2016年もいよいよ初夏の候を迎え、ますます過熱する都内のラーメンシーン。
今年の特徴として挙げられるのは、ズバリ3点。
ひとつめは、昨年までに出揃った感のあるラーメンジャンルの「成熟進化」。
鶏白湯や鮮魚系など、もはやお馴染みの感があるラーメンが、更なるブラッシュアップを遂げ、各ジャンルの水準が格段に向上してきている。
ふたつめは、数年前にオープンした人気店の「新たなチャレンジ」。
『ほうきぼし』『けいすけ』『凪』など、そうそうたる人気店が続々と人口集積地に新店をオープンさせ、まさに「食うか食われるか」の熾烈な競争を繰り広げている。
そして、みっつめは、飽和した感がある「油そば」など、オーソドックスなメニューの「原点回帰」。
多様化、分化が進み過ぎた定番ジャンルについて、今一度原点に立ち返り、そのメニューが本来持ち合わせている魅力を再発掘しようとする動きが加速化している。
今回のラーメン特集では、これらのポイントにスポットを当てながら、今、絶対に押さえておくべき新店を5軒、厳選して紹介することとしたい。
【神田】ひと口啜れば、口元ひんやり。生姜ラーメンのニューエイジ『塩生姜らー麺専門店MANNISH』
JR中央線快速、山手線、京浜東北線、メトロ銀座線の結節点に当たり、早い時期から都内有数のラーメン激戦区として名を馳せてきた神田エリア。
そんな神田エリアに、本年3月にオープンした新進気鋭が、こちらの『塩生姜らー麺専門店MANNISH』だ。
スープの味を変えるための触媒としてショウガを用いるのではなく、味を構成する不可欠の要素としてショウガを提供段階からビルトイン。ショウガは風味が強く、よほど巧みに各種素材をさばき切らなければ、食味がショウガ一色で染め抜かれてしまう。
その点、同店の1杯は、ショウガの尖りを丹念にそぎ落とし円みを帯びさせることで、絶妙な塩梅で、鶏の滋養味と共存させることに成功。
水面に投じられた石が描く波紋のように、スープとの接点を起点に同心円状に拡がる塩ダレの上品な甘みが、ショウガの芳香とクロスオーバーする感覚。
この感覚が体験できるのは、現在のところ同店だけだ。
日曜定休、営業時間は11時から15時のみと、相当高いハードルが待ち受けるが、万難を排して足を運ぶ価値がある、稀有な1軒だ。
紹介しているお店はこちら!
店名:塩生姜らー麺専門店MANNISH
住所:東京都千代田区内神田1-9-10 光正ビル別館B1F
電話番号:03-5577-6337
営業時間:11:00~15:00
定休日:日曜
【練馬】鶏白湯の新たな方向性を指し示すザ・羅針盤『博多水炊きらーめん うかんむり』
空前の鶏白湯ブームの到来から、はや3年が経過。
今では、「鶏白湯ラーメン」という存在がすっかり市民権を獲得し、定着した感がある都内ラーメンシーンだが、一方で、スタンダードな存在となったがゆえに、競争が熾烈を極め、他から一歩抜きん出る味を提供することが非常に困難であるのが現状。
そのような状況において本年4月、ついに、鶏白湯ラーメンの新たな方向性を指し示す良店が誕生した。その店の名は、『博多水炊きらーめん うかんむり』だ。
数種類のメニューを提供するが、中でも特におススメしたいのが「鶏つけそば」。
鶏が本来持ち合わせるうま味を等身大の形で描き出したスープは、カエシや香味野菜の風味などによってうま味がデフォルメされた凡百の同種のスープとは、異次元の味わい。「鶏白湯」というジャンルの本来の在り方を改めて考えさせるだけの懐深さを内包する。
三河屋製麺の低加水麺も、寸分の過不足もない絶妙なさじ加減で、スープを口元へと運び込む名脇役。
鶏白湯ラーメンに食傷気味の方にこそ、味わっていただきたい良杯だ。
紹介しているお店はこちら!
店名:博多水炊きらーめん うかんむり
住所:東京都練馬区豊玉北5-8-12
電話番号:03-5999-0252
営業時間:11:00~15:00、17:30~22:00 (日曜・祝日)11:00~15:00、17:00~21:00
定休日:火曜
【田無】むさし野の矜持を脈々と後世へと伝える『油そば5坪』の正統派油そばを是非!
