おつかれ麺です。オゴポコです。
先日、とあるテレビ番組で「博多一風堂」の方が、こう仰っていました。
「一年間に全国で新規開店する店は約3600店、看板を下ろす店もほぼ同数、約3600店」
それを聞いてふと思ったのは、福岡市内に一年で何軒のラーメン店が産声をあげているのか?ということ。30軒?50軒?いやもっと多かったりして。
いずれにしても、僕は新店を片っ端から追っかけるよりも、信頼できる筋の情報をもとに調査を進めて「ここは!」と目を付けた店へ行くタイプ(情報の鮮度よりも熟成度を重視)なので、数はそれほど気にはしていません!
今回は、福岡市内にオープンして一年余り以内の新店を調査し実食した結果、5軒を選出してみました。僕にとっては引っかかる「何か」があった店ばかりですが、さて、皆さんはいかがでしょうか?
1.ラーメン屋 游(福岡市城南区)
年商11億円の市内某有名豚骨ラーメン店で腕を磨いた方が2014年11月に開いた店。こういうお店は、同じ新店でもまったく素性が分からない店より期待値が高めになってしまいます!
いつもそうなのかは分かりませんが、スープは注文毎に小鍋で温め直しており、チャーシューも注文を受けてから切り分ける丁寧な仕事っぷり。そして、このチャーシューが福岡の豚骨ラーメン店の中では頭ひとつ抜けたレベル!しかも2枚入り!!
福岡では「ラーメン=廉価な食べ物」という考えが根強いからか、スープに原価をかけて、その分トッピング(特にチャーシュー)が弱くなる傾向があるように思えます。しかし、それは逆にトッピングを充実させるだけで他店を一歩リードできることにもなります。「游」は狙ってか狙わずか、それができていることが素晴らしい。
公式サイトを見ると「国産小麦の自家製麺」「旨みと深いコク、マイルドなとんこつスープ」「しっとり柔らかいチャーシュー」とうんちくてんこ盛りなのですが、そのうんちくに思わず「そのとおり」と頷きたくなる見事な豚骨ラーメンです。特に豚骨スープ、僕の気のせいかも知れませんが何となく、旭川の「蜂屋」みたいな後味で面白い。
醤油、豚骨醤油、豚骨魚介、混ぜそばなど期間限定メニューを出すなど創作意欲旺盛な点にも伸び代を感じますし、いずれ福岡を代表する豚骨ラーメン店になるかもしれません。
紹介しているお店はこちら!
- ラーメン屋 游
- ラーメン 地下鉄七隈線 別府駅 徒歩17分
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2.海鳴食堂(福岡市博多区)
東京帰りの変わり豚骨で人気を博す「海鳴」系列の4店舗目「海鳴食堂」が2015年5月にオープン!こちらではラーメンだけでなく定食(唐揚げ、とんかつ、海老・白身魚フライ、ギョーザ)もあり。またオープンを機に自家製麺を導入したとのこと。
※ちなみに「海鳴」の名づけ親は東京の人気店「凪」グループの社長で、「お客様を唸らせたいという思い」と「魚介系を使用するラーメン」の2点を絡ませているそう。
さすが、変わり豚骨の雄だけあって、ラーメンは
「魚介とんこつラーメン」
「とんこつラーメン」
「ラーメンジェノバ」
「ベジトンラーメン」
以上、4種類を揃えています。店のおススメは「魚介とんこつ」とのこと。
しばらく寝かせたような熟成感のある豚骨スープに、煮干強めの魚介豚骨で、魚介が前に出た感じ。麺はさすがに福岡にアジャストしてか細麺。これが短めで啜りやすく歯ぎれもよくて、自家製麺になって「海鳴」はレベルアップしている!!
「海鳴清川店」「海鳴中洲店」「つけ麺海鳴」を束ねるハブ的存在の「海鳴食堂」が生まれたことで、ここからどのような面白い豚骨ラーメンが生まれていくのか?これからも楽しみです!
紹介しているお店はこちら!
