賑やかなな四条河原町から1本北に入った小路に、「汁」という大きな暖簾のかかった趣のある佇まいのお店があります。
昭和7年創業の志る幸は、汁物と京料理が味わえるお店です。
この地はもともと勤王の志士 古高俊太郎邸があった所で、幕末の志士たちが集っていたそうです。
扉を開けると、お店の中央には能舞台を模したカウンターがあり、カウンターを囲むように三条大橋と五条大橋の欄干に見立てた席があります。
汁ものは白味噌、赤味噌、お澄ましの3種類、具材も常時10種類以上から選ぶことができます。
看板メニューの利休辨當(べんとう)(2500円)は茶事の点心にヒントを得て作られたお弁当で、昼も夜も頂くことが出来ます。
漆の器の中に扇型のかやくご飯とお料理が5品並んでいます。
この日は、焼き魚、鶏肉の旨煮、半熟玉子などが入っていて、黄身がトロ~リとした玉子が、特に美味しかったです。
利休辨當には、お豆腐とネギの白味噌のお汁がつきます。
手間暇かけて作られた上品な甘さの白味噌のお味噌汁が、心と体に優しくしみわたり、ホッと癒されます。
店名の「志る幸」は、「汁講」に由来しています。
昔、質素を旨とした時代に、客は各自飯を持ち寄って、会主は汁だけでもてなすという風習があったそうです。
おもてなしの気持ちをただ1杯の汁にこめるという精神を今も大切に守り続けていらっしゃるお店、冬の京都でぜひ立ち寄っていただきたい名店です。