「白河ラーメン」に「喜多方ラーメン」と二大ご当地麺を掲げる福島県はラーメンで全国的にも非常に有名で、県内外からも多くの観光客が訪れ、古くから地元の方々にも愛され続けている老舗銘店が多く存在するのですが、近年では白河ラーメンを代表する「とら食堂」で修行された方々が市外や県外に多く出店されています。その系統だけでも約70軒以上はあるそうです。
また喜多方ラーメンは「坂内」や「源来軒」等がその代表格で、歴史も深いものがあります。また、隣接する宮城県に関してはご当地ラーメンとしての確立は無いにしても、その固定概念に囚われない幅広い多種多様な個性派ラーメンの存在を受け入れられた懐深い土地柄であり、一人あたりのラーメンにかける金額が日本一になった事もあるほど、ラーメン好きな県民気質で、新進気鋭な店舗も多い独自路線をひた走る県です。
今回は、そんな福島県と宮城県の中で最も美味しいオススメのラーメン店を7つご紹介したいと思います。
1.朝ラーの文化が根付く喜多方において朝から至高の一杯が戴ける老舗銘店【福島】
喜多方の歓楽街に位置するこちらのお店は、創業して約50年の歴史がある老舗食堂で、朝は7:30から開店しており朝ラーが戴ける行列必至の超人気店です。メニューは中華そば以外にもカツ丼や親子丼、カレーライスにソースカツ丼等と、食堂らしい品揃えで、メニューに記載しておりませんが、麺類は背脂が多めの「アブラっこく」から少なめの「少なめ」やタレの「しょっぱめ」等、細かくお好みをオーダーをする事が出来ます。
喜多方ラーメンの特徴は、豚骨に鶏ガラと煮干しをベースに平打熟成多加水麺を使用した醤油ラーメンです。こちらの中華そばは、醤油の香りが立ち、鶏ガラ豚骨に煮干しを合わせた少量の背脂が浮く透き通った醤油清湯。キリリとした醤油は背脂により尖った感じが削ぎ落とされた丸みのある輪郭で、動物系由来の甘味と厚みに魚介との絶妙なバランスがとれたスープです。ツルツルとした艶やかで瑞々しい多加水の平打ち縮れ麺は、小麦の風味が非常に豊かでもっちりとしたコシのある歯応え。まさにこのスープにこの麺ありきな位の麺で、結構なボリュームもあります。創業から変わらぬ味を守っていらっしゃるのですが、昔からこれだけ素晴らしいラーメンが存在していた事に脱帽です。
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- あべ食堂
- ラーメン 磐越西線喜多方駅 徒歩20分
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2.祖母から継承した味に進化をつけ、別ブランドにて個性を出すお店【福島】
県外からのお客さんも多く訪問時は軽く30人越えの行列があった超人気店で、行列の待ち時間にストレスを感じさせないお店からの配慮が色々行き届いているのも素晴らしい。平日は緑色の暖簾を掛け通常の営業も、日曜日は黒色の暖簾を掛け「黒はせ川」として限定つけ麺を提供しており、一般的な喜多方ラーメンが豚骨鶏ガラに煮干しを合わせたものがベースですが、こちらのお店は鶏ガラに煮干しを合わせたあっさりとしたベースのスープが特徴です。メニューは醤油・塩・味噌とあり、メンマ・刻み葱・ナルトのみが乗る「醤油かけらーめん」がデフォルトで、そこに一本~三本乗せ(チャーシュー)と背脂の追加を霜降化か紅霜化から選択が出来る、課金制カスタマイズです。
醤油かけらーめん (霜降化・一本乗せ)はベースは鶏ガラに煮干しを合わせた醤油味で、きめ細かい大量の背脂が敷き詰められた燕三条を彷彿させる様なビジュアル。キリリとした醤油に雑味無いビターな煮干しの風味と鶏の旨味に、背脂がコクに深みを寄与し、スープ全体に丸みを持たせております。甘味ある刻み玉葱のシャクシャクとした食感がまた良いアクセントに。ツルツルの艶やかで瑞々しい多加水の平打ち縮れ麺は、風味豊かな小麦の香りでもっちりとした弾力のある歯応えでスープをしっかりと乗せてきます。追加トッピングの一本乗せチャーシューは和ぶたもち豚を使用しておりベーコンっぽい形状なんですが、とろっとろに煮込まれており箸で掴むとホロホロと崩れる位に柔らかくとても美味しいです。一口に喜多方ラーメンと言ってもお店によって個性があるので味わいが異なるのも当然なんですが、あっさりながらも深みある味わいが素晴らしく、行列が出来るのも納得の一杯なんですが、大盛況な為、早仕舞いが多いのでご注意を。
