冬の京野菜といえば、「海老芋」。
海老芋とにしんを炊いた「いもぼう」は、京都の伝統料理です。
円山公園の中にあるいもぼう平野家本店は、300年続くいもぼうの名店です。
享保の時代、平野権太夫氏が宮様の九州行脚で持ち帰られた唐芋が立派に育ち、その形が海老に似ていることから海老芋と呼ばれるようになりました。
そして、京都で珍重されていた乾燥物の棒鱈を海老芋と抱き合わせ焚き上げるという独特の調理方法を編み出されたのが「いもぼう」です。
数多くの文人や画家にも親しまれ、円山応挙、頼山陽、大雅堂、蓮月尼、富岡鉄斉、川端康成、松本清張などもこのお店に立ち寄られたそうです。
お店に入ると、両側が個室のお座敷になっている廊下が続き、靴を脱いで、あがります。
襖に京都の風景画が描かれた風雅で美しいお座敷のお部屋。
掘りごたつにホットカーペットが敷いてあって、足元も暖かく、ゆっくりと寛げます。
いもぼう御膳(2500円)と月御膳(2500円)を頂きます。
どちらも、いもぼうに胡麻豆腐、ご飯、お吸物、香の物がつきます。
いもぼう御膳についてくる祇園豆腐。
温かいあんかけのかかったお豆腐で、辛子の風味が良いアクセントになっています。
月御膳には、とろろのり巻がつきます。
とろ~りとした舌触りのとろろに海苔の香りがいいですね。
土佐酢であっさりと頂きます。
いもぼうは、京野菜の「海老芋」と北海道産の「棒だら」の炊きあわせ
ホクホクっと柔らかく煮込まれた海老芋に、棒だらの旨みがしみ込んでいて、とっても美味しいんですよ。
厚く面取りした海老芋と、1週間~10日かけて柔らかく戻した棒だらを、丸一日炊きあわせて作っていらっしゃるそうです
海老芋の灰汁が棒だらを柔らかくし、棒だらのコラーゲンがお芋の煮崩れを防ぐという相乗効果もあり、お互いを助けることから、「夫婦炊き」とも呼ばれ、縁起の良い出会いものとしても知られています。
享保の時代から300年伝わる一子相伝の味、冬の京都で、ぜひ一度は召し上がって頂きたい逸品です。