今年4月開局した渋谷区のコミュニティFM『渋谷のラジオ』(87.6MHz)。その中で毎週金曜14時から放送される番組『渋谷のぐるなび』では、毎回1名のメシコレキュレーターさんをお招きし、渋谷区の美味しいグルメ情報についてお話を伺っていきます。当サイト・メシコレでも、ラジオでお話しいただいた内容を毎週ダイジェストでお届けしていきます。
今回は、4月22日に第3回ゲストとしてお招きした、酒場案内人『塩見なゆさん』の回をお届けします。
『渋谷のラジオ』
https://shiburadi.com/
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第3回ゲスト:塩見なゆさん(酒場キュレーター)
MC)本日は、年間1,000軒以上の酒場をはしご酒するという、酒場案内人の『塩見なゆさん』をお迎えして「渋谷のぐるなび」をお届けします。実は…私はお酒が飲めないパーソナリティーなのですが(苦笑)、塩見さんは年間1,000軒のお店を飲み歩くということで、ぜひ酒場の面白さについてお伺いしたいと思います。今日はスタジオにビールを用意しましたので、ビールを飲みながら番組をお届けしていきます!
(プシュ!)乾杯〜!
塩見)まだ明るいうちから飲むお酒は最高ですね!
MC)すごく美味しそうに飲まれますね!早速ですが、塩見さんのブログを拝見したところ、塩見さんの特徴として「はしご酒」が気になっていまして。そもそも年間1,000軒となると、365日で割っても1日に何軒?という風に思ってしまうのですが、実際にはどのような飲み方をされているのですか?
塩見)表向きは1,000軒と言っていますが、実は1,500軒くらいで、もっと行っているかもしれません。少なくても1日3~4軒、多いときは7〜8軒。明るい時間から開いているお店からまわって、最後は終電を越えるくらいまで飲み続けるという飲み方をしています。
MC)1軒でじっくり飲むというよりは、お店をはしごされるわけですよね?
塩見)そうですね。でも1軒で2〜3杯は確実に飲むので、結構な量にはなります(笑)
MC)はしご酒の魅力ってどういうところなのですか?
塩見)お店が変わるとお店の雰囲気も変わるので、新しい空間を楽しむということができるんですよ。居酒屋さんって、入った瞬間からお店の雰囲気や料理、メニューなどから面白さを感じられるので、私は毎日人の何倍も飲み屋さんの楽しさを味わえるのかなと思っています。
MC)飲むお酒の種類も様々なのですか?お店をまわる順番などにもこだわりがあったりするのですか?
塩見)お酒の種類は、最初だいたいビールからはじめますが、バルに行ったらワインや日本酒といったように、お店にあわせて色々なものを選びますね。まわる順番としては、最初は立ち飲み屋さんのように1軒目として入りやすいお店に行って、2軒目でしっかり食べて、3軒目からからゆっくりお酒に比重をかけていくという飲み方をしています。
MC)一緒に行くメンバーは決まっていたりしますか?
塩見)お店には1人で行くことが多いですが、お店で合流した人と、じゃあ次はあそこに行きましょうみたい話になることもありますね。お店で新しいパーティーを組んで、次の飲み屋に出かけていくというような感じです。
MC)ゲームみたいで面白いですね!ちなみに、渋谷の酒場の特徴などはありますか?
塩見)やっぱり若い方が多いので、ダーツバーだったりお洒落なカジュアルバーが多いイメージがあります。ただそれとは逆に、サラリーマンが多い街だったりもしますし、昔から渋谷に本社を構える老舗の会社も多いので、そういうところで働かれてるおじさんたちが楽しく飲めるお店もポツポツあるというイメージですね。
MC)意外と大人のお店もあるんですね。
塩見)探すと、雑居ビルの地下などにいいお店があったりしますね。
角打ちは大人の"駄菓子屋"
MC)塩見さんのブログを拝見していると、立ち飲み屋さん以外にも「角打ち」も注目されているそうですね。そもそも角打ちってどういうものを言うんですか?
塩見)角打ちは酒屋さんがやっている飲み屋さんのことで、本来は酒屋の隅でお酒を飲むというのが角打ちの定義なんです。ただその意味も段々広がってきていて、料理をしっかり出すお店があったり、酒屋さんが直営しているレストランのことも角打ちと呼ばれていたりしますね。基本は酒屋さんがやっている飲み屋というイメージで、酒屋さんで売っているをお酒を取ってきて、そのまま安価に飲めるというのが特徴です。
MC)子どもの駄菓子屋みたいな感じですね。楽しそう!
