山西省の郷土料理を味わえる貴重なお店が新大久保に
「麺食のふるさと」とも呼ばれるだけあって中国の山西省には多種多様な麺があります。
リズミカルに生地から麺を削りだす刀削麺は日本でもあちこちで見かけるようになりましたし、指で糸を紡ぐように一本の麺を長ーく伸ばした一根麺も中華街などで食べられます。しかし山西省の麺料理の真髄はその程度では納まりません。
「えっ!? これが麺??」
そんな驚きとともに本場の味を堪能できるのが、新大久保の明治通り沿いに今年オープンした山西亭。この店で味わえる山西省郷土料理の一部をご紹介します。
常識破りの麺、ヨウミェンカオラオラオ
まず紹介するのは"ヨウミェンカオラオラオ"。
"ヨウミェン"は燕麦(オートミール)の一種=麦を使った麺のこと。"ヨウミェンカオラオラオ"はその麺を筒状にして蜂の巣状に並べ、蒸篭で蒸したものです。これを黒酢やトマトベースのタレに付けて食べる、点心のようなスタイルです。
中国では小麦を練ったもの自体を麺と呼ぶので、こんな形状でも麺の一種なんですね。このビジュアルはインパクト絶大ですよ。
魚型の麺? ヨウミェンユィーユィー
続いては"ヨウミェンユィーユィー"。これは"ヨウミェン"の生地の小片を掌で錐揉みして成型した短く太い麺を使った焼きそばです。端に行くほど細くなっていて、シラウオやドジョウなどの魚を思わせる形状なんですよ。"ヨウミェン"の特徴なのかも知れませんが、柔らかいもっちりした食感で、焼きうどんぽくもあります。
ジャガイモを使った蒸し麺、プランズ
次は"プランズ"。日本語の説明は「ジャガイモ入り蒸し麺の焼きそば」となっています。薄く長く削ったジャガイモに小麦粉を塗し、それを蒸したものを麺代わりに使った料理です。味付けは唐辛子とニンニクでシンプルに。苦手かどうかを訊かれた上でパクチーも使っています。カルボナーラぽくもあり、フライドポテトぽくもあり。不思議な味わいですよ。
予約必須の裏メニュー? 麺皮/ミェンピー
最後は麺皮(ミェンピー)。原料は麩を作るときの副産物の澱粉、いわゆる「浮き粉」です。油を塗った平らな鍋に「浮き粉」を薄く伸ばして蒸し、それを短冊状に切ったものを麺として使っています。メニューに載っていない品なのですが、たまたま山西省出身のお客さんが予約していて私も味わうことができました。プリプリモチモチした初体験の食感でした。
他にも山西省の郷土料理が多数味わえます
他にも刀削麺などの麺料理はもちろん、山西省特産の黒酢を巧みに使った山西風味鶏や過油肉(グオヨウロウ)などの郷土料理も多々味わえます。なにしろ特殊な麺ばかりなのでタイミングによっては品切れの場合もあり。目当ての品が決まっている方は予約した方が良いかも知れません。
本場の麺食を手軽に味わえる貴重なお店。興味を持たれた方はぜひ訪れてみてください。