おつかれ麺です。オゴポコです。
九州、特に福岡市で幅を利かせるようになってきた「非豚骨」という独自のジャンル。最近、その波が確実に浸透しているなぁと実感させられる出来事がありました。
今年の「ラーメンウォーカー九州2018」の表紙は、なんと「地鶏らーめん はや川」
白地に黒文字のスタイリッシュなデザインも相まって、え?この本、T○Y本じゃないよね?九州のラーメン本ですよね?と目を疑いました。この勢いで「非豚骨」が福岡全域に広まり、鎖国状態の豚骨幕府が開国する日が来るのかしら・・・と期待してしまいます。が、実は豚骨も負けてはいません。
今年、2017年は豚骨ラーメン誕生80年の記念イヤー!
先日、80周年を記念して、豚骨ラーメン発祥の地・久留米市で開催された「とんこつラーメン誕生祭」では、豚骨ラーメン店ばかりにも関わらず、各店500枚のチケットは完売、大盛況のうちに幕を下ろしたそうです。また例年3月頃に開催されている「北九州ラーメン選手権」も地元の豚骨ラーメン店中心の出店ながら盛況を博しています。
やはり、まだ福岡は”豚骨ファースト”の地というファクト。これは揺るぎません。
今回紹介する店は、ここ1年以内にオープンした福岡市内5軒+郊外1軒の豚骨ラーメン店。いずれも味はもちろんのこと、価格面でも頑張っている店ばかりです。その証拠に
「都道府県別ラーメン一杯に払える値段の上限2016年(Jタウンネット調べ)」による福岡県の価格は664円(全体で45位。全国平均は802円)なのですが、この6軒の平均価格は598円!
全く大したものです。というか、もっと高くてもいいのでは?と思える店ばかりなんですが。。。
さて前置きはこれくらいにして、今回はその美味しくお求めやすいその新店たちを一緒に見ていくこととしましょう。
1.【英国昇龍】福岡生まれの店主がイギリスで開いた豚骨ラーメン店が本場福岡へ!
1976年にイギリスで創業した豚骨ラーメン店が福岡に出店!創業者は福岡出身とのことで、故郷に錦を飾る、ということでしょうか。オープンは2016年11月。ジャンルとしては「ラーメン居酒屋」なので夜は居酒屋利用客が多いのですが、ラーメン単品注文も可能なので怯まず入店しましょう。この日食べた
トリュフ豚骨脂泡RAMEN
の特徴は、その名が表すとおり、ヨーロッパ直輸入最高ブランドのトリュフを使用している点。近年増えてきた泡系豚骨、クリーミーできめ細かい豚骨スープにトリュフの独特の香りが超支配的!食べ始めから終わりまで、トリュフ臭が終始気になりますが、世界的にはこれが馥郁たる香りというわけです。ただ、惜しむらくは、丼の直径が小さい!麺はパツッと歯切れ良いのですが、間口が小さいのでやや取り出しにくいのが難点。
さてこちらのお店、高級居酒屋か?と思わせるファサードなのですが「丸亀製麺」等で知られるトリドールグループだけあって、イベントで半額メニューがあったり、帰りにキャンディを貰えたりと肩の力を抜いて楽しめる店づくりになっていることを記しておきます。
紹介しているお店はこちら!
店名:英国昇龍
住所:福岡県福岡市中央区警固1-6-56 サウスガーデン1F
営業時間:12:00~16:30、17:00~翌1:00
定休日:不定休
公式サイト:http://www.eikokushoryu.com/
2.【麺処 金田家 博多本店】行橋市から世界へ羽ばたく泡豚骨の名店が博多に降臨!
僕が「金田家」のラーメンを初めて食べたのは2009年、創業間もない行橋本店でした。今ほど泡立ってはいませんでしたが、福岡トップクラスの濃厚豚骨だ!と興奮したものでした。
あれから8年。いまやロンドン、香港に店を構えるまでに成長し、2017年4月、遂に博多の地に路面店をオープン!黒豚使用をアピールするところは、8年前から変わらず、その
黒豚らーめん
は、思わず「おぉっ!」と声が出そうになるほどのドロドロ濃度!胡椒はスープに混ざっているようで、レンゲに微量の胡椒が視認できます。麺、具、スープは言うこと無しなので、個人的には胡椒抜きが好み。
紹介しているお店はこちら!
