5年前に、私が監修するラーメンガイドブックで「ラーメン界に異業種参入!」的な特集をやったのですが、最近また新たに情報が入ってきたので、再度まとめてみました。和食や焼き肉、洋菓子店にいたるまで、様々な専門店で提供される、普段のラーメンとは一味違う絶品ラーメン。この特集を読んでいただきラーメンに対する視野を広げていただければ幸いです。
1.『星火@自由が丘』和食の技術で構成される重層スープ
自由が丘駅より少し歩き、住宅街にさしかかるあたりに現れるお洒落な空間。渋谷の人気割烹『食幹』にて腕を磨いた店主による和食料理店だ。魚の刺身や炭火焼きなど、オープンカウンターよりうかがえる確かな技。流れるような作業の中に一際目を引く調理工程が見てとれる。ラーメン店でよく見かけるそれだ。主役とばかりに茹で麺機が存在を主張し、彩り鮮やかな有田焼の丼が中身への期待をあおる。大山地鶏をじっくりと煮出し、煮干鯖節など魚介系の食材で旨味をかぶせる重層スープ。塩ダレには藻塩を使用しシジミ出汁を加え塩角の立たない特有の味わい。生海苔を溶かし込むほどに磯の風味が増す、心憎い演出にも要注目だ。
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2.『イベリコバル@門仲』スペインバルの貴重なイベリコ豚ラーメン
スペイン物産館やワインショップなどを手がける『(株) スペインクラブ』が経営する門前仲町の『イベリコバル』。 屋号の通り、イベリコ豚をコンセプトにしたスペインバルだか、 ランチ限定でラーメンが食べられることで有名。 もちろん素材はイベリコ豚。オススメの「豚しおラーメン」は、 イベリコ豚の骨と野菜からとった柔らかくも深いしっかりとした味わい 。チャーシューにはイベリコ豚の肩ロースがのり、 豚の旨味を堪能できる。 そして面白いのが「おかひじきなる」青菜のトッピング。 シャキシャキとした食感が清涼感を誘い、 クセのない素直な味がラーメンを引き立てる。
3.『まさ吉@武蔵小山』江戸甘味噌×カレースパイスという唯一無二の味噌中華
武蔵小山のにぎやかなアーケード街と線路をはさんで反対側。閑静な住宅街にあるにも関わらず、連日予約客で席が埋まる人気の焼き鳥専門店『まさ吉』。備長炭で焼き上げるこだわりの焼き鳥が絶品だが、その〆の一杯として提供している『中華そば』も専門店顔負けのクオリティで有名だ。そして今回期間限定で『味噌中華そば』が始まったというので早速行ってきた。江戸甘味噌と長岡の麹味噌を使用した甘味のある味噌ダレに、カレースパイスがギリっと効いた重層的な味わい。特注の平麺がなめらかな食感でのどを通り、味噌漬けされた鶏モモチャーシューの香ばしさも印象的。「ラーメンの鬼」として業界を牽引した佐野実氏からヒントを得て、長年温めた構想を体現した絶妙な一杯。唯一無二の同店ならではの味噌中華に感服。
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4.『本とさや@浅草』超人気焼肉店の絶品テグタンラーメン
浅草に開業し約40年という名実ともに熟達した焼肉業界のカリスマ店『本とさや』。提供される分厚い和牛肉は圧巻のひと言につきる。しかしその『本とさや』にラーメンがあるという事実は意外と知られていない。お店自慢のスッポンスープやカルビ、テグタンスープなど複数スープに、同じく浅草の老舗製麺所『来集軒』の中華麺を合わせるという贅沢なオプションが用意されているのだ。オススメのテグタンスープは牛肉、牛骨を丸1日以上炊き込む白湯スープ。焼肉店らしくコチュジャンをベースにした甘辛い味付け。牛の甘味を十分に引き出す味噌ラーメンのような芳醇な香りは、焼肉専門店ならではの一杯だ。
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5.『つけ麺屋「裏サブロン」@日暮里』洋菓子店の裏口で提供される『大勝軒』認定つけ麺
※[編集部追記]こちらのお店の旧店名は『カリフォルニア・フュージョン』です。
日暮里の洋菓子店『サブロン』が、お店の裏口で手作りの内装に4席のみという仕様で始めた二毛作ラーメン店。Twitterで発信される不定期の営業情報に人が集まり、住宅街の裏路地に行列ができることで有名だ。提供されるのは「つけ麺」と日替わりの「プチデザート」のみ。店主が学生時代毎日のように通った東池袋『大勝軒』の味が忘れられず、大勝軒のマスター山岸一雄氏のもとを訪ね指示を仰いで完成した元祖「つけ麺」の系譜だ。並盛で乾燥重量300g以上。魚介が効いた醤油感の強いつけ汁は、甘辛酸味がはっきりと主張する一昔前の『大勝軒』を想起させる懐かしい味わい。洋菓子の技法を応用したという自家製麺は、麺肌のなめらかさとモチモチ感がたまらない絶妙な食感だ。
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- 裏サブロン
- ラーメン JR常磐線 三河島駅 徒歩7分
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