おつかれ麺です。オゴポコです。
毎月約60軒の新店がオープンすると言われる東京。ラーメンに詳しい人ならご存知のとおり、極端に外れの店は減り、開店当初から一定の品質をクリアしたお店が増えてきました。昔よりも製法やノウハウが手に入りやすくなったからか、実績のある店で修業した方が独立するケースが多いからか、有名店のセカンドブランドや姉妹店が当たり前になってきたからか、それとも、良い業務用製品が増えてきたからか・・色々な要因があるとは思いますが僕は不満です。
なぜなら、豚骨ラーメンの新店があまりにも少ない!!
福岡では豚骨以外のラーメン店が数店オープンすれば”非豚骨の波がきた!”とメディアが色めき立つのですが、東京では逆に新店が豚骨であること自体が稀。それは”無豚骨”とでも言いたくなる状況なのです。なお、ここでいう豚骨には「家系ラーメン」は含みません。僕の中では、家系ラーメン is not 豚骨ラーメン、別物なのです。でもネットで新店情報をチェックしているときに”濃厚豚骨ラーメン○○”という屋号を見つけてオッ!と思ったら実は家系だった、というのはよくあること。まったく、豚骨ラーメンに謝れと言いたい、誇大広告もいいところだ。
ところが。今年2018年はどうしたことか、上半期だけで豚骨ラーメン新店ラッシュ、それも注目すべき経歴の店が多い!
東京の街でひとり色めきたつ豚骨ラーメンライター(自称)としては、上半期折り返し、キリの良いいま、それら豚骨新店をお送りしたい次第。
全5軒、紹介順はあっさり→濃厚の順になります!(オゴポコ基準です)
1.『ニューあかり 目黒権之助坂』力の源プロデュースのラーメン食堂は熊本ラーメン!?
「ラーメン (750円)」
2018年6月オープン。看板、店の前の食品サンプル、内装、メニュー、卓上の湯飲みなど備品類も含め、コンセプトは昭和の食堂。ラーメンマニア視点では「(同じく昭和レトロがテーマの)新横浜ラーメン博物館にあるとピタッとくる店」です。
メニューは一風堂で知られる「力の源」監修で、ラーメンは熊本ラーメン。
さすがというか、狙いどころが絶妙。熊本ラーメン専門店としてみると普通かもしれませんが、食堂のラーメンとして出てくるとオッ!と思うレベル。
芯の残るザックリした細ストレート麺、チャーシューは提供段階から存在感があって、口当りはとろっとしてジューシー。スープは骨感のない圧力で精製したような豚骨なのですが、マー油と合わさると強い旨みがあって舌に残る分かりやすい味。
食堂なので、定食や一品物も多く、しかもビールは”赤星”と拘りを見せているところもいいですね。力の源プロデュースでは珍しい(というかあまり記憶にない)熊本ラーメン、マニアもそうでない人も楽しめる店です。
紹介しているお店はこちら!
店名:ニューあかり 目黒権之助坂
住所:東京都目黒区目黒1-5-16 目黒アイワビル 1F
電話番号:03-3493-3493
営業時間:11:30~23:30(食事のラストオーダー22:30)
定休日:年末年始
2.『らぅめんの善栄』豚骨の砦から独り立ちした職人の創作豚骨ラーメン
「らぅめん (800円)」
豚骨ラーメンが好き、特に、濃厚豚骨ラーメンに目が無い僕。でも一般的には濃厚ではない博多ラーメンの中でも好きな店はあります。そのひとつが渋谷区神泉町の『麺の坊砦』、正統派博多ラーメンの理想形ではないかな、と思うほど。
さて、本題。こちら『らぅめんの善栄』は、2018年6月オープンの新店。店名の読みは”よしえい”です。白基調の清潔な店内、豚骨ラーメン店の雰囲気は無いものの、豚骨臭はしっかり。メニューにはワンタン麺もあり。そういえば『砦』にもワンタンメンがあったなぁ、と。
豚骨スープは、豚頭と拳骨を使っているそうで、シャバ過ぎず油濃すぎずの適濃フレッシュ。特注の細麺も歯切れがよいです。
豚骨ラーメンとして麺とスープは高レベル。一点、旺盛な創作意欲が高じての丼形状や野菜トッピングの見た目にやや戸惑うかもしれません。一応、別メニュー「ランチらぅめん」は丼、具共に普通の豚骨ラーメンだそうで、今後メニュー改変の可能性ありです。
総じて「これが俺の最後の砦だ」と言わんばかりに真面目に豚骨に向き合っている感が感じられる、応援したい新店です!
紹介しているお店はこちら!
