日本各地で異なる様相を示すラーメン。東京には各地から様々な味が集まってきている。地元人気店の東京進出、地元で修行した人の新たな屋号での出店、地元出身者がそのスタイルを独学で学んで出店、など経緯は様々だが、それぞれの土地で馴染まれている味を堪能できる貴重な機会。今回は東京都内で食べられる西日本の味から12軒をチョイスしたので、是非食べてみてください。
この記事の末尾には、これまでのメシコレ記事の中で西日本のラーメンを堪能できる3記事へのリンクを掲載しています。こちらも合わせてご参照ください。
1.【京都】あの名老舗が東京進出!「新福菜館@麻布十番」
京都を代表する老舗で、かつては新横浜ラーメン博物館にも出店していた「新福菜館」。催事やラーメン店集合施設への出店を除けば、東京初となる支店を麻布十番に今年開店させている。醤油味の中華そばとヤキメシのメニュー構成は本店と同じだが、ヤキメシに「小」や「大」の設定もある。写真は「中華そば並」と「ヤキメシ小」のセット。
黒く澄んだスープに独特の香りが漂う中華そば。鶏ガラスープと豚肉の煮汁、濃口醤油のタレが相まってインパクトを強く感じる。本店と比べると少しあっさりに感じるが、中太ストレート麺を啜れば独特な旨みが広がる、新福ならではの味は健在。
ヤキメシとの相性も抜群。醤油色でしんなりした米に油が絡んでいて、一般的なチャーハンとは異なる味わい。是非中華そばと一緒に食べてみてほしい。
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2.【大阪】極太高井田系中華そばを新橋で!「麺屋7.5Hz」
大阪で一番知名度が高い地ラーメンと言えるのが「高井田系中華そば」。大阪市と東大阪市の境界付近で広まっていた独特のスタイル。その中でも大阪府内各地に店舗展開してきた「麺屋7.5Hz」初の府外出店がこの東京新橋店。
看板メニューの「中華そば」。極太のストレート麺はやや固めに茹で上げられ、澄んだスープは漆黒の醤油色。麺と醤油のインパクトがガッツリきいている。ネギがたっぷりかけられていて、その辛さをスープと麺で中和しながら食べる。ご飯との相性が抜群なので、ライスにスープをかけてみるのもよさそう。高井田系も店により様々な味があるが、大阪の一部にはこんな中華そばがある事を、舌と喉で味わってみてほしい。
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- 麺屋7.5Hz 新橋店
- ラーメン 東京メトロ銀座線 虎ノ門駅 1番口 徒歩3分
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3.【広島】ラーメンもつけ麺も広島流!「らあめん広@秋葉原」
2015年7月に開店したこちらは、板橋区の「らあめん元」で店長を務めていた方の独立店。しかしその味ではなく、店主の出身地である広島の麺を看板で開店した。なので店名も「広」。厨房ではカープの帽子をかぶり、広島への愛情を表現。
「らぁめん」は、豚骨と鶏ガラを使って白濁させたスープを小鍋で温めたもの。力強い醤油ダレがまろやかに調和し、油を控えめに感じさせる、広島の中華そばにおける伝統的なスタイルを継承している。低加水の中細麺はスープの中で存在感を示している。広島ラーメンの特徴を押さえつつ、東京のラーメン好きにも好まれる味付けにしていると思われる。
「つけ麺」は「大勝軒」から始まった東京のつけ麺とは異なる発祥を持つ、広島独特のスタイル。締めた麺に冷たく辛いつけ汁を合わせている。辛さは三段階から選べる。つけ汁は広島つけ麺らしい唐辛子の辛さを感じさせつつ、他では感じない甘みも感じる。「ゴマ」や「砕いたイカ天」が独特の食感を出している。具には広島つけ麺の定番、キャベツやネギに加え、フライパンで炙った厚切りチャーシューも加わっている。広島つけ麺の基本を押さえながら、自分の味を表現している。
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- らあめん 広
- ラーメン 東京メトロ日比谷線 秋葉原駅 1番口 徒歩1分
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4.【広島】汁無し担担麺の人気店が東京進出!「キング軒@芝公園」
広島市内で人気を集めているのが「汁無し担担麺」専門店。その中でも人気の「キング軒」が、2015年5月に東京進出。もちろんメニューは汁無し担担麺のみで辛さを選べる。食券を買った瞬間に麺を入れていて、細麺なのですぐに提供されるので、昼時のサラリーマンにも安心。
本店同様に20回かき混ぜて、タレや山椒を存分に絡ませてからいただく。唐辛子の辛さと山椒の痺れを存分に楽しみ、タレを麺で掬いながら食べる。ライスを一緒に頼んで丼に入れ、卓上のタレや山椒を加えた「担担丼」にして締めるのがオススメの食べ方。
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5.【山口】下松の牛骨ラーメンの味を伝える!「ぶち@亀有」
山口県下松市には、牛骨スープの地ラーメンが存在する。今年開店したこちらは、下松牛骨ラーメンを掲げる都内初の店。牛骨のほのかな甘さをスープに出しつつ、油を過剰に感じる事がないので、あっさり派にも楽しめる味わい。細ストレート麺と醤油は山口から取り寄せて、現地の味の再現を目指している。チャーシューは提供直前に炭火焼きして、油少なめだが食べ応え十分。
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- 麺屋 ぶち
- ラーメン
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6.【徳島】濃厚さを味わう徳島ラーメン!「JAC@高円寺」
2012年に開店したこちらは、東京の人気店で修業したご主人が、出身地の徳島の味を伝えたくて開店させた店。豚骨を濃厚に出し、濃い醤油ダレも合わせた独特の徳島ラーメンのスタイル。こちらの「中華そば」は、濃密だがクセを抑えたスープが食べやすく、サービスでついてくる生卵をスープに入れても負けていない。徳島ラーメンらしさを感じさせる豚バラ肉の醤油煮も丁寧に作りこまれている。スープに魚介ダシを少し加えていたり、卓上にスダチ酢を置くなどの個性を加えつつ、徳島ラーメンらしさをしっかりと表現している。
