今年4月開局した渋谷区のコミュニティFM『渋谷のラジオ』(87.6MHz)。その中で毎週金曜14時から放送される番組『渋谷のぐるなび』では、毎回1名のメシコレキュレーターさんをお招きし、渋谷区の美味しいグルメ情報についてお話を伺っていきます。当サイト・メシコレでも、ラジオでお話しいただいた内容を毎週ダイジェストでお届けしていきます。
今回は、5月6日に第5回ゲストとしてお招きした、クラフトビールに詳しいキュレーター『村岸ゆうきさん』の回をお届けします。
『渋谷のラジオ』
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第5回ゲスト:村岸ゆうきさん(お酒キュレーター)
MC)本日はフードアナリストでJCBA認定シニアビアテイスターでもある『村岸ゆうきさん』にお越しいただきました。
さっそくですが、村岸さんが持たれている「JCBA」というのは、どういった資格なのですか?
村岸)ソムリエに近いのですが、ビールのあるべき姿やあってはいけない味などを評価できる方に与えられる資格です。最初に「ビアテイスター」という資格があり、それを取ってから何年か経つと、私が取得しているさらに上級の資格、「シニアビアテイスター」の受験資格が得ることができます。
MC)村岸さんはビールがお得意なキュレーターさんですよね。
村岸)お酒が大好きなので、ビールだけではなくお酒全般ですかね。でも、小さい頃は大人が飲んでいるビールの臭いが全然ダメで、「大人ってどうしてビールが好きなのだろう?」と思っていました。そして、大人になってビールを飲んでみると、ビールが美味しく感じるときと感じられないときがあって、こういうときだと美味しく感じられるんだということが徐々にわかってきた中で、それをブログなどで書くようになっていきました。
例えるなら、お刺身に近いと思うんです。鮮度がよいお刺身だと美味しく食べられるけれど、鮮度が悪いものは全然・・・といった感じで。
MC)なるほど。今までに4,000杯以上のビールについてブログで書かれているということですが、ブログを拝見すると「クラフトビール」って言葉がたくさん出てきますよね。ずばり、「クラフトビール」を簡単に紹介するとどういったものですか?
村岸)日本各地にある民芸品などを「クラフト」と呼ぶように、そういう工芸品というか、ひとつひとつ手作りで作られた、作り手が見える小規模生産のビールを「クラフトビール」と呼んでいたりします。昔は「地酒」「地ビール」というような呼び名でもありましたが、作り手さん自身も自分たちのやっていることに誇りをもって作っているので、最近は「クラフトビール」という呼び名を用いるところが増えています。
MC)いわゆる大手が作っているものではなくて、その土地土地で作られているビールを指す感じでしょうか?
村岸)はい。そこから派生して、全国や世界に発信できるようなクオリティの高いビールを「クラフト」とみんなが呼ぶようになったのではないかと思います。
MC)他にもサワー、ハイボール、5大シャトー、ビンテージシャンパーニュにも詳しいとブログには書かれていますね。ビールに限らず普段から色々と飲まれるのですか?
村岸)昔から大衆酒場も好きですし、フランス料理にあわせてワインを飲むのも好きです。お酒全般何でも好きで飲んでいますね。
作り手の方が見えるところがクラフトビールの魅力
MC)なるほど。どういうビールが美味しいとされるのでしょうか?
村岸)のど越しや口当たり、香りがよいことと、こういうビールを作りたいという作り手さんのポリシーが表現されていることが重要ですね。こうしようと思って別のものができた、というのでもよいのですが、そういう過程を経て理想通りによいビールができ、かつ飲食店でもよい状態で出している、というのが最高ですね。
MC)それを感じられた時、美味しいと思うわけですね。
村岸)そうです。「このビール、なんで美味しいんだろう?」と思ったときに、出しているお店の方が「さっきすごくいい状態で届いたんですよ。」「ブリュワーさんもよい出来のビールって言っていました。」などと話してくれると、ああ納得と思うんですよね。
クラフトビールの魅力というのは、そういう作り手の方の顔が見えるところですかね。
日本酒もそうだと思いますが、大手のビールが常に同じ状態を保ちながら作っているものだとしたら、クラフトビールはその季節ごとの違いをも活かして作る、というものです。
MC)もはや作り手さんのお話を聞いているかのように研究熱心ですね!