店名:らぅめんの善栄
住所:東京都江東区森下4-25-7
電話番号:03-6666-9144
営業時間:11:30~15:00、18:00~22:00
定休日:なし
3.『博多らーめん ばりちゃん』東京で20年超の歴史を持つあの博多ラーメンを思わせる新店
「博多ラーメン (690円)」
2018年6月オープン。元・ばりこて高田馬場店の方のお店。「博多ラーメン ばりこて」は、現在都内に2店舗。豚骨ラーメン開業支援を行う福岡の「宝フーズ」の支援を経て1997年に開店した、東京豚骨史を飾る店のひとつです。
その「ばりこて」と同じデザインの丼。豚骨ラーメンはばりこて高田馬場店と同じく、濃厚な博多豚骨によくあるクリーミーさは保ちつつ、しかし、あのとき感じた臭さと厚み、骨感はやや抑えめになったような。麺はもちろん、シャッキリ細ストレート麺。
ご飯もの「かしわ飯」は甘み、てかりもあって福岡人が好きそうな味つけ。なお、辛子高菜不足のご時世にも関わらず、辛し高菜は食べ放題(国産かどうかは未確認)。居酒屋メニューが充実しているので、基本、夜はラーメン居酒屋としての利用が吉でしょう。
紹介しているお店はこちら!
店名:博多らーめん ばりちゃん
住所:東京都新宿区高田馬場2-13-6
電話番号:03-6457-6745
営業時間:11:00~15:00 (LO 14:50)、17:30~25:00 (LO 24:30)
定休日:無休
4.『濃厚ラーメン かなや』元ラーメン高校生の評論家が関わる豚骨新店は濃厚豚骨がウリ!
「濃厚ラーメン(太麺) 780円」
2018年2月プレオープン(本オープンは3月?)。元ラーメン高校生・山内直人氏が関わっている店として注目の新店です。ラーメン評論家がラーメン屋さんへ転身すること自体まれですが、加えて、濃厚豚骨ラーメンとなると更に希少!自称トンコツラーメンライターとしては優先度・特Aで訪問するに決まってます。しかも、訪れた当日はその山内氏が厨房に!これは嬉しさ倍増ですね!
豚骨スープは、骨感十分の灰色、意外に透明な油層が厚めに覆いタレ味強め。骨密度だけで言うとかなりのもので、油多めの博多豚骨に久留米の骨っぽさを兼ね備えたようなスープ。総じて濃厚豚骨醤油寄りの様相。選択した太麺(細麺もあり)は違和感なくしっかりスープを絡め取ります。これは持論ですが、豚骨はスープが濃厚で強ければ太麺は合う、それを再認識した次第。
マー油入りの豚骨ラーメンもあるし、細麺も食べてみたいし、定期的に確認したい濃厚豚骨ルーキーですね!
紹介しているお店はこちら!
店名:濃厚ラーメン かなや
住所:東京都杉並区堀ノ内1-3-13
営業時間:18:00~25:00、日祝18:00~23:00
定休日:無休
5.『横浜家系らーめん 輝道家』エベレスト級の超濃厚豚骨は言うなれば”骨のソース”を飲むかのよう!
「ラーメン(麺、油、味の濃さすべて普通) 680円」
2018年5月オープン。今回は豚骨ラーメンばかり、あっさり→濃厚の順に紹介してきたわけですが、最後の一軒の濃厚は飛びぬけてます。濃厚を山に例えるなら、今回の記事の4軒目までは富士山級、5軒目の『輝道家』はエベレスト級です。
「おいおい、冒頭で家系ラーメンは含まないって言ってたのに、最後が家系ってどういうこと?」
分かります。でもここは特別です。普通の家系ラーメンであれば僕もそう思いますが「こと武道家に限ってはそんな分類を超越してる」というのが僕の見方。その「武道家」の元大将が独立して起こした店が『輝道家』となると、これはもう濃厚悪魔超人が合体して生まれた濃厚悪魔将軍レベルと考えてよいわけです。
※武道家の凄さはこちらの過去記事をどうぞ→https://mecicolle.gnavi.co.jp/report/detail/9025/
さて、ラーメン。スープの質感は”どろどろ”ではなく”とろとろ”。ここは勘違いしないでほしいのですが『輝道家』よりも”どろどろ”の豚骨ラーメン店はいくつもあります。しかし骨ソースとでも言うべき濃縮感のある豚骨は本当に少数。そして『輝道家』は骨ソースな店なのです。骨の粒子が細かく溶け込みつつ、かつ、温度が熱々な点も凄い(一般的には濃度が上がるほど熱々は難しい)。油感はほとんど感じられず、少し味濃いめな点もバランスよしで、豪速球をストライクゾーンの端にピタリとコントロールしたような濃厚豚骨に仕上がってます。
東京屈指の家系ラーメンを食べにいくのではなく東京屈指の濃厚豚骨ラーメンを食べにいくつもりで、濃厚民族なら万障お繰り合わせの上必須訪問です!
紹介しているお店はこちら!
店名:横浜家系らーめん 輝道家
住所:東京都中野区野方5-24-6
電話番号: 03-5364-9252
営業時間:11:00~15:00、17:00~23:00(早じまいあり)
定休日:火曜
-----------------------------------------------------------
以上5軒。2018年上半期にオープンした東京都内の豚骨ラーメン新店を並べてみました。もう一度言いますが、豚骨に飢えている都内豚骨ラーメン好きにとっては今年は当り年。早めに食べて周りの豚骨好きに教えてあげましょう!