店名:麺処 金田家 博多本店
住所:福岡県福岡市博多区下川端町10-4
営業時間:月~土11:00~23:30 、日11:00~18:00
定休日:なし
公式Twitter:https://twitter.com/kanadaya316
3.【博多 牧商店】白黒赤の豚骨ラーメン三原色!明るく綺麗なラーメン居酒屋
2017年7月オープン。営業中は店前に置かれた寸胴が目印。ラーメン居酒屋業態なので、酒類、一品物多し。豚骨ラーメンは以下の3種類。木を多用した明るく清潔感のある店内、店の名の由来はオーナーの名前だそう。近年、豚骨ラーメン店でよく見かけるようになった豚骨ラーメン三原色を揃えています。
白とんこつ(基本の豚骨ラーメン)
黒とんこつ(焦がしニンニク油、マー油入りの豚骨ラーメン)
赤とんこつ(特製辛味噌入りの豚骨ラーメン)
他、焼きラーメンもあり。今回食べたのは「黒とんこつ」
豚骨スープはとろみがあり滑らか。豚頭やゲンコツを砕きながら煮込んでいるそう。糸のように細く縒れた麺。チャーシューは脂身あってとろける感触が良い!キクラゲ多め。マー油はやや苦みが感じられるのが気になりますが、豚骨と馴染んでるのでセーフ。
ラーメン居酒屋自体は珍しいものではありませんが、新店ながら落ち着いて楽しめそうな空気感が感じられるお店です。
紹介しているお店はこちら!
店名:博多 牧商店
住所:福岡市博多区博多駅前3丁目12−3 玉井親和ビル1F
営業時間:11:00~15:00、18:00~翌1:00
定休日:不定休
公式Twitter:https://twitter.com/makishotenramen
4.【博多豚骨ラーメン 元気一番 箱崎店】元気一杯姉妹店2号店は何と”高菜バー”常設!!
2017年9月、元気一杯の姉妹店「博多元気一番!!」(https://mecicolle.gnavi.co.jp/report/detail/9331/)が2号店をオープン。場所は筥崎宮の近く、国道3号線沿い。車で訪れる客を意識した看板が目印の大箱店です。
木を基調にしたカウンターとテーブル席、大きなガラス窓に煌々と輝く照明、店内音楽はインストゥルメンタル、お茶はジャスミンティー。
名店「元気一杯」のような締まった空気は一切なく、ファミレスのようなふらっと気軽に入れる雰囲気。
さて、その中は・・・
食券購入後、入り口脇に現れたこのスペースは
たかなバーです。
元気一杯直伝の高菜が食べ放題、加えて、辛口、中辛、甘口の3種類用意!大きめにカットされた葉が特徴です。
豚骨ラーメン店で付けあわせとしてよく見かける高菜。自然、わたしも数多の高菜を食べてきましたが、この高菜はわたしの食べ歩き史上最高と言ってよい出来映え!美味い!
ラーメンは「濃厚豚骨ラーメン」「豚骨ラーメン」「焼きラーメン」の3種。
一杯目は「濃厚豚骨ラーメン」
1号店の柳橋本店に比べるとやや大人しめ。とはいえ、この系統の特徴である、脂が溶け込んだようなクリーム感と骨感の融合は健在。麺、チャーシューは普通・・・というか影が薄く「元気一杯」同様、スープから飲むことが好きな人が集う店のコンセプトが感じられます。
二杯目は「焼きラーメン」(ライス付)
焼きラーメンは、目の前で鉄板に豚骨スープを注いで仕上げる仕様!具は高菜、キクラゲ、もやし、チャーシュー、紅ショウガなど、彩り豊か。豚骨スープはねっとりして抑えめの味付け。ラーメンをぐいっと捻って焼きラーメンに変換したような個性派です。
今後、3号店、4号店と展開していくかどうは分かりませんが、革新的とも言える「高菜バー」はぜひ続けてほしいと願います!
紹介しているお店はこちら!
店名:博多豚骨ラーメン 元気一番 箱崎店
住所:福岡県福岡市東区東浜1-2-26
営業時間:11:00~24:00
定休日:なし
5.【はかたやexpress】激安ラーメンで知られるあのグループが元祖長浜屋インスパイアだと!?
