2017年もいよいよ終わり、新しい年を迎えようとしている。
今年も、数多くのラーメン店が新たに誕生し、何杯ものラーメンが食べ手の舌を歓喜させてきた。
そこで、今回の記事では、2017年のラーメンシーンを彩った5つのブームを総ざらいするとともに、それぞれのブームを代表する店舗を5軒、厳選して紹介させていただくことにしたい。
この記事をご覧になった方は是非、店へと足を運んでいただきたい。
必ずや、2017年のラーメンシーンの輪郭を感じ取れることだろう。
【1】今年のブームの主役は「麻婆麺」。銀座『蝋燭屋』の1杯は、同系の代表格
ロケーションは、銀座のど真ん中である銀座三丁目。
本年10月にオープンした『SHIBIRE NOODLE蝋燭屋』は、屋号が示すとおり、「SHIBIRE(痺れ)」をテーマとしたラーメンを提供する1軒。
今年は、いよいよ辛系ブームが本格化し、麻婆を麺に合わせた「麻婆麺」を提供する店舗が急増。
こちらの『蝋燭屋』も、「麻婆麺」をイチ押しメニューに掲げ、オープン後瞬く間に人気店へと躍進。ラーメンマニアをはじめ、多種多様な人々がこぞって足を運ぶ、銀座で最も熱い一軒となっている。
ファーストアタックで、奥深さとパンチ力を兼ね備えた辛みが味覚中枢の中心を貫く。「辣(唐辛子の辛み)」と「麻(山椒の辛み)」にマスキングされることなく、毅然と存在感を放つ芳醇なうま味にも圧倒される。
食べ始めから食べ終わりまで、液状化することなく粘度を保ち続ける「餡」の完成度の高さにも驚かされる。どのパーツにフォーカスを当てても隙が見当たらない、「麻婆麺」の到達点だ。
紹介しているお店はこちら!
店名:SHIBIRE NOODLE蝋燭屋
住所:東京都中央区銀座3-5-16 第一島田ビル1F
電話番号:03-6263-2970
営業時間:11:30~15:30、17:30~22:00(LO:21:45)
公式Twitter:https://twitter.com/rousokuya105
【2】「汁なし担々麺」の人気は引き続き堅調。広島の実力店『くにまつ』が都内に進出
2017年は、ここ数年の動向がそのまま引き継がれ、「汁なし担々麺」の人気も、相変わらず堅調だった。
銀座の地に、広島市の人気店『キング軒』の東京進出第2号店がオープンしたことは、前回私が書いた「銀座特集」で触れたが、本年10月、同じく広島市に本店を構える人気店『くにまつ』が、ラーメン激戦区・神保町に東京初進出店を開業。
オープンしてからまだ日が浅いにもかかわらず、絶大な人気を獲得している。
『くにまつ神保町店』が提供する麺メニューは、「汁なし担担麺」及びそのバリエーション。
ラー油の辛みこそ本店よりやや控えめだが、痺れを伴う中国山椒の刺激的な辛みは、こちらでも健在。担担ソースの一部を構成する芝麻醤と甜麺醤も、味蕾に触れるや否や、芳醇なうま味で食べ手を虜にする会心の出来映え。
丼の代わりに使い捨ての紙コップを使用することで、神保町にしては驚異的な650円という価格を実現した心意気にも脱帽だ。
紹介しているお店はこちら!