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- 中華そば JAC
- ラーメン JR中央本線(東京-塩尻) 高円寺駅 北口 徒歩7分
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7.【福岡】人気店の東京2号店は激戦区池袋!「博多一幸舎」
博多で人気を集め、海外にも展開している「一幸舎」。東京では経堂に続く2号店を、池袋駅東口の繁華街に開店させた。濃厚な豚骨スープは泡立つほど。臭みは抑えているが豚骨の旨みは全開で、紅ショウガや潰したニンニクを入れてもビクともしない。細ストレート麺はしゃっきり固めに茹で上げられ、博多ラーメンらしさを濃厚に表現している。
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- 博多一幸舎 池袋東口店
- ラーメン JR 池袋駅 徒歩5分
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8.【福岡】久留米の味と空気を再現して人気!「くるめや@新橋」
2014年8月、新橋から虎ノ門に向かうオフィス街の一角に開店。店内には久留米市の観光ポスターを貼るなどして、豚骨ラーメン発祥の地「久留米」を全面的にPR。細長い店内に、立ち食いカウンターが並ぶ。
濁らせつつもタレの存在感があって、油も程よく感じて野趣あるスープ。細ストレート麺は長浜ラーメンのような極細ではない。スープの間から浮かび上がってくるのは、ミンチ状の豚脂を揚げた「カリカリ」。かつては久留米の多くの店がラーメンに乗せていたという。豚骨の旨みが感じられるが、くどすぎない久留米の味わいを丁寧に出しています。
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9.【佐賀】釜で炊いた豚骨スープが決め手!「美登里@浅草」
佐賀県には「佐賀ラーメン」と呼ばれる独特な豚骨ラーメンがある。その老舗の一軒「精養軒」に手ほどきを受けて佐賀から上京したご主人が2010年に開店させた店。店内には、スープ釜、麺茹で釜の為の大きなかまどが置かれているのも佐賀のスタイル。
「ラーメン」は豚のゲンコツなどを長期間煮出して、継ぎ足しながら仕上げる、少し甘めのスープが特徴。濃すぎる事はないが、じんわりとした旨みが存分に楽しめる。麺も佐賀から空輸した細麺をしゃっきりと茹で上げている。
「佐賀ちゃんぽん」は、豚骨スープに鶏ダシも加え、炒めた野菜をたっぷりと乗せている。長崎ちゃんぽんとは異なり魚介は入らない。チャンポン麺も佐賀から取り寄せていて、滑らかな茹で加減でスープに馴染んでくる。別皿で有明海苔をトッピングしたが、これは旬の季節だけのメニューなので、見かけたら是非乗せてみてほしい。
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- 佐賀ラーメン美登里
- ラーメン店 東武伊勢崎線 浅草駅 徒歩10分
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10.【長崎】ちゃんぽんならここ!の名店「来来来@三軒茶屋」
長崎の老舗で修行し、三軒茶屋の路地に開店した小さい店。現在は二代目が継承している。メニューは「ちゃんぽん」「皿うどん」「一口餃子」だけとシンプル。
「ちゃんぽん」は滑らかな動物系スープがたっぷりのモヤシやキャベツと絡み、豊富な魚介類が食感のアクセントになっている。力強いが固くない太麺がスープに馴染んでいる。卓上に置かれている長崎の「チョーコー醤油」をスープにひとたらしすると、味を変えつつ深みが増す。味わい深い長崎ちゃんぽんを、是非ここで楽しんでほしい。
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11.【熊本】熊本の名老舗が生んだ太肉麺は健在!「桂花@渋谷」
熊本ラーメンの老舗で、東京に進出したのも1968年と、東京で食べられる九州豚骨ラーメンの最古参。店でスープを仕込んでいるので、店舗ごとに味わいは多少の違いが出ている。
桂花名物の「太肉麺」は、東京進出時に生まれた人気メニュー。柔らかい豚角煮とキャベツ、そしてキャベツにかけられたマー油が印象的。まずはあっさりしつつ力強い豚骨スープを味わい、そして徐々にマー油が流れてくる味わいを楽しめる。固めに茹でられた太麺を啜れば、スープも勢いよく口の中に入ってくる。麺より細い茎ワカメが食感を変化させてくれる。
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12.【大分】独特スタイルの豚骨ラーメンを見逃すな!「大分佐伯ラーメン@池袋」
池袋東口で、期間限定で店舗が入れ替わる「石神秀幸厳選 極み麺selection」。こちらに現在出店しているのは「大分佐伯ラーメン」。高田馬場の人気店「渡なべ」店主の渡辺樹庵氏が佐伯に何度も足を運び、現地の老舗店の味わいを提供している。
豚骨ベースのスープには、ニンニクや油がたっぷり加えられたインパクトある味。麺はやや柔らかめだが、これでもご当地よりは固めに茹で上げている。
博多ラーメンや熊本ラーメンとは大きく異なる豚骨ラーメンで、大分市からも離れた佐伯市でしか味わえない独特の豚骨ラーメン。2015年11月末までの出店予定なので、是非この機会を逃さずに食べてほしい。
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店名:大分佐伯ラーメン
住所:東京都豊島区南池袋1-24-5
電話番号:03-5992-3115
店舗HP:http://kiwamimen.jp/
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