言わずもがな「豚骨ラーメンはワンコイン(500円)でないと」という考えは福岡に根強く残っていますが、500円どころか300円未満でラーメンを提供する「博多ラーメン はかたや」というチェーン店をご存知でしょうか?実は「はかたや」は1976年から40年以上続くチェーン店。同系列に1998年から続く「博多ラーメン 膳」があり、こちらも300円未満の豚骨ラーメンを提供しています。
その歴史ある「はかたや」の箱崎店が、2017年8月、「はかたやexpress」に看板を掛けかえ
元祖長浜屋インスパイアとしてリニューアル
しました!先の「博多元気一番箱崎店」と同じ3号線沿い、徒歩で行ける距離です。
ラーメン 400円
券売機の前に立つと食券購入を待たず店員さんが歩み寄り「麺の硬さはどうしますか?」の確認!入店直後に麺の硬さを伝える「元祖長浜屋スタイル」を踏襲してますね!
卓上を見やると、プラスチック製湯のみ、やかん。厨房の方を見やると、大量の丼を並べて作る作り方、そして、提供されたラーメンの丼の文字の色あい。
どうせ真似るなら丸ごと徹底的にやる!という信念が感じられます!
ラーメンは「長浜屋」ほどシャバくはなく、そこそこ乳化したスープ。麺やや太め、肉、この辺の再現度はなかなかのもの。「長浜屋」のようなスナック菓子を食べたような食後感は無し。もしかするとキチンと作りこみすぎてるのかも(笑)
そういえば最近、福岡では「はかたやexpress」に限らず元祖長浜屋インスパイアのお店が目につきます。パッと思いつくだけでも「元祖糸島ラーメン 銅鑼」「五号線沿いの元祖長浜ラーメン」「ザ・ナガハマラーメン」等が挙げられますが、元々チェーン店として地力のある「はかたや」がこのスタイルで成功すれば「元祖長浜屋インスパイア」が豚骨ラーメンの一ジャンルとして幅を利かせていくかもしれませんね。
紹介しているお店はこちら!
店名:はかたやexpress
住所:福岡県福岡市東区箱崎4-9-40
営業時間:10:00~23:00
番外編 6.【純豚骨ラーメン 鶯】佐賀から筑紫野市にやってきた純度の高い極上豚骨!!
2017年3月、福岡県筑紫野市にオープンした新店。今回の記事は福岡市の新店中心ですが、こちら「鶯」はバツグンに美味かった、要は、今年の福岡豚骨新店では一歩抜けた存在と思い紹介させて頂く次第。
店内カウンターには佐賀の名店「いちげん」大将から贈られた丼が飾られており、熱い激励の言葉が記されています。厨房では金属製の柄杓で寸胴をゴンゴンかき混ぜており、店内講釈によると呼び戻し製法とのこと。
写真は「有明海苔ラーメン」の「月見」トッピング
サラッと粘度は控えめながら骨太で、その骨太さは、レンゲで掬うと骨粉が視認できるほど。
有明海苔(写真では丼の外)は、ノーマルの海苔(丼内)とは艶からして全く違う別の食べ物。ぶ厚くて食べ応えがあり、必須トッピングと言えるでしょう!
更に後半生卵を割ると濃いめの骨と混ざってよく合う!帰りはたまたまかもしれませんが、店主が出入口までお見送り。気合が漲る実直な豚骨は「純豚骨」という字がよく似合う実力店です!
紹介しているお店はこちら!
店名:純豚骨ラーメン 鶯
住所:福岡県筑紫野市原田3-1-17
営業時間:11:00~15:00、17:00~21:00
定休日:木
Facebookページ:https://www.facebook.com/uguisu.3.9/
以上6軒。一口に豚骨ラーメンとは言ってもそのスタイルは様々、6者6様の豚骨達ですね。いわゆる「非豚骨」は、醤油、味噌、塩、鶏白湯、つけ麺など、もともと別れているジャンルを一絡げにしているので多様なのは当たり前なのですが、実は「豚骨」も一ジャンルの中でこれだけバラエティに富んだ豚骨が楽しめるのだ、ということが分かります。80年が経過した現在でも、豚骨の鉱脈はまだまだ掘り起こしていけそうです!