「きしめん」というと誰もが思い浮かべるのは名古屋駅新幹線ホームのあのお店。
削り節と醤油が程よく入り混じった香りをブンブンと振りまいて、
思わずゴクリと喉の鳴るひと時をどれだけの方が過ごしたのでしょうか。
しかし「きしめん」は駅のホームだけでは無いのです。
名古屋の麺職人がじっくり作り上げた弩美味い「きしめん」は市内各所にあるのです。
今回は数ある「きしめん」メニューの中でも冷たいきしめん、
「ころきしめん」、「きしめんころ」等と名前の前後に「ころ」の字を付ける冷製のきしめん、
名古屋流の呼び方で、多くの方が略して「ころきし」、「きしころ」と呼んで親しんでいる
オーソドックスな冷製の「きしめん」の美味しくてお勧めのお店を紹介させて頂きます。
1.かめ壽本店@名古屋市中区。美しすぎる琥珀色のお汁の冷たいきしめん。
名古屋を代表する飲み屋街、女子大小路あらためウォーク街に近いうどん屋さん。
1階部分はテーブル席20客程度だが2階席もあるお店である。
お昼時は近隣のサラリーマンで賑う人気店なのです。
<きしころ>
【麺】
少し幅の広めな15mm程度、厚みは標準的な1mm少し(寸法は目測です)
ムチムチ感を楽しめる限界のサイズといって良いところでしょうか。
【汁】
琥珀色で削り節の効いた「冷かけ」タイプでゴクゴク飲める上品なお汁です。
ムロアジを使ったお出汁は名古屋人には嬉しい美味しさであります。
【具】
三つ葉、お揚げさん。
三つ葉の香りが絶品であります。このお汁には不可欠な逸品なのであります。
お揚げに染みたお汁がジュワリとなる瞬間はニッコリしてしまいます。
別皿に天かすと刻みねぎが付いてきます。
【総評】
ムチムチするタッチで滑りあがるきしめん。
お出汁の効いたお汁を飲みつつ三つ葉の香りを楽しみ麺をすするのが○。
後半は蓮華に天かすと刻みねぎを入れお汁に浸します。
丼に天かすを入れないのが私の流儀です。お汁はクリアなままが好きなのです。
天かすが柔らかくなったところズズズッと頂くのであります。
これが美味い。お汁の美味さをより楽しめる方法なのです。
【余談】
こちらのお店。
「きしころ」「ころきし」はメニュー帳に載っていないのです。
ですが、名古屋できしめんの食べられるお店では殆どのお店にあるメニューです。
裏メニューというより当たり前過ぎて態々載せないメニューといっても良いのです。
ちなみに真冬でも「きしころ」は提供していただけます。
紹介している私のブログエントリー
http://ameblo.jp/fmk3776/entry-11868898293.html
紹介しているお店はこちら!
店名:かめ壽 本店
住所:愛知県名古屋市中区栄5-4-1.
電話番号:052-241-0147
営業時間:11:30~22:00 ※土曜・祝日は11:30~20:00
定休日:日曜
2.芳乃家@名古屋市昭和区。幅広きしめんのパイオニアといったらこのお店
名古屋、環状線沿いの桜山にある老舗麺類食堂。
テーブル席6の24客をご夫婦お二人で営まれております。
幅広きしめんのパイオニア的存在のお店なのであります。
<きしめんコロ>
【麺】
なんと言っても弩迫力の幅広きしめん。
8~15mm幅が標準値なのですが、なんと40mm程の超幅広麺(寸法は目測です)
厚みもしっかりとしていてムッチリと咀嚼力を要する麺であります。
【汁】
麺がひたひたになるくらいの量で透明感ある赤褐色のお汁が掛けられています。
きしめんコロと言えば名古屋市内の多くはこのスタイルが一般的である。
東海クラシカルな※(岐阜の麺類王「HASH-ROYAL」氏の造語であり、
名古屋地区の麺類食堂では 伝統的に鰹節よりも ムロ節、鯖節が多く使われ
その特徴ある味わいをいう)お出汁の効いた溜醤油系のコクあるお汁である。
【具】
ほうれん草、蒲鉾、お揚げさんに花かつおがハラリとかかる名古屋きしめんの王道スタイル。
熱いどんぶりに花かつおが乗るとワラワラと生きているかのようで不気味なのだが、
きしめんコロは冷たいので花かつおは踊る事はない。
後半になる程、お汁に鰹節の味をより強く付加してくれて美味しい変化をもたらしてくれる。
【総評】
なんと言っても超弩級な幅広きしめんを楽しめるお店であります。
麺一本をすすりきる事を楽しみとしているいなせな貴兄には挑戦的なきしめんなのだ。
粒状感ある麺肌に赤褐色のお汁を絡ませて、口いっぱいに頬張って頂きたい逸品なのです。
紹介している私のブログエントリー
http://ameblo.jp/fmk3776/entry-11875595262.html
紹介しているお店はこちら!