■テーマ1:「鉄板のお店」
MC)ではここから、渋谷区で村岸さんおすすめの美味しいビールが飲めるお店をご紹介していただきましょう。まずは、「鉄板のお店」からお願いします。
村岸)鉄板のお店として紹介したいのは、代官山の『スプリングバレー』です。キリンさんが作っているクラフトビールのお店で、「ログロード」という新しくできた商業施設の中にあります。中にビール工場があって、外から見やすいように透明のタンクにビールが入っているんです。ビールは普通、日光が当たってはダメなのですが、そこを研究して透明のタンクを作ったそうです。
東京都内でも、小規模なブリュワリーで中にレストランもあるというところが最近増えていますが、ここは大きめの施設ですし、代官山ということでアクセスもよく、誰でも入りやすい雰囲気が魅力です。クラフトビールは6種類のテイスティングセットがあるので、ちょっとずつ色々な種類を飲みたいという方にはおすすめです。
MC)ビールのテイスティングって、難しくないですか?味が全然違うものなのでしょうか?
村岸)全然違いますね。苦味のあるものからラズベリージュースのようなものまで、とてもわかりやすいので初心者の方にもおすすめです。お茶利きよりもわかりやすいのではないでしょうか(笑)。初心者の方からビール好きの方まで楽しめる場所だと思います。
ちなみに、この中では私は「コープランド」が美味しかったですね。チェコ産のザーツというホップを使った、ピルスナービールです。
▼このお店についての記事を読む▼
アサヒ・キリンのクラフトビール!注目のブルワリーレストラン
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■テーマ2:「知る人ぞ知るお店」
MC)では次に、「知る人ぞ知る穴場なお店」をお願いします。
村岸)ビール通の方はご存知だと思いますが、神南にある『クラフトヘッズ』というお店です。もともとはアメリカの直輸入ビールを扱っていましたが、クラフトビールも最近はたくさんあって、燻製のお料理とともに楽しめるお店です。
カウンターがメインなのでひとりでも入りやすいですし、男性にも気に入ってもらえるかっこいい雰囲気のお店です。ビールの種類としては、ホップという苦味がきいたビールが多めに揃っていますね。「ヘッズ」はマニアという意味なので、クラフトビールにこだわりの強いお店です。
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アメリカンBBQとクラフトビールが楽しめるお店 4選
https://mecicolle.gnavi.co.jp/report/detail/5142/?from_article
■テーマ3:「注目の新店」
MC)それでは最後に、注目の新店をお願いします。
村岸)恵比寿にある『TBE brewing』というお店をご紹介します。この街は元々みなさんご存知、有名なビール会社さんのお膝元でもあるのですが、なかなかお洒落にクラフトビールを飲める場所がなかったんです。ですので、こちらのお店でどれぐらい浸透していくかが楽しみです。タップ数(ビールの注ぎ口をタップといいます)は10種類あり、比較的多いですね。
このお店を知っていれば、恵比寿で美味しいビールが飲みたいときの選択肢がひとつ増える、という感じですね。
MC)クラフトビールは全国的にも人気が高まってきているのですか?
村岸)大都市はやっぱり増えていますね。最近ですと、原宿に「タップルーム」という有名なブリュワリーさん直営のお店もできました。
MC)今日は本当に「ビールといえば居酒屋でとりあえず最初に頼むもの」というイメージががらりと変わりました。
村岸)私もキンキンに冷えたジョッキのビールはもちろん好きなのですが、クラフトビールのように、また違ったビールもあるということをぜひ知っていただきたいですね。どっちがいいとかではなく、どちらも楽しんでほしいです。
MC)そうですね。ぜひ村岸さんにはビールが美味しい夏頃にまたお越しいただきたいところです。
そろそろお時間となりました。本日のゲストは村岸ゆうきさんでした。ありがとうございました。
『渋谷のぐるなび』では、今後もメシコレのキュレーターさんを毎週ゲストとしてお招きし、渋谷の美味しいお店をご紹介していきます。
次回は、ラーメンに詳しいキュレーターの『石山勇人さん』をお招きいたします。ラーメン界では有名な石山さんですが、実はご実家が神主をされているそうで、その辺りのお話もお伺いしつつ、渋谷の美味しいラーメンをご紹介いただきたいと思います。
来週もお楽しみに!
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