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3.喜多方ラーメンの元祖でもあり、深い歴史のある銘店【福島】
大正後期に中国から日本へやってきた祖父藩欽星氏が開いた屋台が、源来軒の始まりだそうですが、その歴史も深く喜多方ラーメンの元祖でもあるお店です。リニューアルをされた様で外観は綺麗になっており、一見、中華料理店の様な店構えです。ラーメンに使う麺が自家製麺であったり、餃子の皮に餡、全て手作りというこだわりがあります。
ラーメンは、鶏ガラ豚骨に煮干しや野菜を合わせたもので、キリリとした醤油に、仄かに生姜の風味が香る。油分が控え目で野菜の甘味があるあっさりとした味わいですが、コクはしっかりとあり飲み干したくなる程の澄んだ綺麗なスープです。不規則に捻れた多加水の手打ち麺は、やや柔めながらも、もっちりとした独特のコシがある食感で、ツルツルと喉越しも非常に良くスープがしっかりと絡んできます。始まりであるこの一杯から、全国区にまで知れ渡る喜多方ラーメンとしての礎を築きあげた立役者的存在で、元祖を食べる価値は十分にありました。
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4.その高いクオリティーに、そのハイコスパと満足の出来る福島市屈指の行列人気店【福島】
大勝軒系で修行をされたのちに独立開業をされた福島市屈指の人気ラーメン店で、店主は元プロボクサーだったそうです。学生客を中心とした若い方々に支持されている『お魚とお肉のつけ麺』が占有率の高い商品だそうですが、塩も美味いとの情報で今回伺ったお店でした。ちなみにメニューは、塩らぁめん・煮干しそば・コッテリ中華・アッサリ中華に、ガツ盛り系のワシワシと、つけ麺4種に飯物・トッピング類・飲み物とバラエティ溢れる品数です。
キラキラと輝く琥珀色の塩らぁめんは、表層を敷き詰められた鶏油に、鶏のギュッと凝縮された旨味の詰まった出汁と、下支えとなる魚介出汁とが見事に調和されたもの。一口飲むと口いっぱいに鶏の旨味が広がります。貝を忍ばせた塩ダレも丸みがあり、輪切り唐辛子の仄かな辛味が良いアクセントになった鶏の重厚感溢れる美味しいスープです。鼻にふわりと抜ける風味の良い全粒粉入りの自家製麺は、パツンとした張りのあるシコシコとした歯応えで、スープの旨みをしっかりと乗せてきます。具材は、ひね鶏の煮込んだものと、豚肩ロース肉・豚腿肉の3種のチャーシューに、軟骨入りのつみれ・メンマ・輪切り唐辛子・刻み葱・海苔と、豪華なトッピングです。味付け的には、笠岡ラーメンの鶏肉と同じ感じでしっかりとした味付けでコリコリの食感が良く、生姜の効いた軟骨入りのつみれも美味い。クオリティが非常に高くコスパ面も素晴らしい、とても印象に残るお店です。
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5.人類生誕史上最濃スープの鋼鉄系ラーメン!ヘルズキッチン【宮城】
※[編集部追記]こちらのお店は閉店しました。
此方のお店は、市街地から離れている閑静な住宅街に位置するのですが、アクセスが悪い中も多くのファンが訪れる行列必至の超人気ラーメン店です。外観は普通なんですが黒を基調とした店内は、ヘビメタ系のポスターやライブグッズ、タオルやギターや楽器等が大量に飾られており、岡店主のメタル好きが伺えます。メニューは、以前、その名を轟かせたアルティメッ豚骨を封印され、新たな看板メニューとして提供しているアルティメッ鶏白湯を軸に、バイオレンスニボ・OZZY郎(醤油)・PEGE郎(味噌)・煮込背脂ソバ・燕三条系煮干麺・灼熱剃刀麺などとメニュー名もヘビメタDEATH!!
