ファッションや芸能・グルメなど、常に文化の発信地として不動の人気を誇る銀座界隈。時代のニーズとともに姿を変えてきたこのエリアで、ラーメンも例外ではなくたくさんのお店が登場し、豚・鶏・魚介はたまた淡麗・濃厚など様々な味にチャレンジしてきた。そんな日本の中心に位置する激戦区で、戦前に創業した老舗から今年オープンの新鋭まで、切磋琢磨しラーメンを提供する選りすぐりの5軒をご紹介します。
1.【pour cafe】山形冷やしラーメンを、カフェテラスでいかが?
こちらで特記すべきはその銀座というロケーションやお洒落な雰囲気も去ることながら、まずハイレベルな「山形水ラーメン」になる。山形のご当地ラーメン「冷やしラーメン」を参考にして作られたというそのメニューはやはり東北ならではの特徴である煮干しを効かせた醤油味。冷製になるためもちろん動物系の食材は使用せず(油が凝固するため)、ホタテや椎茸など高価な食材を投入し、ガラに負けない旨みの抽出に力を入れる。そして、表面に浮かぶのはネギ油(オリーブオイル使用)。ラーメンとして成立させるために適度な油分を加え、丼一杯の充足感を誘う。
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2.【麺屋ひょっとこ】取材拒否!?メディアで紹介されない行列店
有楽町にある「東京交通会館」。都内に住んでいる方ならパスポートの申請で一度は訪れる場所かもしれないが、他の用事ではなかなか馴染みのない場所だ。しかし、この建物の地下に昭和レトロを中心にグルメ街が広がっていることはなかなか知られていない。そしてその一角に連日行列を作る人気店がこちらの『ひょっとこ』だ。味はシンプルに「和風柳麺」と「和風柚子柳麺」の2種のみ。オススメは柚子の方で、淡麗な鶏魚介スープに鮮やかに柑橘が香る唯一無二の味わい。低加水タイプの麺にはスープが染み込み、厚めのバラチャーシューが満腹感を誘う。
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3.【銀座 篝】 長蛇の列が示す芳醇・濃厚「鶏白湯革命」
ジャンルを問わず、美食の名店がひしめく銀座界隈において、一際異彩を放つ行列店がこちらの『篝』だ。訪れた人に至福の笑顔をもたらすラーメンは、黄金色に輝く「鶏白湯SOBA」。とろみのあるポタージュのようなスープに鶏の旨味が凝縮し、クリーミーな舌触りが心を癒す。鶏ムネ肉のチャーシューは淡白な味付けで素材を引き出し、旬の野菜が彩りを飾る。白木が基調の小料理屋のような店内に、割烹着の職人。お店の清潔感が、銀座を闊歩する女子の支持をも集める。人がすれ違うのがやっとの細路地に吸い込まれるように続く行列が、ラーメン業界に一石を投じた同店の人気の証明。
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- 銀座 篝
- ラーメン 東京メトロ丸ノ内線 銀座駅 C8口 徒歩1分
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4.【ふぐだし潮 八代目けいすけ】 けいすけの八代目は数寄屋橋交差点で「ふぐ」!
かつての「けいすけ」にない和の雰囲気漂う店内。古伊万里柄の華やかな丼でラーメンが提供される。透き通ったスープから押し寄せる風味はやさしく繊細なふぐ。オリジナルの塩ダレがほんのり甘く、ふぐの淡麗な持ち味を引き立てる。アクセントになるのは白菜のシャキシャキとした清涼感で、ラーメンに使用する食材として珍しい。麺はコリコリとした食感が印象的な自家製麺。殻ごと挽いた全粒粉を使うもので、細麺ながら存在感は十分。スープをしっかりと持ち上げる。メインのトッピングとして鎮座するのは『けいすけ』渾身の昆布〆ふぐ。しっとりとやわらかく、昆布の旨味がのった贅沢な一品だ。
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5.【中華そば 萬福】 ラーメンの変遷を見守る銀座の大御所
大正時代に屋台を引き始め、昭和4年に店舗を構えたという東京を代表する老舗ラーメン店。戦前から変えていないというスープは、鶏ガラ煮干を主体としたあっさりとした味わいで、荻窪界隈に先んじて魚介出汁を使用していたという事実は歴史的に興味深い。創業当時から変わらない黄色い三角の玉子焼がトレードマークの中華そば。ショウガがほんのりと香るノスタルジックなスープに魚介の旨味、中華料理店ならではのネギ油が適度な食べ応えを演出している。日本の中心と言っても過言ではないこの界隈で、ラーメンを提供し続けること一世紀。ラーメンを語る上で欠かすことのできない名店だ。