干支一回り昔になるだろうか。今では業界のカリスマと呼ばれる『六厘舎@大崎』や『不如帰』の登場に「路地裏系ラーメン」というジャンルが生まれた。人通りの少ない路地に突如として現れる行列。私自身何度もメディアとして訪れたのを記憶している。そして昨今。またこの現象が繰り返されているのを強く感じる。カウンターのみの狭い店内でステージのように披露されるラーメン作り。臨場感のある店内に嫌が応にも気持ちが高まる。味の細分化が進み流行が読みづらくなったラーメン業界に、それ以外の部分で動きを感じているのは私だけではないはずだ。
1.“麺処きなり” 銀座出身!確かな技術で創る白醤油そば(駒込)
2015年6月にオープン。店主さんは銀座の名店『篝』で腕をふるっていた方で、訪問前から期待が高まる。「醤油そば」を注文。提供するのは出身先の鶏白湯と異なる淡麗なもの。白醤油を使用した見た目に淡い繊細なスープは、特有の甘みと魚介・鶏の旨味が重なり合うさすがの出来栄え。表面の油分が抑えめでしっかりとした出汁感が特徴的。チャーシューの鮮やかなピンクや三つ葉の緑など、彩豊かに丁寧な仕事がうかがえる。ラーメン店が入れ替わる特異な立地ながら、確かな実力がまだまだお客さんを引き込みそうだ。
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- 麺処 きなり
- ラーメン JR山手線 駒込駅 東口 徒歩3分
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2.“麺 みつヰ” 路地裏に誘い込む芳醇な鶏の香り(田原町)
2016年12月オープン。田原町の駅を降りてしばらく進むと路地裏から強烈な鶏の匂い。吸い込まれるようにお店に到着した。店主さんは、言わずと知れたラーメン業界の有名店『七彩』出身。半濁のシンプルなビジュアルに手揉み麺という組み合わせが修業先を想起させる。ビシッと効いた生醤油のカエシに鶏油の丸み。丸鶏を使用するという贅沢なスープはこれでもかと風味を舌に伝える。こだわりチャーシューに、名脇役として添えられる短冊レンコン。目の前で繰り広げられる調理の臨場感に気持ちが高まる。河童橋の近くという場所柄、同業者の訪問も増えそうだ。
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3.“麺屋 坂本01” 牛脂と花山椒は唯一無二の組み合わせ(王子神谷)
2017年4月オープン。こちらの店主さんは調布の名店『柴崎亭』で学ばれた方。修業先同様「中華そば」一杯を500円で提供するコストパフォーマンスに驚かされる。提供されたラーメンは表面に香味油が煌めく気品あるもの。ふわりと鼻腔を抜ける香りに牛を感じる。鶏・豚主体のスープに牛脂を浮かべた特殊な組み合わせに加え、花山椒をアクセントにする唯一無二の構成。一見散らかりそうな風味が食べ進むにつれ一体になる。注文した「ワンタン麺」は900円とデフォルトの倍近い価格だがそのボリュームに納得。肉厚ジューシーなワンタンがゴロゴロと入る圧巻の食べ応えだ。
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- 麵屋 坂本01
- ラーメン 東京メトロ南北線 王子神谷駅 1番口 徒歩7分
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