3.博多翔龍軒(福岡市中央区)
※[編集部追記]こちらのお店は閉店しました。
博多豚骨ラーメンのルーツをもっと皆様に知ってほしい、という想いを抱くラーメン店「博多翔龍軒」が、2015年7月にオープン。
※そのルーツが何なのかについては、お店の公式サイト:http://hakata-shoryuken.com/をご覧ください。
そのラーメンは、確かにオールドスタイルで、徒歩圏内にある「赤のれん節ちゃんラーメン」と通じるものが多分に感じられます。平たい麺、茶濁豚骨スープ、甘めの味付け。紛うこと無き、博多豚骨原型の味。
そういえば、以前、テレビ番組でとある歌舞伎役者が言っていました。「伝統とは革新・進化であり、伝承は古いものをそのまま残すことだ」と。歴史を背負うことを公言する「翔龍軒」は、さてどちらなのか?同じく歴史を背負う「博龍軒」「赤のれん節ちゃん」「三馬路」などが好きな方は、ぜひ一度、ご確認あれ。
紹介しているお店はこちら!
店名: 博多翔龍軒
4.太宰府八ちゃんラーメン天神店(福岡市中央区)
あの「太宰府八ちゃんラーメン」が天神に店を構えるだと!?そのビッグニュースは2015年7月、現実のものとなりました。
「八ちゃんラーメン」と言えば「夜専門の薬院(福岡市中央区)八ちゃん」を思い浮かべる方が多いと思いますが、薬院店創業者の兄が開いた「太宰府八ちゃんラーメン」も30年以上の歴史がある人気店なのです。その「太宰府」が天神に進出してくるとは、いったい何があったのでしょうか?
いや、そのようなことはどうでもよくなるくらい「天神の太宰府八ちゃん」は美味かった!
というか「太宰府本店」より圧倒的に美味いのはなぜ?と混乱してしまいました。
※1枚目の写真は「天神店」、2枚目の写真が「太宰府本店(2015年1月)」同じ店のラーメンとは思えませんね
脂でねっとりしつつ熱々のスープが体に悪そうなうまみとあまみを携えて、よく溶いた片栗粉みたいに麺に絡む!「八ちゃん」の親戚筋(らしい)「秀ちゃんラーメン」の絶頂期が頭に浮かんでしまいました。
もしこの出来が常であれば、「八ちゃん」を食べたいときは「太宰府」でも「薬院」でもなく「天神」へ行くことをお薦めします。
紹介しているお店はこちら!
5.中華そば かなで(福岡市博多区)
豚骨ラーメンの実力店「濃厚とんこつ かなで食堂(春日市)」の二号店は、豚骨ではなく醤油ラーメン・塩ラーメンの店!場所は福岡市営地下鉄・東比恵駅そばで、2015年10月にオープンしたばかり。
醤油ラーメンの「中華そば」は、店の説明によると「透き通った清湯鶏がらスープ」「奥出雲・井上醤油店の天然醸造・丸大豆仕込 古式醤油使用」とのこと。
※なお、塩ラーメンの「塩そば」も「清湯鶏がらスープに煮干し」「桜エビ、ホタテの貝柱、干ししいたけ、羅臼昆布で作った塩ダレ」とうんちくたっぷりです!
「中華そば」の感想をざっくり言うと「何となく、支那そばやの醤油らぁ麺に似てるなぁ」の一言。そう思うと、見た目もどこかしら似ているような。
とはいえ、スープの旨味は「支那そばや」に代表される東京・神奈川の鶏ガラ清湯系より、かなり抑えめな感じ。トッピングに目を向けると、しっとりチャーシュー、ざくざくメンマ、いずれも凝ってます。自家製の麺は、カタめ信仰が篤い福岡でどう捉えられるか分かりませんが、福岡ではあまり見かけないしなやかな食感でうまい。
今後、豚骨一辺倒で硬直気味な福岡ラーメンの新店に風穴を開けられるかどうか?壁は厚いと思いますがこの「中華そば」が630円で食べられるのはかなりお得それだけは申し上げておきます!