私がラーメン食べ歩きを意識して始めたのは意外と遅くて、29歳になった1999年。その前年に行った「新横浜ラーメン博物館」で食べた味に驚かされて、「青春18きっぷ」で冬の京都へ向かいました。
京都駅から歩いて、JRの線路をまたぐ「たかばし」に向かうと、朝から行列ができている店が2軒。それが「新福菜館」と「第一旭」。どちらも好きで、京都に訪問する時にどちらかを食べるのが私のルーティンになりました。どちらも名店ですが、自分のラーメン好きのきっかけになった「新福菜館」に並ぶ機会が多いです。
「中華そば(並)」。豚の出汁をベースに、チャーシューの煮汁を加えた醤油ダレが織りなす漆黒のスープに目を惹かれ、丼の上に漂う独特の匂いに心を奪われる。中太ストレート麺はもちもちの食感で、啜ればスープの旨みが口の中に一気に広がる。
薄切りのチャーシューをスープに馴染ませてから、シャキシャキのモヤシと青ネギと交互に食べると勢いが止まらない。「中華そば」には小盛もあるが、このスープと麺を堪能したくて、いつも並盛を注文してしまいます。
そして、やはりいつも頼んでしまうのが「ヤキメシ」。香ばしい醤油と、しっかり炒められた米が馴染んで、一口目から最後まで美味しく、中華そばのスープと一緒に食べれば独特な味わいが楽しめる。「チャーハン」でも「焼飯」でもない、「新福菜館のヤキメシ」は、ここにしかない逸品。
新福菜館の味を支えていると思うのは、卓上の豆板醤。少し柔らかめなので、中華そばのチャーシューやモヤシに絡めたり、ヤキメシのアクセントとして食べたりするのが、この店ならではの楽しみ方。
最近は東京にもフランチャイズ店を出している新福菜館だが、やはり本店の味はどこか違う印象で、次に京都に行く時にも、きっと食べに行くでしょう。