1974年開業の『吉村家』を元祖とし、神奈川県内をはじめ全国に広がる一大系統。長時間炊きこんだ豚骨スープ(鶏ガラ含む)に、たっぷりの鶏油(ちーゆ)を浮かべる独特のスタイル。味濃いめ、油多め、麺硬めなど自分好みにカスタマイズでき、具はのり3枚、ほうれん草、チャーシューが基本。麺は『酒井製麺』の太縮れ麺が本流で、『菅野製麺』『山田食品』など家系ラーメン用の麺を積極的に取り入れる製麺所は多い。今では『吉村家』店主・吉村実氏に始まる家系ラーメンを掲げるお店は全国数百店におよび、家系総本山の『吉村家』には毎日平均1500人以上が入るという盛況ぶりだ。
今回は横浜家系ラーメンの始まりから現在までの歴史と共に、厳選した5軒を紹介する。
※『吉村家』認定の直系のお店は、『杉田家』『はじめ家』『高松家』『厚木家』『上越家』の5軒。
1.『吉村家』不動の家系総本山
トラックの運転手から始まりラーメンショップを経て、元家系総本山の『吉村家』を杉田に開業したのが40数年前。首都圏ではまだまだ濃厚系ラーメンが少ないなか、豚骨・鶏ガラを濃厚に炊いた家系ラーメンの元を作り上げた店主の吉村実氏。98年頃のTVで行列と白タオルを頭に巻いた店主が弟子に檄を飛ばしていたのを覚えている。99年、杉田から横浜駅の西口に移転。1店舗で1日平均1500杯以上を売り上げるという、今なお翳が見えない人気を保っている。焼き豚にこだわるチャーシューや、緑色の行者ニンニク。また家系全般的に青磁の器を使用するのに対し『吉村家』は黒丼で提供。スープ濃度・カエシのキレ・麺のモチモチとした食感ともに、総本山と名乗るにふさわしいスペックを備えている。
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2.『六角家』家系ラーメンを全国に発信したカリスマ
『吉村家』、『本牧家』に続く3番目の家系ラーメン店として1988年横浜市六角橋に誕生。1994年『新横浜ラーメン博物館』開業の際に、ご当地ラーメンとしての「横浜家系ラーメン」の代表として『すみれ』や『一風堂』とともに出店した家系ラーメンのエース格。他の家系ラーメンに比べ若干ライトに感じるスープだが、豚骨・鶏ガラを24時間炊き続けることによりしっかりとエキスが溶け込んでいる。また家系店舗でよく見かけるサイドメニュー「キャベチャー(キャベツチャーシューご飯)」は『六角家』が発祥とされ、「キャベチャー」を提供するお店は『六角家』出身であることが多い。
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- 六角家
- ラーメン店
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3.『武蔵家 日吉店』家系スタンダードな味わいで多店舗展開する尖兵
こちらは新中野に本店を構える『武蔵家』の系統。『六角家』の流れの老舗『たかさご家』出身店で、現在では首都圏に20店舗以上を構える家系一大勢力。今勢いにのる『武道家』を排出した家系ラーメン店としても有名。濃度・塩分ともに家系標準レベル。家系御用達の『酒井製麺』ながら若干線が細く食べやすいのが特徴的か。『武蔵家』の価格はお店により異なるがこちら日吉店は一杯並で650円という学生街価格。さらにご飯無料という大盤振る舞い。常に店内は学生客で混み合う日吉を代表するラーメン店だ。
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4.『田上家』吉村家直系のクオリティを堪能できる新鋭
2014年10月オープンながら確実なラーメン作りで定評を得る家系ラーメンの新鋭。店主は総本山『吉村家』元直系の柏『王道家』出身。黒丼やモモ肉の燻製チャーシューからも、その出自が連想できる。醤油感が強く、豚だけではなくしっかりと鶏の味わいを堪能できる正統派家系スープ。『酒井製麺』のモッチリとした特製麺との相性も抜群。焼き豚ながらしっとりとした食感のチャーシューはまじめに丁寧な仕事を物語る。オープン早々、講談社『TRY大賞』にて新人賞を受賞するなど、業界の注目度が高い。
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- 田上家
- ラーメン 横浜市営ブルーライン 弘明寺(横浜市営)駅 1番口 徒歩6分
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5.『麺屋庄太 六浦店』家系イズムを継承する実力派豚骨ラーメン店
本店を津久井浜に構える『麺屋庄太』の2号店。店内に入るとむせるような豚骨香。ありがちな臭みではなく湯気にのって漂う鮮度の高い香りに期待が高まる。提供されたのはいわゆる豚骨醤油ラーメン。店主の出自が家系(横横家)にあることから醤油色が強く塩味も強め。そして羽釜でドコドコと炊き込んだ豚骨スープが合わされ、九州系の深いコクに家系の醤油感が加わる。濃度先行の豚骨ラーメン事情にありながらあえて濃度はおさえ、炊き立てのフレッシュなスープでオリジナリティを出す。飽くなき探求心に今後の活躍も期待したい。
※家系ラーメン店ではないが、家系出身かつ家系らしさも感じるオススメラーメン店のため掲載