岩手県盛岡市は「わんこそば」で知られているが、それだけではない。地元では「盛岡三大麺」という表記が見られ、「じゃじゃ麺」「盛岡冷麺」がそこに加わる。
「じゃじゃ麺」は、中国の麺料理を元に考案されたご当地麺。太いうどん状の麺に肉味噌やキュウリ・ネギを加えた汁無し麺で、市内には専門店が多く見られる。
「盛岡冷麺」は戦後、朝鮮半島出身者らが、盛岡独自の形にブラッシュアップしたもの。焼肉店で多く見られるが、冷麺だけの注文が可能な店が多い。
今回は、盛岡市内の「じゃじゃ麺」4軒、「冷麺」2軒を紹介します。
1.まず食べてほしい「じゃじゃ麺」発祥の店!「白龍」
盛岡のご当地麺「じゃじゃ麺」を考案したのは、この「白龍」の創業者。戦後、旧満州(中国東北部)から引き揚げてきた彼が、満州で食べた「炸醤麺(ジャージアンミエン)」を元に、日本の食材を使って始めた屋台の味がベースになっている。
アツアツの太うどんの上に、たっぷりのキュウリと肉味噌、薬味のネギが乗る。丼の縁にはおろしニンニクと紅生姜。これらをかき混ぜて麺を引き上げる事で、味噌の甘さや塩分で食べ進められる。卓上にはこの肉味噌や、ラー油・酢などがあり、徐々に味変して楽しめる。
麺を食べ終わった更に生卵を落とし、店員に「鶏蛋湯(チータンタン)」を注文(50円増し)。茹で湯で作った玉子スープに、肉味噌や調味料を加えて、最後まで楽しめます。
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2.深夜まで営業で、呑んだ後の「〆じゃじゃ」にも最適!「香醤」
じゃじゃ麺発祥の「白龍」と並び称される人気を持つのが「香醤」。こちらは飲み屋街の一角にあり深夜まで営業。なので飲んだ後の「〆」にじゃじゃ麺を食べたい、という人の需要に応えている。メニューはじゃじゃ麺のみだが、出来上がるまで10分以上かかるので、ビールやハイボールを飲みながら待つ事もできる。
麺はうどん粉として名高い「金すずらん」を使い、「白龍」よりも少し平たい。麺を一気に啜っても、胃にもたれない印象。味付けの濃い肉味噌に、量が多いキュウリがマッチ。もちろんこちらもチータンタンまで楽しめます。
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3.冷麺専門店が誕生させたじゃじゃ麺専門店「HOT JaJa」
盛岡冷麺の人気店「ぴょんぴょん舎」が、もう一つの盛岡の味「じゃじゃ麺」を食べてほしいと、駅前通りに開店させたのがこの「HOT JaJa」。じゃじゃ麺の肉味噌を乗せた「じゃじゃ味噌丼」や、チャーハン・餃子などとのセットメニューも豊富。夜はつまみメニューや酒類も豊富で、呑んでいる人達も多い。
こちらでは単に肉味噌を乗せる事も可能だが、胡麻とラー油、おろし生姜にニンニク一升漬を加えた「スパイシーな味付け」を推奨している。この独自ブレンドの肉味噌が、茹でたての太麺と相性よくマッチする。もちろんチータンタンで締めるスタイルが人気です。
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4.平麺に柔らかな肉味噌が特徴的!「不来方じゃじゃ麺」
盛岡駅から繁華街に向かう道すがら、ビルの地下にある飲食店街の一軒が「不来方(こずかた)じゃじゃ麺」。じゃじゃ麺専門店としては珍しく、キムチやチャーシューといったトッピングメニューもあります。
麺はきしめんのように平たく、灰色がかった肉味噌は柔らかく、胡麻の味を強く感じる。卓上の調味料で味を整え、チータンタンで締めるスタイルは共通だが、味は「白龍」などとは違う個性を出してます。
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5.盛岡冷麺だけでもOK!人気の焼肉店「大同苑@菜園」
1965年創業の老舗焼肉店。焼肉の網がセッティングされたテーブルが並んでいる綺麗な店内だが、冷麺だけの注文も可能。盛岡冷麺を、辛味を別皿にした「別辛」で注文した。
北海道産の小麦粉と馬鈴薯澱粉をブレンドした麺は、注文してから練って麺に仕上げるという。その食感は、「もにゅっ」とした独特なもので、啜っても噛んでも味わい深い。岩手県のブランド牛「前沢牛」のスジと牛骨を使ったスープは、鶏ガラや野菜も合わせて煮込んでいて、脂を取り除いた上に布で濾すという丁寧な仕上がり。滑らかな旨みがあり、飲めば飲むほど舌をくすぐられる。チャーシュー代わりに入った牛肉に染みこんだ味つけも十分に満足できる。
別皿の辛味はもちろんしっかりと辛いので、徐々にスープに入れて辛さを増しながら一気に完食。焼肉も人気だが、この店で冷麺を食べないわけにはいかないです。
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6.盛岡駅前の焼肉屋でも、冷麺だけでOK!「盛楼閣」
盛岡駅前のビル2階にあり、雪の日でも濡れずに行けるのがこちら。人気の焼肉店で店頭には行列ができる事も。こちらも「盛楼閣冷麺」だけの注文が可能で、一人客用のテーブル席も用意されている。こちらは「中辛」で注文したが、辛味を別皿にする事も可能。
もっちりして噛みごたえがある麺に、辛すぎず旨みを奥に感じるスープ。キムチとオイキムチが酸味が加え、辛さに深みを与えている。茹で卵の上に乗った、油で和えたネギがアクセントになり、リンゴで口直しできて最後まで食べ飽きない名作です。