塩見)そうですね。並んでいるお酒を選んでいるおじさんを見ていると、本当に駄菓子屋さんみたいです。大人がやっている駄菓子屋のような感じです。
角打ちの醍醐味はやっぱりライブ感です。お酒に囲まれた空間でお酒を飲むというのは、家で飲むのとは違う緊張感がありますし、お酒に囲まれているという楽しさがありますね。
■テーマ1:「鉄板のお店」
MC)それではここからが本題で、渋谷のおすすめのお店を教えていただきたいと思います。まずは「鉄板のお店」からお願いします。
塩見)鉄板のお店は、やっぱり『富士屋本店』さんですね。名のある酒屋さんが直営されているお店です。入り口から貫禄のある雰囲気のお店なのですが、階段を降りていくと、店内は小学校の教室くらいの大きさがあります。そこに大きいロの字型のカウンターがあって、大勢のお客さんが並んでお酒を飲んでいる、そういった場所です。
MC)サラリーマンが多そうなお店ですが、女の人でも入れるような雰囲気のお店なのですか?
塩見)昔はあまりいませんでしたが、最近は若い女性も増えていますよ。女性が2~3名で来て、「なす味噌、まぐろブツ、大瓶!」とか注文して飲んでいて、カッコいいですよね。ただ私は「ハムキャ別も付けたほうがいいのに。」と思いながら遠目に見ていたりもします(笑)
MC)え!?それってどういう意味なのですか?
塩見)富士屋と言えば「ハムキャ別」と昔から常連さんの間では通っているメニューがありまして。スライスキャベツの千切りの上にマヨネーズを乗せて、その上にハムを乗せている簡単なメニューなのですが、これが美味しいんですよ。
また、このお店でビールの他に人気なのが、焼酎とホッピーを1対1で割る飲み方があります。普通のお店ではホッピーセットがあるのですが、富士屋さんではそういう売り方をしていないので、焼酎とホッピーの瓶を1本ずつ買って、それを1対1で飲むという感じです。これなら1,000円以下でかなり酔っ払えるんですよ。
MC)富士屋本店さんって、確か傍にお洒落な飲み屋さんもありますよね?
塩見)1階にあるお店も同じ酒屋さんの系列で、「富士屋本店 ワインバー」という立ち飲み屋さんがあります。ボトルワインの品揃えが豊富でリーズナブル、さらに立ち飲みとは思えない驚きのクオリティの料理も出てきます。最近は浜町にもお店を出店されていて、渋谷から新しいワイン文化が発信されているのかなとも思っています。
MC)ちなみに、富士屋本店さんからはしご酒をするのであれば、次はどういうお店に行かれますか?
塩見)近いところですと、魚で有名な『福ちゃん』さんがありますね。魚の盛りがよくて、2,000円あれば満腹になるぐらい食べて飲んでができるお店です。そこで飲んだ後は、焼き鳥の『鳥竹』さんですね。お昼の12時から開いていて、焼き鳥のお肉が直径10cmくらいありそうなほど大きいんです。そこで満腹になったら、次は渋いお店で『細雪』さんなどがいいですね。そこまで行くとちょっと酔っ払ってきたな~という気分になれるかなと思います。
さらにそこからもう1軒行くとすれば、『山家』さんですね。渋谷で24時間営業されているお店で、生樽のラガービールが置いているところは渋谷では他にないのではないかと思います。
※記事の最後で、今回ご紹介いただいたお店についてのブログ記事を一覧で掲載しています。
■テーマ2:「知る人ぞ知るお店」
MC)では次に「知る人ぞ知るお店」を教えて下さい。
塩見)恵比寿にある『山本商店』さんをご紹介します。こちらは午前中からやっている酒屋さんで、かなりの種類のワインボトルが揃っています。普通はお客さんがお酒を買ったり、飲食店さんが仕入れをしているんですが、入り口にカウンターと立ち飲みスペースがあって、お昼からお酒を飲むことができます。しかも、お店で売っているそのままの値段で、プラスオンはないんです!
