昔ながらのスタイルを守りながら、長年にわたり地元ファンのお腹を満たし続ける老舗店。
ここ数年、県全域で「うどんブーム」と言っても過言ではない福岡県。
『うどんウエスト』『牧のうどん』『資さんうどん』の3大チェーンに対し、『豊前裏打会』が勢力を伸ばしたり、うどん居酒屋の新店が続々とオープンしています。
4月初旬には、3大チェーンの一角である『資さんうどん』が、大手投資ファンドに買収されて全国版のニュースでも話題になりました。
また、女性店主がインスタ映えを意識した盛りつけや、和洋折衷の創作うどんなども地元の情報番組で、各局が競うように紹介しています!
今回は、そんな「うどんブーム」とは縁遠い昔ながらのうどん店、福岡市東区三苫『うどん・そば なか田』をご紹介致します。
1. 福岡のうどんと言えば、これを抜きには語れない「ごぼう天うどん」
最近はメディアの影響もあり、かなり世間に浸透した「ごぼう天うどん」ですが、ごぼうの揚げ方ひとつ取っても、それぞれの店の個性が出ています。
が、ここは斜めにスライスした少し厚めで、笹の葉のような形のものが7~8枚浮かべられます。
鰹を筆頭に、節系が強めに感じられるお出汁は、すきっとした口当たりでごぼうの風味が滲んでいます。
うどんは平打ち麺で、ほど良いコシでつゆにも綺麗に馴染んで、太めですが女性でもすすりやすく計算されています♪
2.具だくさんで、盆と正月と誕生日がまとめて来たような「五目うどん」
わかめ・とろろ・たぬき・きつね・玉子・肉、そして蒲鉾も浮かべられた賑やかな一杯♪
わかめの塩味、とろろの昆布だし、油揚げや牛肉の煮汁、そして月見が一度に味わえる贅沢さ!
私のお勧めの食べ方は最初に海藻類から攻めて、中盤できつねと肉それぞれの甘みを堪能します。
そして最後に、様々な具材の旨味が滲んだつゆにご飯(別注)を投入し、半熟玉子を崩して雑炊みたいに〆ております♪
常連客の中には〆はご飯ではなく、かしわ飯(鶏肉の炊き込みご飯)を投入する強者もおられるとの事です!
3.福岡では珍しい、薄皮も一緒に挽いて手打ちされた「ざるそば」
珍しいと言っても、福岡にだって美味しい手打ち蕎麦を頂けるお店は、それなりに存在しています。
では何が珍しいのかと言えば、ざるに盛り付けられた蕎麦そのものの色が、黒っぽい灰色であるという事!
ご存知の方もおられますが、蕎麦の実を挽くときに薄皮を剥がさず、一緒に蕎麦粉にする「挽きぐるみ」製法なのです。
実だけと違って、皮の風味がしっかりと蕎麦に反映されて、かなり力強い味わいの麺に仕上がっています。
かえしは醤油先行で、後から鰹や昆布が追いかけて来るタイプで、蕎麦の個性にも決して負けていません!
店主は厨房からお客さんに目配せしながら、食べ終わるタイミングで蕎麦湯が提供されるのも見事です(笑)
4.品書きだけでは気づかない、二通りの楽しみ方ができる「玉子うどん」
私は「玉子とじうどん」が大好きですが、残念ながらこちらの品書きには表記されていません…
その代わり「玉子うどん」との表記があり「月見うどん」とも書かれていません。
基本的に「玉子うどん」月見の状態で提供されますが、とじでお願いすると同じ料金で玉子とじで出して頂けます♪
つゆに玉子の甘みが加勢して、ふわふわの玉子と一緒にすすると幸せな気持ちになります。
是非とも薬味などは足さずに、優しい味わいを堪能して頂くことをお勧め致します!
また、かしわ飯のおにぎりを一緒に注文して、玉子うどんと親子で頂く常連の方も多くいらっしゃいます♪