祝！復活！レトロで懐かしさあふれる『マルカンビル大食堂』にまた会える！
2016年に私がメシコレで書いた岩手・花巻にある食堂の「２５cm超！マルカンデパートの箸で食す長過ぎソフトクリーム」（https://mecicolle.gnavi.co.jp/report/detail/5691/）という記事は、おかげさまでたくさんの方に読んでいただき、一時は「あの長いソフトクリームを書いた人」と呼ばれました(笑)。
その後、ビルの老朽化、2011年に起きた東日本大震災のこともあり、耐震に問題ありと判断されてマルカンデパート自体が閉館することが2015年に決まりました。
ところが閉店を惜しむ声が集まり、2016年6月の閉店ののち地元有志の方を中心としたクラウドファンディングが立ち上がり、見事2017年2月にレストラン事業など一部の営業が同じビルで復活を遂げられたそうです。
『マルカンビル大食堂』の復活。再スタートです！
復活から10か月後、2017年12月最終営業日の『マルカンビル大食堂』へ行ってみた。
花巻駅から徒歩約15分、花巻空港からですと車で約15分。オープンは11時。やっと行くことができてうれしかったので、オープンより早めに到着してしまいました。ちなみにツイッターによると定休日は水曜日みたいですのでお間違えなく！
駅から離れた旧マルカンデパートですが、岩手の花巻は車社会です。ほぼほぼお客さんは車でやってきて、向かい側の駐車場に停めてわらわらとやってきます。
以前から大人気の同店ですが、私の訪問した日がその年の年末最後の営業日であったため、みんな行き納めの気持ちだったのでしょう。オープンの時間を1時間近くも前にして6階の食堂の前には40人近くの列ができていました。並ぶ人は私も含め、5階の踊り場を過ぎ4階の階段にまで達するほど。
そんなとき目に入ったのが階段の壁に飾られていた、閉店前にマルカンデパート大食堂のファンの皆さんが書いた寄せ書きの幕でした。
「マルカンありがとう」
そんな応援メッセージの横には笑顔の写真が散りばめられたポスターが貼られています。
ふざけた子供のように箸で食べる長いソフトクリームは、おだやかだった休日の思い出。みんなで食べるデパートのランチが平和だった時間を思い起こさせます。
2017年の12月末。営業最終日のオープンの時間がやってきました。
レトロな内装そのままの入り口にやっと着いたら、デジタルな平成にそぐわない紙の食券を買うためにまた並びます。サンプルケースの中に並ぶ色とりどりの鮮やかなメニュー。並ぶ全員がもう気もそぞろです。
ほら、お値段も据え置き。10段もあるソフトクリームが今のご時世に180円ですよ！（驚くことにさらに学割もあり）
ちょうど光が差し込んで、ショーケースの中のソフトクリームが夢の食べもののようにキラキラと輝いて見えました。
『マルカンビル大食堂』復活に懸けたさまざまな想い。
ふるさとと寄り添ってきた人の静かな想いや、ふるさとを後にしたことがある人の罪悪感や、ふるさとがない人の憧れや。そんな想いを背負って、マルカンビルは建っているような気がしたし、ソフトクリームも背筋を伸ばして立っているように見えてきました。
以前からも地方で起きている商店街のシャッター街化が特に花巻は顕著で、交差点の周囲の店舗もそしてマルカンビル自体もこの食堂の喧騒をよそに、閑古鳥が鳴いている状態なのは否めませんでした。
追い打ちをかけた東日本大震災で岩手も多くの犠牲を失い傷を負いました。
ですがそれに負けない、地面の下から重い雪を持ち上げる霜柱のような底力がこの地にはあり、一度途絶えまた復活した『マルカンビル大食堂』の物語は、活気を失いつつあったふるさとを奮い立たせたあの想いとどこか重なります。
『マルカンビル大食堂』の復活の大きなパワーとなったのは、そういった押し上げるたくさんのあたたかい手だったように思うのです。
席についてウエイトレスさんに半券を渡し注文を終えてから、そういえば今までは窓の外の景色をゆっくり眺めたことはなかったなあと窓の外の景色に目を向けてみました。窓ガラスが以前より透明度が増して、遠くの山々までよく見えます。
マルカンビル6階に位置するこの食堂に比べて高いビルは周囲にはなく、視界を二分するのは空と山。岩手らしい風景がマルカンビルの郷愁に色を添えています。
空の面積の大きさになんて美しい土地だろうと改めて思いました。
500席はあるかという大食堂も、すでに半分はお客さんで埋まりつつあります。
「私は看板メニューのナポリカツ！」
「食べきれないから一緒に食べようか？」
「俺はお寿司がいいなあ」
「私はラーメンかな」
以前と同じレトロな衣装のウエイトレスさんがフロアを忙しく歩き回る中、思い思いに好きなメニューを頼み、どのテーブルでも以前と変わらない味を楽しんでいるようです。
なくなってわかるありがたみ。『マルカンビル大食堂』はふるさとや家族の思い出そのもの
家族だんらんを絵に描いたような笑顔がここにはいつもあります。
おじいちゃんおばあちゃん、帰省してきた若い夫婦、そして小さな孫たち。みんなが一つのテーブルに座り思い思い好きなメニューを頼み、そして最後にみんなで箸でつつくのが、この長い長いソフトクリーム。
乳業も盛んな土地柄、新鮮なみずみずしいクリームは甘さ控えめでやっぱりおいしい。真っ白いぐんとそびえる10段の太巻きは、以前と変わらず健在でした！
箸ですくっていくとやっぱり空洞です。均一に真上に積み上げていくからこそしっかり立っていられるんでしょうか。巻きのプロの技ですね。
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ただ180円で安いからでもいい。食堂がレトロで面白いでもいい。ウエイトレスさんの制服が昔ながらですごいでもいい。気になったらぜひ一度来てみてほしいのです。
なぜこのちょっと寂しい商店街にあって、有名シェフもいない食堂が500席を満杯にする力があるのか。気になりませんか？
花巻には泉質のいい温泉も近くにたくさんありますから。ついでに温泉旅行なんていかがでしょう。ぬめりのある鉛温泉や、昭和どころではない大正ロマンあふれる大沢温泉は特にお薦めです。
盛岡まで足を伸ばせばおいしい冷麺やお蕎麦屋さんもあるし、文豪・宮沢賢治ゆかりのスポットもたくさんあります。民話の言い伝えも残る遠野もこれがまた素敵です。
一度この伝説のソフトクリームを食べに、花巻に来てみませんか？
マルカンビル大食堂公式Twitter：https://twitter.com/marukanshokudo