店名:汁なし担担麺くにまつ神保町店
住所:東京都千代田区神田神保町1-22-5
営業時間:10:00~15:00、17:00~20:30(土曜は昼のみ)
定休日:日曜(祝日営業)
公式Twitter:https://twitter.com/kunimatsu_tokyo
【3】「ネオ清湯」を超える「超ネオ清湯」がブレイクの兆し。出汁とタレのバランスが完璧な『Tombo』
2017年は、ラーメンマニアから一般層へと、徐々に人気が浸透してきた、スープが透き通った清湯ラーメンが、更なる進化を遂げた1年だった。
そんな、いわば「超ネオ清湯」を手掛ける店舗の代表格が、本年9月に吉祥寺にオープンした『Tombo』だ。
店主は、実力店『我流旨味ソバ地雷源(現『肉煮干し中華そばさいころ』)の出身。
心掛けているのは、「出汁とタレのバランスを取ること」だという。
看板メニューである「醤油の旨味ソバ」の出汁は、別々の寸胴で鶏と豚から出汁を採り、シイタケ・昆布・サバ・カツオ・宗田節などから採った魚介出汁を合わせたもの。
カエシも、店主の地元・静岡から取り寄せた、再仕込み醤油と濃口醤油に加え、味醂・日本酒を加えるなど、風味付けに徹底的にこだわる。
スープを含めば瞬時に、甘辛いカエシの風味が口いっぱいに拡がる。その直後、重層的なうま味を宿した出汁がカエシを力強く支えるダイナミックな構成。出汁とカエシの双方が食べ手を魅せる武器となる。
紹介しているお店はこちら!
店名:Tombo
住所:東京都武蔵野市吉祥寺南町4-16-12リヒトハイム101
電話番号:0422-77-7590
営業時間:11:30~14:30、17:30~21:00
定休日:水曜
【4】今、「異業種ラーメン」が熱い!他グルメ出身店主の本気を『ふくぼく』で実感
「路地を入れば名店に当たる」。
そんな格言めいた言葉を勝手に創作したくなってしまうほど、ハイレベルな飲食店が路地裏でしのぎを削る神楽坂界隈。本年4月に営業を開始した『澄まし麺ふくぼく』は、夜間は高級日本酒バーとして営業する『蒼穹』が、営業時間を昼間に限ってラーメンを提供する話題店だ。
「年配の方でも安心して毎日食べたくなるラーメンを作ること」をコンセプトに掲げ、本業である日本料理のエッセンスを駆使した1杯を提供。スープoffの「醤油かけ麺」などの完成度も高いが、特に高い人気を誇る定番メニューが、「澄まし麺」。
同メニューは、和食店ならではのノウハウをフルに活かし、上質な昆布と鰹節から出汁を採り、塩のみで味付けを施した、ミニマリズムの極致。
具が別皿に盛り付けられる「かけラーメン」仕様の1杯は、魚介の繊細な風味が口の中で四季のように移ろう。麺とスープのみで完結する小宇宙だ。
紹介しているお店はこちら!
- 澄まし麺 ふくぼく
- そば 都営大江戸線(環状部) 牛込神楽坂駅 A3口 徒歩2分
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【5】「コース」で味わうラーメンが、これからの時代を担う。多種類を少しずつが新鮮な『季織亭』
2017年は、コース料理の一環として提供されるラーメンが話題を呼んだ。
具体的には、同年3月、代々木の地で復活を遂げた、元・経堂の人気店『季織亭』が、懐石料理のコースの一環として3種類の麺料理を提供する、史上初のラーメン懐石「手打ち小麦蕎麦懐石」の提供を開始。
麺料理と麺料理の間には、技巧を凝らしたご飯ものや小鉢などが供される。1杯当たりの麺量も、通常のラーメンの3分の1程度と、「多種多様なメニューを少しずついただく」という懐石のコンセプトを地で行くものだ。
同メニューに採用される素材は、「ラーメンを食べて、健康になってもらいたい」という店主の信念に基づき、店主自身がその人となりを知り尽くした生産者から取り寄せる「小麦」「野菜」「肉」「卵」などに限定。
麺も、もちろん、こだわりの塊。店主自らが石臼で挽いた小麦と全粒粉を使用。かん水ではなく天然の重曹を用いるなど、健康への徹底的な配慮は、麺にも貫かれている。
公式Twitter:https://twitter.com/kioritei
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- 季織亭
- ラーメン 小田急小田原線 代々木八幡駅 南口 徒歩4分
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