猛暑日、熱帯夜が続いています。
バテ気味…そんな声も身近で多く耳にするようになりました。
そんな時にお勧めなのが、ビタミンBを多く含む食品。ビタミンBは代謝に利用されたり、ホルモン生産、血流・貧血改善、ストレス抵抗性を上げたり、中枢機能を補助したり、他の栄養素の吸収補助をしたりする役割があることから、「疲労」と深い関係がある栄養素です。だから不足すると疲労を感じることになり、充分に摂取出来れば疲労回復に効果があることになります。
そのビタミンBを多く含むのが、「茶色い」パン。「茶色い」とは、例えば全粒粉であったり、例えばライ麦であったり、白い小麦以外の粉(もしくは白い小麦と混合)で作られたパンのことです。
白い小麦と比べると、全粒粉やライ麦はビタミンやミネラルが豊富です。特に疲労回復ビタミンともいわれるビタミンB1は穀物の胚芽部分に多く含まれていること、また、ライ麦には摂りすぎた脂質の代謝に有効なビタミンB2を含むB群と食物繊維が豊富に含まれている点がこの時期に食べたい理由です。
両方とも使われることが一般的な「カンパーニュ」は、まさにうってつけ。それらを涼を求めて出掛けた避暑地で買えたら…そんな理想的なシチュエーションを仮定して、日差しは強くとも風が爽やかな信州長野を旅して見つけた美味しいカンパーニュを4点ご紹介します!
時期をずらしてこれから休みをとる、という方は是非目当てに出掛けてみてはいかがでしょうか。都会より一足早い秋の気配も感じられるかもしれません。
地元愛を感じる支店、「天然酵母パン」の元祖が作る絶品カンパーニュ!
代々木八幡、富ヶ谷に本店を持つ「天然酵母パン」製造販売の先駆的存在「Levian」の支店。旧北国街道柳町に軒を連ねる風情のある木造古民家を利用した商店街に出店したのは2004年、調布でのパン屋開業から20年の節目の年でした。
シェフの甲田幹夫さんがスタートから30年間、一貫して続けてきたのは、全粒粉と自家製酵母を使用すること、合わせる食材は自然で身体に優しい国産のものを仕入れること、そして欲しい分だけの量り売りをすること。特に上田店では小麦その他の食材を地元で調達でき、その風情のある佇まいだけではなく、シェフの故郷でもある上田の良さを満喫できる店になっています。
こちらのカンパーニュは、しっかりと焼き込まれ厚みがあるクラストとむちっと弾力のあるクラムの組み合わせ。穏やかな酸味で食べやすく、どんな食事にも寄り添える万能パンです。もちろん、お店の奥で営業しているレストラン「パニエ」の食事にも添えられています。
将来は宿をやりたいというシェフの理想にも一番寄り添えるパン、お店の骨格を作っている代表作です。
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薪窯独特の濃い焼き色に目が釘付け、逞しいクラストを割る幸福感に酔おう!
薪石窯を配した工房・店舗・カフェを併設。
築200年の古民家を改造したという店舗、販売スペースはパンと関連商品を確認するのに最低限必要な照明のみとなっており、趣のある空間になっています。カフェには大きな窓があり、差し込む光で明るく、そして吹き渡る涼風で盛夏も涼しく過ごせます。
パンには自家培養の酵母を使用し、時間をかけて作りあげた生地を、薪で高温に熱した石窯で焼き上げています。
焼き色は少し濃いめ、ハード系だけではなくクロワッサンもまた然り。ハード系のクラストは厚みがあり、焼き立てなら簡単に手で割れて、噛むとバリっと軽妙な音を立てます。チチッ、と小さく悲鳴をあげながらちぎる瞬間の幸福感、唯一無二と言いたい逞しい食感が決して行きやすくはない穀蔵への道のりを多くの人に辿らせます。
ただし、訪問時間には注意。通常パンが最も揃うのは昼以降、開店と同時に訪問しても前日のパンと数品の焼き上がりパンにしか出会えません。欲しいパンの焼き上がり時間を確認できればそれがベストです。
穀蔵のカンパーニュは噛みごたえ抜群、そして求められた咀嚼力の見返りに後から旨味が口いっぱいに広がります。
単体で食べて良し、なにか合わせたら「引き立て役」よりは互いが主張して高め合うような存在でまた良し。こんな「食事パン」もあってもいいと思わされるパンです。
営業時間:11:00~19:00
定休日:火曜日、水曜日、木曜日
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がっかりしない「アスパラベーコン」系、見た目ワイルドで中はふわもち♪
しなの鉄道しなの鉄道線の滋野駅が最寄り、車でないと少し行きにくい場所にあるため、ここには「わざわざ行く」という状況になりがちです。それでも行く価値があるっ!(小さい「つ」が肝心)と断言したい、相当に魅惑的なパンに出会えるお店です。
「Levain」仕込みの確かな技術で、「Levain」では買えないクリームパンやカレーパンも焼き上げる地域密着型。店舗入り口は裏手庭から、手前にはお子さんのものと思われる小さな自転車やカサが立てかけられた住居入口という生活感溢れる微笑ましい構造とパンが醸し出す素朴ながら高雅な雰囲気のギャップも魅力です。
作り手の一押しは白い小麦で作る「信州トスカーナ」。伸び伸びと膨らんだ不規則な気泡の艶美な輝きには奪目必至です。
その「信州トスカーナ」と共にハード系食事パンの2大ラインナップの片翼を担うのが「信濃ミッシュ」と名付けられたカンパーニュです。ミッシュとは英語ならばミックスに該当するドイツ語、ライ麦と小麦粉の両方を使用していることを表わしています。
クラムは色も固さもワイルドですが、「Levain」や「穀蔵」と比較すると重量、食感共に軽めで口どけの良いタイプです。酸臭ほどの酸味はなく、スッキリとした後味が爽やか。まさに信濃路に吹き渡る風のような仕上がりです。
想像以上に消費スピードは速くなることが予想されるため、ハーフ以上での購入がおすすめ。
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「程良く」あることが愛される理由、使い勝手の良さが身上のTHE食事パン
2008年開業、晴れた日には愛らしいオレンジ色の壁が空の青に映える平屋建ての店舗には、ドリンクの提供もあるイートインスペースを併設しています。
菓子パン、惣菜パン、サンドイッチと幅広いラインナップ、特にハード系には定番ばかりでなく地元食材を使用した個性的なメニューも。夏は強い日差しが長く照りつける立地であることから、清涼感のある商品の開発にも余念なく、若き店主の探究心の強さが垣間見えます。
「佐久ミッシュ」と名付けられたカンパーニュは丸型で上部に「佐久」の“S”を象ったクープ。手間のかかる双方向からのカーブの組み合わせで作られた頭文字に郷土愛を感じずにはいられません。
程良い固さ、程良い酸味、形だけではなく全体がまあるく整ったカンパーニュです。どんなものとでも相性の良さそうな食事パンの優等生、ともすれば全ての裏に隠れてしまうけれど、実はそのバランスをとったのはコレという“影の実力者”もしくは“名脇役”となってくれそうな逸品です。
不定期で、地元食材にこだわったフレンチディナーを、地元で活躍するシェフ達とコラボして提供しています。日程はお店にご確認下さい!