物事を始める時には、何かキッカケがあるもので、それは本当に人それぞれ。大きな出来事だったり、ほんの些細な事だったり、端からみれば、くだらないような事だったりすることもあります。
「食べ歩きを始めたキッカケは?」
そう尋ねられた時、間違いなく、こちらのお店のこのパンに出会ったからだと思っています。
元々ハマるとオタク的になるタイプの私。今回はそのスイッチ入れちゃった罪深いお店をご紹介しましょう。
「ラ ブティック ドゥ ジョエル・ロブション」。
世界でも有名なシェフ、ジョエル・ロブション氏が監修するブーランジェリーです。都内には恵比寿と六本木にありますが、私が最初に訪れたのは、恵比寿の店舗でした。
品があって、高級感が漂う入口。そしてそこから見えるパンもまた、洗練された上品なお姿です。美味しいという評判をちらっと聞いていたので、一度食べてみたいなあ、と思ってちょっと足を延ばして行ってみました。
入口すぐのところには、看板のバゲット。実家にいた時によく行っていたパン屋さんには、バゲットとバタールの2種類ぐらいしかなかったので、バゲットだけでもこんなに種類があるんだ!とびっくりしたものでした。
そして、パン棚には綺麗に形づくられた、美味しそうなパンたちがいっぱい!それまではあまりパン屋さんを巡ってはいなかったので、パン屋さんというと割と素朴なもの、という認識しかありませんでした。でも、こちらの見目麗しい、ケーキみたいなパンのお姿に、びっくりして、しばし感動してしまったのを覚えています。
どれを買って食べてみようか、と散々悩んだのですが、結局、あまり冒険ができなくて、当時から好きだった「パン オ フロマージュ」というこのチーズのパンを購入。
チーズはたっぷり入っていますが、見た目はよくあるチーズのパン。うちに帰って袋から取り出した時、もうちょっと特徴のある、違ったパンにすればよかったかな?と少し後悔したものです。
高さも普通。とりあえず、チーズのパンなのでリベイクして食べたその瞬間、
な、何コレ?!
衝撃的にウマ過ぎました。
ベースの小麦の味わいがしっかりと感じられるフランスパン生地と、惜しげもないほどたっぷりと入れられたチーズ。でも、そのチーズの量も実は程よい分量で、クドすぎず、物足りなさもなく、まさに生地との黄金比。また、バリッとしたクラストと、ふわっと柔らかなクラムとの食感のコントラストも見事でした。
どこにでもあるチーズのパンですが、こんなにも違うものなのか、と茫然自失。有名シェフ監修というのは伊達ではなかったです。
これをキッカケに、他のパン屋さんのチーズパンを食べ比べてみたくなって、私のパンめぐりが始まりました。
でも、やっぱり、私のベストチーズパンはこちらのパン。先日久しぶりに食べましたが、今をもってなお、変わらず美味しく、あの時の感動そのままでした。
もちろん、こちらのお店は他のパンやサンドイッチもあって、絶対外さない美味しさに出会えます。あちこちのパン屋さんに行きますが、未だに定期的に訪れる数少ないパン屋さんの一つです。これからもきっと変わらず通い続けると思います。
人生変えちゃうぐらいの感動的なパン。そんなパンに出会いに、今日のランチに行ってみてはいかがでしょうか?