ノンベエの聖地と言われている場所は日本に多数ありますが、下町酒場という括りで考えるならば、立石で間違いないでしょう。
京成押上線の立石駅は、昨今の近代化が進む都内の駅の流れとは別世界で、街の玄関たる駅舎そのものが昭和です。踏切、商店街、トタン屋根のアーケード。八百屋や和菓子店などが元気で、まるで昭和の下町を保存するためにつくられた特区のよう。
活きた昭和の立石には、やはりノンベエの姿がかかせない。駅を降りてすぐの場所に、昼間から灯る赤ちょうちんが多数あり、多くの酒好きが集います。そこで食べられ、飲まれているものは安くて懐かしいものばかり。クラフトビールブームの正反対にある、大人の遊園地。昭和とド大衆酒場をそろそろ覗いてみませんか。
1.「宇ち多゛」 お昼から行列、下町酒場の代表的な店
「宇ち多゛」は、おそらく東京で一番賑わうお店ではないでしょうか。焼きとんともつ刺しという下町らしさ溢れるつまみに、寶の甲類焼酎をぐいぐいと飲むという一種独特なスタイル。
日本中からファンが集うので、平日14時の口開けの時点で長い行列が出来ています。入り口はふたつありますが、列が出来ている方に並びましょう。
・並びながら待ち合わせをしない
・隣のお店の前に列がかからないようにする
・大人数でいかない。
・相席はあたりまえ
など、普段チェーン居酒屋で飲んでいる人からすれば、まるで修行のように感じるかもしれませんが、それでも食べたいもつ焼き・もつ刺し、そして梅割りが待っています。通うほどに好きになり、いずれワイワイと見知らぬ者同士向かい合って飲むのにハマるかも?
常連さんは呪文のように部位・味・焼き具合を注文しますが、初めての人は無理に真似せず、素直に聞くのがベスト。なお、酔っぱらいはお断りです。
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2.「鳥房」 若鶏半身揚げで飲みたい!愛され続けて80年の名物酒場
駅前商店街で長い歴史をもつ鶏肉専門のお肉屋さん「鳥房」。店先でも売っている鶏の素揚げをつまみに飲める酒場を併設しています。古くからの建物を手入れしながら使い続けているので、店内はまるで映画のセットのよう世界。
こちらもアルコールを飲んできた人は入れません。それだけ酔っぱらいが多い街ということですが。
若鶏唐揚(時価)と書いてあるのが鳥房名物の若鶏半身揚げ。ほぼ全員が食べるもので、オーダーをする際も唐揚げは必須と考えておきましょう。注文を聞きに来るお姉さんが呪文のように「630、680、730!」という感じに三桁の数字を伝えてくれるのでそれがその日の価格です。一番安いものでもかなりのボリュームで満腹必須。
首からモモまで鶏のすべての部位を楽しむ半身は、しばらくすると無性に食べたくなるクセになる味です。
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- 鳥房
- 鶏料理 京成押上線 京成立石駅 北口(東) 徒歩1分
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3.「江戸っ子」 関所で食べるつくねにボールは最高だね
大箱ながらいつも満席のもつ焼き「江戸っ子」。コの字カウンターに腰掛けて、最初に食べる串は、やっぱり"てっぽう"でしょう。しっかり噛むほどに美味しく、これまた煮込み同様えぐみは皆無で、ぎゅっと旨味がつまっています。熱いうちにガシガシと食べればお酒がぐんぐんと進みます。みんな飲んでいるのが焼酎ハイボール。下町ならば「ボール」のひとことで通じるもつ焼のベストパートナーです。
琥珀色をしているのが下町の焼酎ハイボールの特長で、甲類焼酎にお店独自のエキスをたらしてそれを強炭酸で割って出来上がり。江戸っ子のボールといえば、やはりレモン風味が強いのが個性かな。甲類は三楽を使っていますが、エキスは秘伝のもの。とにかく食べて飲んでみて、東京の戦後を支えた味に舌鼓を。
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- 江戸っ子
- 居酒屋 京成押上線京成立石駅
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4.「えびすや食堂」 おばあちゃんの家みたい、肉豆腐にキリンラガー
立石の食堂といえば「えびすや食堂」。なんと朝8時30分から通しで夜21時まで営業するノンベエの強い味方です。食堂ですので、定食を食べている人もいますが、多くは焼酎ハイボールや瓶ビールを飲みながら、ポテサラなどをつまんでいるご近所のご隠居さんです。
窓から差し込む午後の穏やかな日差しに照らされたL字カウンターは、まるで夢の世界にいるよう。硬派な酒場が多いので、ゆっくり飲めてほっとできる「えびすや」さんは貴重な休憩場所です。
すき焼き風味で甘さしっかりの肉豆腐にキリンラガーの苦味が相性よく、その他どのつまみも安くて美味しい。知らないともったいない昭和食堂です。
詳しくはこちら
http://syupo.com/archives/1157
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店名:えびすや食堂
住所:東京都葛飾区立石1-15-11
電話番号:非公開
5.「ゑびす」 名物かわはぎ、愛され続け60年の名酒場
肉ばかり続きましたので、ここで少し西へ歩いて四ツ木のほうへ魚が安くて美味しい酒場へ。10分ほど幅広い道を進むと駅ではないのに商店が立ち並ぶ一画があり、そこで創業60年以上続く名酒場「ゑびす」があります。ゑびすという名の酒場は下町に多いので、常連さんたちからは「四ツ木のゑびす」の名で呼ばれています。
店の前の幅広い道は、もともと京成電鉄の前身、京成電気軌道が走っていた跡。昔は駅前酒場だったことが想像できます。
名物は一匹410円で食べられるカワハギや仕入れで変わる鮮度抜群の刺身。300円前後で食べられる焼き魚、煮魚、天ぷらにフライなど種類豊富なメニューも注目です。飲み物は、やっぱり下町らしく焼酎ハイボールで!