3.千年ニコ天@名古屋市熱田区。削り節からの上品なお出汁香るお汁がきしめんを美味くする
大通りから離れた住宅街の中、熱田高校の南東にある麺類食堂。
テーブル席、カウンター、座敷席があり30客弱で地域の方々に愛されるお店。
夜は日比野本場で仕入れた新鮮な魚介類とお酒を楽しむ事もできるお店なのだ。
<冷かけきしめん>
【麺】
愛知県産小麦粉「きぬあかり」を超多加水で仕上げた柔らかタッチの麺。
麺幅はその時々によって20~30mmまでと変化させて飽きをこさせず、厚みは箸が透けるほどの極薄仕上げなのです。
【汁】
琥珀色のクリアなお汁は複数の削り節を使用した上品なお出汁に
名古屋唯一の醤油醸造所、帝国醸造の溜醤油の独特な深みある味わいであるフォースを融合させているのです。
【具】
店名を焼印された蒲鉾に水菜が寄り添うように乗っております。
別皿に刻み葱が付いてきます。
天かすは注文すれば付けてくれるのでお好きな方はお願いしましょう。
【総評】
啜り上げるときに唇の上をピロピロ~と滑りあがるタッチが柔らかくって心地よいんです。
ガブガブと飲める本枯れ節の効いたお汁もしみじみと美味く、癖のある溜醤油は名古屋人の魂を揺さぶるのです。
美味かった。ご馳走様!と毎度ながら感謝してしまうのは私だけだろうか。
【余談】
以前は「香露きしめん」と書いて「ころきしめん」というメニュー名でありました。
「ころ」の語源については諸説あるようですが、私が方々で聞いた説を紹介したいと思います。
丸っこくて小さなものに対して「ころころしている」と表現する事がありますよね。
それが転じて「石ころ」「犬ころ」というように「ころ」の字を付けて呼ぶのは皆さん良く知る事と思います。
うどん屋さんの世界では、茹で上げたうどんを一人分づつの塊として、一玉、ふた玉と分けて置いておいたものを、
「ひところ」、「ふたころ」と数える方々がいらっしゃったらしく、
これに冷たいお汁をかけたものを「ころうどん」と呼んでいたのが始まりだとか。
「香露」というのは上手い当て字だと思いますが皆さんどう思われているのでしょう。
紹介している私のブログエントリー
http://ameblo.jp/fmk3776/entry-12134332495.html
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- ニコ天
- うどん 名古屋市営名城線 伝馬町駅 4番口 徒歩17分
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4.かとう@名古屋市中川区。これぞ「ころきし」の王道的スタイル
国道1号、太平通などの大きな幹線道路から少し入った住宅街にあるお店。
テーブル席、座敷席の30客強だが、出前などの配達も行っている昔懐かしい麺類食堂。
名古屋のうどん屋の基本を全て抑えた素敵なお店なのであります。
<ころきしめん>
【麺】
ツルツルピカピカの綺麗な麺肌で表層が透き通っているようなビジュアルであり、
幅10mm強程のムッチムチで弾力の強めな仕上がりである。
【汁】
名古屋人好みの東海クラシカルな※お出汁が効いた赤褐色の濃い目甘めのお汁。
お汁の量は少なめで麺量に対して3分の1くらい。
【具】
蒲鉾、お揚げさん、ほうれん草に刻み海苔。
丼のフチには山葵が付けられており、混ぜ込むのも良し、適量づつ麺に付けて食べるも良しなのです。
【総評】
麺角のツンッと盛り上がったしゅるりとした麺脚のしっかりしたきしめん。
啜り上げるとムッチムチで歯を入れると歯を挟み込むような弾力があり、食べていて楽しい麺である。
お汁が少なめなので丼の下の方から麺を引っ張り出し、山葵を少量づつ付けて啜り込むのが嬉しい食べ方。
お揚げさんを噛むとジュワリとお汁が出て来て、思わず天井を見上げてしまう喜びのひと時を得られます。
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http://ameblo.jp/fmk3776/entry-11912452015.html
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- 手打うどん かとう
- そば 名古屋臨海あおなみ線 南荒子駅 徒歩16分
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5.高砂@名古屋市港区。手打ち職人の作り出す美しいきしめんはここにある。
名古屋港に近い住宅街の中、手打ち職人のいる麺類食堂。
テーブル席と座敷席で30客程の店内には手打ちの製麺室がある。
