銀座といえば、高級な街というイメージがあって、銀座で食事なんていうと、幾らお金が必要なんだと不安にもなるが、銀座は、そこで働く人もいる街。少し中心部から外れてみれば、サラリーマンが通う繁盛店もいくつかある。
銀座一丁目にある「岩戸」もそう。ランチタイムには、店に入りきれずに、外にまで行列ができる繁盛店。ランチで必須の「早くて、旨くて、安い(適切な値段)」を地で行く品が揃うからだ。
夏の人気メニューは、冷汁。宮崎の郷土料理である焼いた鯵と、胡瓜、茗荷、豆腐が入った冷たい味噌汁のような汁もの。これをご飯にかけてサラサラっと食べると、夏バテなんて絶対しないという気がしてくる。
一方で、アツアツの豚汁も人気。大振りの大根や人参、牛蒡に豚肉が入った豚汁をハフハフすると汗が滲む。冬だけでなく、クーラーで冷えた体にと、夏でも人気なのも頷ける。この豚汁にセットでつく「鮪の漬け」も、胡麻風味で美味。これをたっぷりとご飯にのせた「まぐろ重」を加えると、三大人気メニュー勢ぞろい。
ただ、個人的には、20cmオーバーのビッグサイズの鰯の天麩羅も捨てがたいし、1本丸々揚げる穴子天麩羅も好いし。しらす重も――とどれを食べてもはずれはない。
何より、店の活気と、慌ただしい中にも温かさと気遣いが好い。ここに来ると、ランチとは、ただ腹を満たすものではないのだと改めて思うのだ。