アルティメッ鶏白湯(醤油)はトロミのあるスープで、もみじ・膝・手羽先を60kg使用し、30kgしか回収出来ないという非常にコストの掛かった極上鶏白湯です。鶏の凝縮した旨味がギュッと詰まった丸みある輪郭で、臭みは無くポタージュの様な円やかな口当たりです。小麦の風味が非常に豊かな稲庭中華麺は、喉越しも良くさっくりとした食感で、濃厚なスープをしっかりと持ち上げてくれます。具材は、豚肉チャーシュー・鶏ムネ肉・半熟味玉一個・メンマ・ナルト・刻み葱2種・糸唐辛子です。具材ひとつひとつに丁寧な仕事が施されており、特に鶏ムネ肉が凄く美味しかったです。やはり期待を裏切らない最高の一杯でした。
ブログ:http://kazuakimoichi.shiga-saku.net/e1196710.html
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店名:ヘルズキッチン
6.上品な一杯に、素晴らしいおもてなしの格式あるお店【宮城】
仙台駅東口から直ぐに位置した此方のお店は高級和食店の様な外観で、店内は薄暗くスポット球で照らし出されDJ照明等もあり、大型ディスプレイとインテリアにも凝った内装で、とてもラーメン屋さんとは思えない様な雰囲気です。こちらの店主さんは銘店『渡なべ』@高田馬場の出身のお方で、外観からもそれに通ずるものを感じます。
しおらぁめんは透き通ったキラキラの黄金スープで、海老の香味油により甲殻類フレーバー豊かな、鶏×貝のじんわりと優しい味わいをした清湯塩味。この手は、食べ進むにつれ、風味が飛んでいく傾向が多いのですが、最後までその余韻が変わる事無く美味く戴けます。白肌で低加水の中細麺は小麦の風味も良くパツンと噛むと押し返す弾力があり、スープの旨みをしっかりと乗せてくれます。具材は、バラ肉チャーシュー・メンマ・刻んだ青葱と白葱・糸唐辛子です。このスープ・麺・具材の一体感あるまとめ方が素晴らしいです。食べ終えてお会計を済ませ店舗から外に出ると、スタッフのお姉さんが外に出て来て「ありがとうございます!」と頭を低く下げ、お見送りをしてくれます。なんて気持ちの良い応対なんでしょうか。徹底した社員教育が行き届いている様です。味もさながら店内の雰囲気も良く、応対も丁寧で、素晴らしい新進気鋭なお店です。
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7.今までに出会った事の無い、鶏だけに特化した中華そば【宮城】
最後のトリは仙台市屈指の人気店で、昼営業のみとハードルの高いお店。店主は赤湯の「龍上海」@南陽や、鶏のスペシャリスト「千草」@久慈等の超有名店で腕を磨いた経歴のある方です。鶏だけで作った中華そばは、調理法にあまり手を加えず素材を引き出す事と手仕事を大切にしているこだわりがあります。
中華そばは、鶏脂が表面を敷き詰めギラギラとした黄金色の熱々な純鶏スープで、非常に豊かな鶏の香りが立ち上り、ギュッと凝縮した分厚い鶏の旨味が口いっぱいに広がります。鶏のみで作り上げたシンプルなスープながらも雑味が一切無く、その懐の深さに感動を覚えます。麺は、龍上海謹製で、麺を茹でる前に更に手揉みをひと加えした中太縮れ麺です。ツルツルと滑らかで啜り心地が良くモチモチしたコシの強い弾力で、不規則な縮れがスープをしっかりと持ち上げてくれます。具材は、親鶏のチャーシュー・細切りメンマ・刻み葱です。コリコリと歯応えの強い親鶏は、肉の旨味が濃厚で噛めば噛む程に味が出ます。少し塩気の立つ甘辛メンマも適度な食感で美味しいです。清湯でこれだけ鶏だけに特化したスープに出会えた事に凄く感動しましたし、気付けば飲み干しておりました。