MC)お店に売っているそのままの値段で!?しかも場所は代官山と恵比寿の間という好立地じゃないですか。
塩見)そうなんです。場所もお洒落なエリアですし、ワイングラスも貸してくださるので、めちゃくちゃいいお店です。
夜は混み合いますが、昼は飲食店の方が飲んでいたりするので、良い情報共有の場にもなります。電子レンジもあるので、缶詰やパスタなどを温めていただくこともできます。
MC)いいですね!行ってみたいです。
▼『山本商店』さんについての記事を読む▼
こだわりのお酒をリーズナブルに!東京角打ちガイド(5店舗目)
https://mecicolle.gnavi.co.jp/report/detail/4982/?from_article
■テーマ3:「注目の新店」
塩見)恵比寿と言えばサッポロビールさんの本社もあるので、恵比寿界隈はいいお店が多いんです。山本商店さんから移動して飲みに行くとすれば、「注目の新店」として紹介したいお店なのですが、立ち飲みの『喜久や』さんがお勧めです。「天ぷら立ち飲み」という新しいジャンルで、去年できたお店です。
MC)てんぷらで立ち飲みってあまり聞かないですよね。それはどういうお店なのですか?
塩見)「海外の人から見た日本の飲み屋ってこうだよね」というように、イメージを外国の人から見た世界として作られているところが特徴で、やりすぎな日本という感じもあるのですが、それが逆に日本人にとっては新しく新鮮に感じられます。
食べ物は天ぷらが中心ですが、通常の天ぷら屋さんにはない、こだわった珍しいものもあったりします。飲み物は日本酒が豊富で、定番は「桜正宗」という兵庫の灘の名酒です。「菊正宗」は有名ですが、「桜正宗」は、江戸時代に東京で飲まれていた人気のお酒でとても美味しいんです。
MC)ちなみにこちらのお店は、何軒目におすすめですか?
塩見)ここは1軒目ですね。『山本商店』さんが0軒目で(笑)
MC)0軒目ですか(笑)
塩見)そうですね。『喜久や』さんを1軒目に使って、そのあとは座って飲める恵比寿のお店に行くといいかなと思いますね。2軒目ですと恵比寿の駅前にある『たつや』さんがいいですね。朝からやっている大箱の焼き鳥屋さんなのですが、夕方には売り切れになっているメニューもあるほど人気のお店です。
そこから「まくら」が有名な『とよかつ』さんという焼き鳥屋さんもありますし、『かおる』さんという長くやっていらっしゃる店もあります。恵比寿はお洒落なイメージですが、路地裏にはいい雰囲気の酒場がたくさんあるので、ぜひ皆さん飲み回ってほしいですね!
酒場は職場と家の間をつなぐ「第3の居場所」
MC)最後になりますが、塩見さんのブログで、「いい酒場で飲むとお酒はもっと美味しくなる。いい酒場を知ると暮らしが豊かになる。いい酒場の出会いは人生を潤す。」と書いてあって、素敵だなあと思いました。
塩見)ありがとうございます。酒場は職場と家の間をつなぐ、新しい何かが生まれる場所なので、第3の居場所として使ってほしいですね。
MC)酒場がほっと寛げる大事な場所ということがよく分かりました。
まだまだ聞きたいことはたくさんあるのですが、そろそろお時間なので、続きは酒場でということですね。本日のゲストは塩見なゆさんでした。ありがとうございました!
『渋谷のぐるなび』では、今後もメシコレのキュレーターさんを毎週ゲストとしてお招きし、渋谷の美味しいお店をご紹介していきます。来週は、焼きそばキュレーターの『塩崎省吾さん』をお招きし、渋谷の美味しい焼きそば屋さんについてご紹介いただきます。
来週もお楽しみに!
▼今回ご紹介したお店に関する塩見なゆさんの記事を読む▼
==渋谷==
■富士屋本店
http://syupo.com/archives/10485
■富士屋本店 ワインバー
http://syupo.com/archives/1309
■魚がし 福ちゃん(4店舗目)
https://mecicolle.gnavi.co.jp/report/detail/5700/
■鳥竹
http://syupo.com/archives/546
■細雪
http://syupo.com/archives/658
■山家
http://syupo.com/archives/16282
==恵比寿==
■山本商店(5店舗目)
https://mecicolle.gnavi.co.jp/report/detail/4982/?from_article
■喜久や
http://syupo.com/archives/14687
■たつや
http://syupo.com/archives/6735
■とよかつ
http://syupo.com/archives/10150
■かおる
http://syupo.com/archives/11021
▼その他の渋谷のラジオの模様はこちら▼
https://mecicolle.gnavi.co.jp/k60/?from_article