東京カレー食べ歩きの原点。
私がはじめて外食カレーに目覚めたのは、神戸・新長田にあった「印度屋本店」というお店でした。
ところが1995年の阪神・淡路大震災でこの新長田界隈は火の海に。
「印度屋本店」も消滅してしまったのです・・・
一方、私が上京し、最初に通うようになったお店は銀座「ニューキャッスル」。
昭和21年創業の超老舗です。
戦後焼け野原の銀座でコーヒーを提供、開店から数年後に登場した「辛来飯(カライライス)」という肉を使わない独特のカレーで銀座の食を支えてきた名物店。
(写真は2009年頃の「ニューキャッスル」)
武芸の達人でもあった初代、その後を継いだ二代目。
戦後の空気を今に残す建物でいただく「辛来飯」、そして食後のコーヒーの美味さよ!
「世界一美味しい珈琲は、カレーの後の珈琲である。」
それを教えてくれたのは、かつての「印度屋本店」とこの「ニューキャッスル」でした。
ところが、天災はまたやってきます。
2011年、東日本大震災。
築65年の小さな「ニューキャッスル」は壊れこそしなかったものの、地盤が沈下。
2012年7月31日、66年の歴史に幕を閉じたのです。
戦後銀座を支えた「ニューキャッスル」は、このまま歴史にのみ残っていくのかと思われたのですが・・・
なんと「ニューキャッスル」の独特の味に魅せられた若者が先代よりレシピを引き継ぎ、三代目として「ニューキャッスル」を復活させる運びとなったのです。
新生「ニューキャッスル」、2013年6月オープン。
ビルの地下にある店内には、先代の姿も。
まさに完全復活をはたしたのです。
京浜東北線の駅名をつけたメニューも以前のまま。
一つ変わったところといえば、「蒲田」の上にさらに大盛りの「川崎」があるということ。
今までは「蒲田」の先は常連さんだけの世界だったんです(笑)
・・・ちょっと、前のお店で注文していた頼み方、やってみましょう。
「つん蒲ダブ玉」
「はい!つん蒲ダブ玉!」
お、通った!!
★辛来飯 つん蒲ダブ玉
裏オーダーの「つん蒲」は「蒲田の先につんのめる」という意味の特盛仕様。
新しくメニューに登場した超特盛の「川崎」と「蒲田」のちょうど間くらいの量になります。
そして肝心の味ですが・・・
これがまさに完全再現と言ってよい味。
復活から日が経つにつれ、初代の味に近づいている気がします。
そして食後の珈琲も健在。
「辛来飯」の残り香と、珈琲の合わせ技を是非愉しんでみてください。
さらに驚くことには、2017年3月神田店もオープン。
カレーは銀座で仕込んでいるので基本的には同じ味。
創業70年を越え、ますます活躍中の名店なのです。