首都圏のラーメン好きの方々にとっては周知の事実かもしれないが、東京むさし野エリアは、通称「汁なし」「まぜそば」で知られる「油そば」揺籃の地。
しかしながら、ここ数年で「油そば」が全国的な認知を得るに至り、残念ながら、流通の過程において「スープOFF=油そば」という安直な概念が拡がってしまったことも否定しがたい事実である。
そのような状況の中、本年1月、揺籃の地にほど近い田無において、正統な「油そば」の歴史を継承すべく、油そば専門店が新たに誕生した。
それが、こちらの『油そば5坪』だ。
大樹が地中に含まれる水分をあらん限りの力で吸い上げるかのごとく、舌蕾が、タレに含まれるうま味、甘味、辛味を無際限に味覚中枢へと伝達。
タレの味わいは、油そばの名店である小金井市の『一平ソバ』を彷彿とさせる惹きの強さを有し、瞬く間に食べ手を魅了。
北の大地、盛岡から直送される中野製麺製の極太麺も、「このタレにして、この麺あり」と、食べ手を深く納得させるだけの説得力を持ち合わせる。
紹介しているお店はこちら!
店名:油そば5坪
住所:東京都西東京市南町5-3-6
電話番号:050-5276-2086
営業時間:11:00~15:00、17:00~21:30
定休日:水曜
【錦糸町】真正面からせめぎ合う塩ダレとスープのうま味が『真鯛らーめん麺魚』の真骨頂
近年、じわじわと勢力を拡張し、首都圏ラーメンシーンにおいて一定のポジションを占めるに至った「鮮魚系ラーメン」。
このジャンルは、作り手の個性に応じて様々なタイプのラーメンが創作される応用範囲の広い分野。これまでも様々なタイプの鮮魚系ラーメンが世に生まれては、ラーメン好きの舌を喜ばせてきた。
しかしながら、鮮魚系ラーメンは、その強烈な個性も相まって、率直に申し上げて「食べ手を選ぶ」ものであったことは否定できないところ。
つまり、好き嫌いが出るという大きな課題を内包していたのだ。そんな鮮魚系の課題を鮮やかに解決してみせたのが、本年オープンした、錦糸町の『真鯛らーめん麺魚』だ。
中でも、フラッグシップメニューとなる「特製真鯛らーめん(清湯)」は、「鯛」という個性が強い素材をフル活用しながらも、素材に振り回されることなく、見事に御し切ったスープが、鮮魚新時代の到来すら予感させる傑物。
同系統のラーメンにありがちな生臭さとは、全くもって無縁。啜るたびに、体感的なうま味が上昇していくサマが肌身で実感できる。
塩ダレとスープとを真正面から拮抗させ、緊張感のある味わいを創り出す手腕にも、惜しみない拍手を送りたい。
紹介しているお店はこちら!
【西麻布】数年の研鑽を経て原点の地に還ってきた『楽観NISHIAZABU GOLD』の1杯に刮目!
今年は、4~5年前にオープンし、人気店としてスターダムに上り詰めた店舗が、更なる高みを求めて「次の一手」を打つ傾向が目立つ年。
より端的に申し上げれば、功成り名を遂げたラーメン店が、その地位をより盤石なものとすべく、ダメ押しをするパターンが実に目につく。
『楽観NISHIAZABU GOLD』も、そのようなラーメン店のひとつだ。
2011年、西麻布の地にオープンした同店。その後、諸事情あって、拠点を立川へと移していたが、本年3月、創業の地に晴れて凱旋。
唯一無二の看板メニューである「琥珀」「特製琥珀」は、5年前のオープン当初に提供されていた同名のメニューと較べ、スープのボディはより分厚く、香味油の芳香はよりビビッドに。
とりわけ、香味油の分量を多めにチューニングしているにもかかわらず、スープのダシ感が寸分も損なわれていない。それどころか、スープに含まれる多岐にわたるうま味を一層際立たせる役割を全うしている点には、ただ脱帽するほかない。
「男子三日会わざれば刮目して見よ。」 そんな故事を地で行く、都内最注目店のひとつだ。
紹介しているお店はこちら!
店名:楽観NISHIAZABU GOLD
住所:港区西麻布1-8-12
電話番号:080-4059-6667
営業時間:11:30~15:00
定休日:日曜・祝日
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