牡蠣料理といえば、焼きに蒸し、フライにグラタン、牡蠣めし等々、沢山あるが、蕎麦も忘れてはならない。牡蠣の旨いエキスが染みて、更に旨味と風味を増した出汁が、冷えた身体に染みわたるときの至福。それに、寒さが募るにつれ、丸々と大きく肥えてくる牡蠣。この時期、食べたくなるのが、『よし田』の「牡蛎南ばん」だ。
『よし田』は、明治18年創業、130年以上の歴史がある老舗そば店。2016年、銀座7丁目から6丁目に移転。店自体は新しくなって明るくゆったりとしているが、老舗のそば屋らしい雰囲気はそのままだ。
さて、「牡蛎南ばん」。特長の一つは、見事な牡蠣が入ること。火が入っても、縮むことなくたっぷりとした重量感があって、しかも、ギュッと凝縮された分だけ、さらにむっちりとしてグラマラス。そんな牡蠣が、器の表面の半分ほどを占めるから、たっぷりと牡蠣と楽しめるというものだ。
それに、汁が関東風と関西風から選べることも特長だ。鰹節と醤油がきいた関東風と、
昆布と塩の関西風。同じ「牡蛎南ばん」だが、そばの味わいも、牡蠣の風味も変わって来るから面白い。柔らかく火の入った葱のシャクシャクとした食感や若芽の香りも好い脇役。
そばだけでなく、よし田では、牡蠣鍋や牡蠣の天ぷらも人気。牡蠣が美味しいこの時期に、是非とも楽しんでみてほしい逸品だ。