運が良いと店主が手打ちの業を披露している瞬間に立ちあえる。
<冷たいきしめん>
【麺】
麺幅10mm程度で綺麗に切られた麺は、麺角がツンッと盛り上がっており、
薄く延されて粒状感ある麺肌は匠の技の片鱗を思い知らせて頂ける。
【汁】
クリアなキツネ色で出汁の深みをジンワリ伝えてくれるお汁です。
「冷かけ」スタイルで清涼感満載の仕上がりで美味しく染み入ります。
【具】
ワカメ、蒲鉾、お揚げさんに極薄に削られた花かつおが乗ってきます。
別皿に刻みねぎがあり、卓上には天かすも置いてある。
薬味は自分好みの量で調節して楽しめるという形は嬉しいですね。
【総評】
唇の上を滑りあがるきしめんの心地良さといったら他の麺類には無い儚さがあるように思うのです。
極薄に仕上げられてプチンと切れてしまいそうと思わせておいて、
しっかりとしなやかに力強く啜りあがって口の中に飛び込んでくれるのです。
この滑りは麺角がツンッと盛り上がる現象のあるきしめん程、心地良いのであります。
清涼感ある冷たいきしめんにワカメの海鮮系の味がまた良く合うのです。
【余談】
こちらのお店にも「きしころ」「ころきし」という名のメニューはないのだが、
お店の方にお願いすると作って頂ける。
フロアの女性が厨房に注文を通す時の通し名が「きしめんアイスひとつ~」というのは
冷たぁ~く締められた美味しいきしめんが出てくるのだろうと期待するひと時であります。
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6.みのかま@名古屋市西区。生姜とお汁がピッタリと合う美味しいきしめん。
名古屋の玩具、駄菓子類の問屋街に近い麺類食堂。
一階はテーブル席20客弱で二階にも座席が用意されております。
開店早々に伺っているのが多いのですが、不思議と両隣にくるお客さんは毎回同じ気がする(^^;;。
地元常連さんに愛され、常用されているお客さんのいる美味しいお店なのであります。
<ころきしめん>
【麺】
麺幅8mm程度で厚み2mm弱の王道な標準的きしめんであります(寸法は目測です)
しゅるんとした麺脚で麺角がツンッとなっていて艶やかなのです。
【汁】
名古屋人好みの東海クラシカルな※お出汁が程よく効いていてクリアな赤褐色のお汁。
麺が半分程度浸かるいわゆる「ぶっかけ」スタイルの若干甘味あるお味。
【具】
中央に大根おろしとおろし生姜がチョコンと盛られていて、
お揚げさん、刻みねぎ、蒲鉾、小松菜が四角を囲んでおります。
【総評】
まず始めは大根おろし生姜おろしの影響のないように麺を引っ張り出して頂きます。
麺角がツンッと可愛く盛り上がっていて唇の上を心地よく滑りあがってくれるのです。
表面のふわんとした柔らかな麺に歯を入れるとムニュッと粘ります。
こんなに薄いきしめんでもうどんのようなコシを楽しむ事ができるのです。
後半は大根おろしと生姜おろしを絡めて頂くのですが、生姜がお汁ときしめんにバッチリ合うのです。
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- みのかま
- うどん 名古屋市営鶴舞線 浅間町駅 2番口 徒歩6分
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7.三朝@名古屋市千種区。まったりとタレが絡む手打ち職人の作る激うまきしめんはこのお店。
名古屋市千種区今池の住宅街のまん真ん中にある麺類食堂。
数々の新作メニューを作り出し続けるアイディア豊富な手打ち職人の店主。
テーブル席主体で40客ほどある店内にはアイディアメニューのポップが壁を飾っている
<きしめんころ>
【麺】
麺幅20~30mmほどの幅広仕上げで、麺肌がツルツルピカピカ。
啜り上げるとムッチムチでモッチリとする弾力ある麺であります。
【汁】
麺量の半分ほど入ったタレと呼んで良いような見た目真っ黒なお汁。
白い麺の色を茶色に変えてしまう程なのですが、まったりとして程よくお出汁が効いているのです。
【具】
蒲鉾、お揚げさん、刻み葱に刻み海苔がハラリとかかっております。
別皿には天かすが付いてきます。
【総評】
啜り上げるとビャビャビャビャッ!と幅広きしめん独特な音響で唇の上を滑ります。
見た目に反してまったりとしてほんのり甘味あるお汁はお出汁の風味がタップリ。
ムッチムチの弾力ある麺ですのでしっかりと咀嚼して飲み込むと「美味い」と呟いてしまいます。
生卵をトッピングするともっと感動出来そうな予感がするのが私だけでしょうか?
紹介しているブログはこちら!
http://ameblo.jp/fmk3776/entry-11877688586.html