「温泉に行こう!」という知人からの衝動的な誘いを受けて、たまたまチケットを持っていた全国に数か所ある温泉付きリゾートホテルの予約状況を調べたら鬼怒川に空きがありました。
あれよあれよと言う間に、3日後の旅行が決定。かなりタイトなスケジュールではあったのですが、出掛けるとなったらまずすべきはパン屋チェックです!
そこで見つけたのが「食パン専門店 利」でした。営業は土曜日のみ、女性シェフが自宅で営むパン屋さんです。扱うのは食パンとそれを使ったサンドイッチ、開店待ちの車の列が写った写真、そしてなによりもパンの写真が私を惹きつけました。
丁度旅行は週末、行ける!でも昼には完売する日もあるとの情報に、早速予約をしようと連絡先を探しました。
店舗情報には、朝早くか夕方の短い時間の電話予約のみと記されたところもあり、ハードルが高いと諦めかけたところでFacebookのメッセージでなら24時間受付の文字を発見。
さらに…なんと、最近になって今まで4日前までだった予約期限を3日前までに変更されたとありました。私が「利」を発見したのが3日前の昼、これは…運命?!
Facebookで食パン2種の予約可否を尋ねたところ、夕方を待たずに返信があり、OK。喜ぶのもつかの間、続いて「到着は何時になりますか?」と問われ、「14時頃には到着できると思います」と返すと「予約品の受け取りは午前中でお願いしています」とのこと。
場所は日光東照宮のあたりなので、10時頃にのんびり出発を考えていた私たちにとっては14時でもギリギリ…すぐに同行者に事情を説明し、午前中到着のための8時出発に了解をもらいました。
当日、平日と変わらぬ時間に起きて、出発。最後の最後で少し道に迷いましたが、なんとか11時45分に到着できました。安堵するとともに、その時点でほぼ私の予約品と2種の食パンが数本残っていただけという状況に噂にたがわぬ人気ぶりを実感しました。
なによりも私の心に響いたのは、その丁寧に作られたことを感じさせる穏やかな表情。
パンに表情がある、などと言い出すと「マニアック…」と引かれてしまうかもしれませんので、パンから漂う雰囲気がとても穏やかで優しいと言い換えましょう。
側面はしっかりと腰が立ち、上部の角は柔らかなカーブを描いたキツネ色の体躯はまぶしいばかり。奪目とともに、たまたま残っていた予約未済の3種目の食パンをキープです。
予約した2種の食パンはいずれも角型、この美しいホワイトラインを見て下さい。
このラインがきれいに出るのは、発酵の見極めが適正に行われている証拠。店主の地明真希さんが独りで造り、販売するという営業スタイル。加えて週一回とはいえ一度にそれなりの量を生産しているという状況下でこの仕上がりは天晴れ!
後で分かったことなのですが、このラインは地明さんのこだわりポイントで、きれいなラインの出なかったものはお店に出さないとか…ご自身がパン好きだからこそのこだわり、あの美麗なパンが作れるのは想いの深さゆえだったのだと改めて感じました。
限定生産の「プレミアム食パン」には上面の角に「利」の焼き印が押されています。
見た目だけでなく、ブレッドナイフが抵抗なく進んでいく柔らかさ、中身はきめ細やかで、口に入れると口どけ良く、小麦から引き出された甘味が全体の旨味となって強く感じられる特別感のある食パンです。
1本=2斤で1300円と値段もプレミアムではありますが、一度は食べたい食パンかもしれません。
でも、それ以上に私がおすすめしたいのは「利の食パン」。すっきりした香りと癖のない味わいで、そのもので食べる以上に、なにかと合わせて食べたい食パンです。
焼き立ては焼かずにサンドイッチで、翌日はトーストしてたっぷりのバターを塗って、残りは冷凍しておいてチーズやジャムと一緒に…などと楽しみが尽きず、ベタな言い方ですが「毎日食べても飽きない」使い勝手のよい食パンです。
3種をそのままトーストして食べ比べてから、その印象で「プレミアム」はなにも足さずにそのものを楽しみ、「利の…」はハム、チーズ、卵やジャムと組み合わせて、3種目の雪山も「利」と同じ方向性で食べきりました。
できれば、そのシチュエーションごとに厚さも変えたかったのですが、買ってすぐに冷凍庫に収めてしまったので、それぞれにほぼ同じ厚さに切ってしまっていたのでそれはかないませんでした。
本当なら、1本ずつ購入して、食べるごとに切り分けて食べられればベストだったのかもしれません。
パンの特性を知り尽くしているだけあって、サンドイッチメニューも魅惑的でした。
営業日ごとに、お食事系、デザート系合わせて6~7種のサンドイッチを用意してくれているのですが、パンと具材の相性が抜群です。
私は地元の野菜をふんだんに使った「7種のベジタブル」と、こだわりリンゴを長時間煮込んで作った「煮りんごクリームチーズ」の2種を購入し、すぐに車中でいただきました。
見た目に新鮮であることが確認できる野菜はシャキシャキと小気味よい食感、リンゴのスライスがいいアクセントになっていました。
煮リンゴには爽やかな酸味が残されており、クリームチーズがそれをまあるくして全体に一体感を与えています。
「美味しく食べてほしい」、「持ち帰った食パンを美味しく食べるヒントにしてほしい」、きっとそんな気持ちで作ったに違いない…作り手の愛情が伝わるサンドイッチでした。
食パンは自宅に戻ってからになりますが、このサンドイッチはその場ですぐに食べられるのも大きな魅力。メニューはFacebookでチェックできますので、必ず食べたいメニューは予約をおすすめします。
旬のフルーツでジャムを作るなど、不定期で情報がアップされることもあるのでFacebookは要チェックです。スコーンの販売をこっそり告知してくださったり、イベント出展のメニュー紹介などこまめにアップしてくれるので参考にしてください。
以前は平日本業、週末パン屋の兼業でしたが、じわじわと口コミでパンの評判が広がり、現在はパン屋業に専念。ますますパワーアップが期待できそうです!私にとって、そう頻繁に行けるところではありませんが、絶対にまた行きたいお店。女性の起業、という観点でも応援したいお店です。
紹介しているお店はこちら!
店名:食パン専門店 利
住所:栃木県日光市野口692-2
電話番号:090-7801-7383
営業日:基本毎週土曜日(平日営業もあり、Facebookページで要確認)、
営業時間:9:00~完売まで
予約:電話 月~水、6:30~7:00・18:00~19:00、Facebookメッセージ 24時間受付
https://www.facebook.com/toshisyokupan/