目が離せません。
紹介しているお店はこちら!
店名:Curry & Spice 青い鳥
住所:東京都渋谷区 幡ヶ谷2-47-12 2F
電話:03-6276-0082
4.独創カレーで酒が進む!板橋の新星。「ライモンディ」(大山)
2015年8月16日オープン。
一見、路地裏の隠れ家居酒屋。
しかし・・・ここで出てくるカレーが只者じゃないんです。
まずは「国産トリ肉とカブのやさしいスープカレー」
スープカレーと言っても北海道のそれとは違ったオリジナル。
引き算されたシンプルなスパイス使いで鶏肉と野菜の旨みを引き出した一品。
油っぽさもなく、スッとした味わいながら、物足りなさは全く感じない絶妙のバランス。
カレーとしてもかなり美味いけど、酒とともにいただく和食としてもかなり美味い一品!
そして、「豚バラとパインのカレー」
パインですよ、パイン。そこに豚ですよ、豚。
そう来たら酢豚かっ、って思いもしますがもちろん全然違って、ココナッツミルクも使っていて、
酸味たっぷり、インドのアチャーリーチキンのような味。
かなりトリッキーで面白いカレー。いわゆる、記憶に残る味ってやつです。
実はこちらの店主、「徳丸パラダイス食堂」という屋号で池袋界隈で移動販売を10年ほど続けていたお方。
が、お店の評判が上がるにつれ、行列が大きくなり、移動販売が出来なくなったんだとか。
まだまだ無名のこのお店。
カレーマニアな皆様方が「何これ美味い!」なんて騒ぎ始めるのは、まだこれからです。
今は超穴場。
百聞は一食に如かず。
紹介しているお店はこちら!
店名:ライモンディ
住所:東京都板橋区大山東町15-3
電話:03-6909-6290
5.南インド料理の巨匠、鳴り物入りで新店オープン!「ヴェヌス」(錦糸町)
2015年6月3日オープン。
Venusと書いて「ヴェヌス」。
実はここ、東銀座の南インド料理の名店「ダルマサーガラ」、西葛西「アムダスラビー」で腕をふるった名シェフ、ベヌゴパールさんのお店。
しかもこのお店をプロデュースしたのは、同じ墨田区にある名店「スパイスカフェ」の伊藤シェフ。
もう、オープンした瞬間から名店、ということでカレーマニアの間では凄い話題になりました。
ディープ化が進む錦糸町。
北口にはこの「ヴェヌス」、南口にはバングラデシュ人向け「アジアカレーハウス」と、カレーマニアの天国となりつつあります。
「ヴェヌス」については以前別の記事で詳しく書いているので、こちらもどうぞ。
▼待望の新店オープン!南インド料理の名シェフのお店が錦糸町に
https://mecicolle.gnavi.co.jp/report/detail/6714/
6.名シェフが磨き抜いた、インド料理の洗練。「ナンディニ」(清澄白河)
2015年2月9日オープン。
南インド料理の新店、といえばこちらも見逃せません。
シェフは神谷町の名店「ニルワナム」のシェフを務めていたマハリンガム氏。
「アムダスラビー」のシェフを経て、この「ナンディニ」を立ち上げました。
アットホームでありながら、洗練された雰囲気、テキパキとした接客。
そして、南インド料理に限ることなくシェフの個性がいかんなく発揮された、独創的なインド料理の数々。
料理のクオリティに関しては言うことありません。完璧!
大切な人との食事会などにどうぞ。
7.酒も料理もスパイシー!スパイスバルの新境地。「スパイスバル317」(三軒茶屋)
2015年10月1日オープン。
ちょっとしたスパイス料理を摘まみながらお酒を楽しむ「スパイスバル」という業態は、東京カレーシーンの中でも大きな潮流。
カレーライスをガッツリ食べてお腹いっぱいになる、だけでなく、
ガチのインド料理、みたいにジャンルを限定するでもなく、
1軒目でも2軒目でも気軽に寄れて、その日の気分でちょこっと食べたり、いろんなメニューを楽しんだりできる。
そんな自由さが、カレーとスパイス料理の需要をグッと拡げつつあります。
なかでも注目のこのお店、料理だけじゃなく、お酒もスパイシーという面白い仕掛け。
営業も26時までと、梯子の〆にちょっとカレーとお酒、なんて使い方が楽しめます。
オススメは「酒米のリゾット マトンカレーソース」
絶品ですよ。
紹介しているお店はこちら!
8.ネパーリータウン新大久保はここまで来た!ネワール族のご馳走を東京で。「ナングロ」(新大久保)
2015年12月4日オープン。
長くコリアンタウンとして知られてきた新大久保の街、実は昨今、急速なネパールタウン化が進んでいるんです。
新宿区在住のネパール人口は約2800人と、5年前の3.5倍に。
それに伴って、近隣在住ネパール人を見込んだ現地式のネパール料理専門店が続々オープンしています。
中でも「とうとうここまで来たか!」と感動せざるを得ないのがこちらのお店。
カトマンズ盆地一帯に居住するネワール族の本格料理が、現地スタイルでいただけるんです。
写真は「NEWARI SAMAEBOUZI SET」
ネワール族の祭や家族の集いなどで「スターター」として供される料理だそう。
四季を通じ提供するため、干し米チウラを中心に、保存がきくいくつかのおかずを組み合わせたセットです。
さらに痺れるのは「タパリ」と呼ばれる葉っぱでできた皿。
薄くて割れやすいし、ネパール本国から持ってくるだけでも大変でしょうに・・・
紹介しているお店はこちら!
9.No Curry!No Life!カレーを愛する者たちが集う溜まり場。「カリ~ビト」(飯田橋)
2015年9月11日オープン。
「東京カリ~番長」に強い影響を受けカレーに開眼したマスター。
「カリ~ビト」オープン以前にもカレーを500軒食べ歩いたり、渋谷のイベントでカレー提供したり、竹ノ塚のお店で間借り営業したりと、めっちゃアクティブなカレー好き。
お店のキャッチコピー「NO CURRY, NO LIFE」は伊達ではありません。
「Curry & Spice Bar カリ~ビト」という正式店名の通り、ビールに焼酎、ワイン、ホッピーと、お酒がズラリ。
合わせるスパイスつまみも充実しています。
ゆるゆると寛ぎながら、カレーとお酒を楽しむその空間は、カレーLoverたちの溜り場。
お店の必殺メニューである「粗挽きキーマカリ~」はマスト!!
10.カツカレー史上最高クラスに旨いカツ!「いっぺこっぺ」(蒲田)
2015年2月オープン。
蒲田の名店「とんかつ檍」(あおき)がすぐ隣で始めた、カツカレー特化型のカレースタンド。
行列必至の「檍」のカツがサッと気軽にいただけるなんて、実に素晴らしい。
こちらにも行列ができていることがありますが、業態がカレースタンドですから割に回転は良い感じです。
「檍」同様に、レアでもいただけるという林SPFポークを使用したカツは、涙が出るほどのクオリティ。
ミチミチミチッと弾力がありながらも、キレの良い食感。
脂少ない赤身から染み出る旨み。
サクッと繊細な衣。
こちらのカツカレーに限っては、カツが主役でカレーは脇役だったとしても、許さざるを得ない旨さなんです。
紹介しているお店はこちら!
店名:とんかつ檍のカレー屋いっぺこっぺ
住所:東京都大田区蒲田5-43-7