銀座の名店が、閉店後７年して「驚きの電撃復活」

　2000年代前半、ラーメン好きの注目を集めていた、銀座八丁目の名店「らーめん 勇」。店主の体調不良もあって2007年に閉店し、幻の味になったかに思えた。それが７年後の2014年６月にまさかの復活。しかも場所は草加市の松原団地駅から徒歩だと20分弱、国道４号線草加バイパス沿いに変わった。駐車場も完備され、店内はカウンター席とテーブル席が並び、職業ドライバーさんや家族連れなど、銀座時代からは大きく変化。その為味も様々に変化していると聞き、友人たちと訪問してきた。

　食券機を見て驚くのは、メニューが豊富になっている事（開店直後は塩と醤油とトッピングだけだった）。なので、皆で色々なメニューを頼んで、それぞれの味を確認してみる事にした。

 

 

澄みきったスープの色にほれぼれ！「塩らーめん」

　銀座時代から話題に上る事が多かった勇の「塩」。

「塩らーめんあっさり」に「味玉」をトッピング。魚介系のしっかり効いたスープは口当たりがシャープながら過度な味付けを感じず、素直に中細麺を啜れるじんわりした旨みが特徴。スープと一緒に焦がしネギを入れれば風味が変わり、バラロールチャーシューの油でもスープの味わいが変わる。
　現在の味はタレを控えめにしている。銀座時代のしょっぱめの味を覚えている人は、「銀座味」を注文するとより楽しめるはず。「味玉」は銀座時代は「二黄卵」を使用していたが、現在は仕入れの都合で通常のＬサイズを使っているとの事。とはいえ、独特な半熟加減と味付けは健在。

 

 

背脂の量を増減できるので好みにマッチ「醤油らーめん」

　もちろん醤油ラーメンも「勇」の名物。背脂の量で「あっさり・中間・こってり」から選べたもの。今回は「醤油らーめんこってり」を注文し、スープの上をしっかりマスクする背脂を確認。この背脂がきめ細かいので油のしつこさが少なく、麺を啜るたびに自然に口の中に入ってきてくれるので嬉しい後味。

 

 

麺とタレをしっかり混ぜて、タレの味を楽しむ「まぜ麺」

　銀座時代の名前は「油麺」だったが、こちらでは「まぜ麺」として提供。味玉やチャーシューに加え、レタスが乗っている所が銀座時代からの特徴。もちろん麺を引き上げて具を沈めていただく。麺や具がタレと絡んできて一気に食べられる。レタスとタレの相性が特にいいのでチェックしてみてほしい。

 

 

冬の定番「味噌らーめん」も健在！

　冬季限定で「味噌」が出る事も、勇の定番。今回は「味噌らーめんこってり」を注文。味噌ダレにはナッツなど豊富な素材をブレンドしている。銀座時代よりも甘さを抑えて、幅広い客層に素直に受け入れられる味噌ラーメンを目指しているとの事。それでもこの味噌の味は他にないスタイルで、スープと麺でその味をしっかり支えているから独特。また食べたくなる絶妙な味噌味。

 

 

最大の驚き！なんで「勇」が「Ｇ麺」やってるの！？

　開店時になかったメニューが徐々に増える中、一番驚いたのは「Ｇ麺」、つまり二郎インスパイア的なガッツリ系ラーメン。半濁のスープに背脂を加え、モヤシはスープに浸けずに、茹でているので食感がありながらサクサクと食べ進められるもの。モヤシの上に乗ったネギやニンニクで食べる勢いもつく。チャーシューも通常と異なる形と味付けなので、インパクトあるこのラーメンにマッチしている。

 

 

更に「とんこつラーメン」まで提供！どれを食べても高品質！

　「黒とんこつ」もメニューに加わっている。とはいえ、スープは「Ｇ麺」とも違い白濁した豚骨スープを使用。こってりしすぎないが豚骨のエキスはスープに十分流れている。スープの上には背脂とマー油がトッピングされ、背脂の甘さとマー油の苦味が、口の中でコントラストを形成している。炙りチャーシューもガッツリした一杯にマッチしている。

 

 

「餃子」もあります！もちろん自家製！

　サイドメニューの「餃子」も自家製。しっかり焼きつつ肉の食感を感じさせるもので、ビールが進むしラーメンと一緒に食べてもいい。平日ランチには餃子をつけたセットもある。

　以前とは異なる立地条件や客層も考え、味はあの頃からすると違いもあるが、様々なメニューに当時の片鱗を感じさせ、もちろん「銀座味」で注文する事も可能。銀座時代を知る人も知らない人も、是非こちらまで足を運んでみてほしい。