上京した10数年前、通勤の便利さ等で偶然住み家と決めた中央線沿線。現在までに何度か引っ越しをしているが、いずれも中央線沿線である。というのも、「仕事帰りに飲む」ことが基本の生活には、安くて旨くて、気軽な店が数多ある環境が欠かせない。そういう理想の生活が出来るのが、中央線沿線だからだ。
一番長くお世話になっている店の一つが、JR阿佐ヶ谷駅北口にある鳥久。阿佐ヶ谷駅北口といえば、スターロードを始めとして居酒屋が所狭しと並ぶエリア。その中でも人気の高い焼き鳥店だ。
焼き鳥、つくね、れば(レバー)、心臓など1本130円~。何を食べても旨いが、特に、好きなのは、ればだ。大振りのレバーに、塩をしてレアに焼いたそれは、口にすると、むっちりとした弾力と肌理細やさに魅了される。
塩も旨いが、タレがまた好い。甘ったるくなく、キリっとしたタレで、レバーのコク味をより深く感じさせる味わい。自分なぞ、タレで1本食べて、後で塩でもう一本。一口頬張って、日本酒をツゥと一口やると、なんともいえず幸せになる。
もう一つ忘れてならないのは、「もものから揚げ」。下味をしっかりつけた竜田揚げ風のから揚げで、噛みしめると、もも肉らしい旨みがじゅわりと溢れだす。冷めても旨いもの魅力だ。
ささみ納豆や鳥サラダなど鳥を使った一品料理や、旬の野菜を使った小鉢も好い。また、ビールやサワーの他、日本酒の種類が多いのも嬉しいところだ。
狭いカウンターとテーブルが2卓の小体な店だが、仲の良いご夫婦、それに数年前からご子息の醸し出す雰囲気がとても好い。すっかり人気で易々と入れないのが残念だが、自分の人生に無くてはならない店の一つである。