こんにちは東京餃子通信編集長の塚田です。

今回ご紹介するのは馬喰町にある中華料理店「帆」。こちらは一見すると普通の街の中華店ですが、浙江省湖州出身のご主人が地元の湖州をはじめそれぞれ本場で修業を重ねてきた、湖州、四川、広東などの本格的な中国料理が楽しめます。

更には発想力豊かなご主人が生み出した創作中華の数々が生み出される知る人ぞ知る中国料理の人気店です。

そんなご主人の創作料理の一つが「餃子」。「餃子が創作料理なの？」と思われる方もいると思いますが、「帆」ではなんと餃子だけのコース料理を創り上げてしまったのです。

その数なんと10種類。

しかも、ナッツが入った餃子や豆腐に包まれた餃子など、10種ともにこれまで味わったことのない餃子のオンパレードです。

それでは湖州、四川、広東そして日本で学んだテクニックとアイデアから生まれた「餃子コース」をご紹介したいと思います。

 

ボリューム満点の前菜盛り合わせからスタート

コースは前菜の盛り合わせから始まります。餃子尽くしのコースですが、コースの頭の部分だけは餃子以外の料理が出てきます。大皿に盛り付けられたのはクラゲに押し豆腐、チャーシュー、蒸し鶏などなど。かなりボリュームがあります。

これらが一つ一つかなり高いレベルの味なのです。

 

さらにもう一品別皿の前菜として海老の上に豚肉餡と塩卵がのった創作料理が出てきます。

塩卵というのは卵を長時間塩水に漬けたもの。卵の中の水分が適度に抜けて黄身の旨味が凝縮される仕組みです。

前菜として並んだ料理はどれもかなり美味しいのですが、この後10種類の餃子が来る予定なので、序盤から飛ばすとゴールまでたどり着けないので注意をしましょう。

 

ホタテ餃子

帽子型に包まれたこちらの餃子はホタテ餃子。

皮の中にはその名の通りホタテが目一杯入っています。

ホタテの風味と甘みをそのまま活かした繊細な味付けの餃子でした。

塩味で素材の風味を生かすのが湖州料理の特徴のようです。

 

白身魚餃子

三角包みで登場するのは魚の餃子。

白身魚のすり身を包み込んだ餃子です。

餡はふわっとした食感で、白身魚の甘みが印象的。

ニラやネギといった香味野菜を使って香りのアクセントをつけているのもポイントです。

 

えびと黄ニラの餃子

ふちを縄状のひだで包み込んだこちらの餃子はえびと黄ニラの餃子。

えびの旨味と甘みそして黄ニラの香りのバランスが絶妙です。

あっさり系の塩味ベースで素材の旨味が十分に生かされています。

 

なずな餃子

春の七草でもお馴染みのなずなが練りこまれた水餃子です。

なずなは通称のぺんぺん草としても良く知られている野草ですが、上海を中心とした中国料理ではかなりポピュラーな食材で、ワンタンの具材などにも使われます。

なずなには、かなりしっかりした風味があるので餃子の具材としても活かすことができます。

 

黒ゴマ餃子

ぷっくりと膨らんだ丸い形の餃子の中に包まれているのが黒ゴマをすりつぶした甘いゴマ餡。

飲茶料理ででてくるスイーツのゴマだんごの中身に似ています。

松の実も入っていて旨味も抜群。

デザートなのか口直しなのか、使い方の議論は分かれますが美味しい餃子です。

 

キムチ餃子

麦穂をイメージした包み型のこちらの餃子はキムチ餃子。

キムチは発酵食なので餃子の具材に使うと辛味維持用に旨味が各段にパワーアップされます。

「帆」のキムチ餃子のキムチは、辛さは控えめなので辛いのが苦手な方でも美味しくいただけると思います。

 

パクチー餃子

丸く包まれたこちらの餃子はパクチー餃子。

最近はパクチーブームということで、餃子の上に大量のパクチーが盛り付けられる餃子を見る機会が増えましたが、こちらのパクチー餃子は餡の中にパクチーが練りこまれています。

同時に大量の干しエビも使われていて東南アジアンテイストの香り高い餃子です。

 

クルミ餃子

UFOのような形の餃子の中に包まれているのはクルミ。

私もナッツを使った餃子は「帆」以外で出会ったことがないかもしれません。

青ネギとクルミというシンプルな具材ですが、独特の食感と香りがとても印象的な餃子です。

ご主人のクリエイティビティの高さを再認識させてもらえる餃子でした。

 

塩卵餃子

薄手の皮でピラミッド型に包んで油でサクッとあげています。この餃子の中身は塩卵。

前菜でえびの上に乗っていたあの塩卵です。

余計な味付けはせずに旨味が凝縮した卵黄と高温でサクサクに揚げられた皮のバランスが絶妙。

こんな揚げ餃子を食べたのは初めてでした。

 

豆腐餃子

餃子コースのトリをつとめるのはこちらの豆腐餃子。

餃子コースの中でも一番人気の餃子です。

この餃子、なんと小麦粉で作る皮の変わりに豆腐で作った皮が使われているのです。

皮の中には蟹の身がたっぷり詰め込まれ、うえからあんかけのかかったかなり贅沢な餃子に仕上がっています。

ふわっとした豆腐の皮と蟹の旨味の絶妙なバランスを楽しんでみてください。

 

番外編：焼餃子＆水餃子

「帆」では創作餃子中心の餃子コースが人気ではあるのですが、実は一般的な焼餃子や水餃子も通常メニューとして提供されています。

焼餃子も水餃子もモチモチ感の強い皮が特徴の餃子で、かなりレベルの高い餃子です。

焼餃子と水餃子はコースに含まれていないのですが追加オーダーも可能なので、餃子コースのついでに是非お試しください。

 

さて、餃子コースの全10種の餃子＋αを一挙ご紹介させてもらいましたがいかがでしょうか？

餃子好きな方にも中華料理好きな方にも満足いただけるコースだと思います。

普段とはちょっと変わった餃子を食べたいという方には特にオススメです。

ちなみに餃子コースは仕込みに手間がかかるためで4人以上で5日以上前の予約が必要になりますのでご注意ください。