餃子と焼きそばと言えば、みんなが大好きな日本の食卓の定番メニューのひとつですよね。飲食店でもよく口にする機会があると思いますが、実際はサイドメニューとして注文することも多く、ラーメンやカレーなどと比べてお店によっての味の違いをあまり意識せずに食べていることが多いのではないでしょうか?
今回、餃子キュレーターの塚田亮一さんと焼きそばキュレーターの塩崎省吾さんが、老舗中華料理店が数多く軒を連ねる神保町で、各人がお勧めするお店計4店の餃子と焼きそばを食べ歩くというお話を伺い、その食べ歩きにメシコレ編集部も密着してきました。普段私たちが何気なく食べている餃子や焼きそばを、食べ歩きの専門家のお二人はどのような点に注目しながら食べているのでしょうか?
「餃子も焼きそばも麺類ですからねぇ。」と当たり前のように話すお二人との食べ歩きに、期待も高まります!
※中国では小麦粉の生地を使う料理は、生地を細く切るかどうかに関わらず全般的に麺類に分類されるため、餃子も麺類にあたるそうです。
【1軒目:塩崎さん推薦】カリッと焼き上げた麺が魅力のあんかけ焼きそば!創業60年超の老舗「太湖飯店」
まず1店目は、水道橋駅に程近い老舗の中国料理店「太湖飯店」からスタートです。こちらのお店の人気メニューは塩崎さんがお勧めする「五目焼きそば」。ランチタイムに来店されるお客さんの多くは、この五目焼きそばがお目当てなのだとか。
塩崎さん:「こちらのお店の焼きそばの特徴は、麺の片側をカリッと焦げ目ができるまでしっかり焼き上げていて、その麺と餡の絡みが絶妙で美味しいんです。上海のあんかけ焼きそばは両面黄(リャンメンファン)に代表されるように、焦げ目ができるまで麺を焼くスタイルが主流なのですが、こちらのお店のようにしっかり麺を焼いているお店は日本では意外と少なくて、戦前から中国人の留学生が多く住んでいた神保町ならではという感じがしますね。」
塚田さん:「焼き餃子は皮が厚くしっかりしていて、カリカリに焼いていて美味しいです。それに、餃子のひだに深みがあるので、平たく包んでいるものより、ひだの食感が楽しめて面白いですね。」
焼きそばや餃子を味についてはもちろん、グルメ談義はその後、神保町の歴史背景の話にまで発展していきます。気になる方はお二人のブログもぜひチェックしてみてください。
▼このお店についてブログでもっと読む▼
・焼きそばについて(塩崎さん)
http://goo.gl/XCG09T
・餃子について(塚田さん)
http://goo.gl/UlfSY5
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【2軒目:塚田さん推薦】餡が透けるほど超薄皮な焼き餃子!激戦区神保町で長く愛される中華料理店「成光」
2店舗目は、塚田さんがお勧めする中華料理店「成光」です。一見どこにでもありそうな中華料理屋さんなのですが、このお店に塚田さんが入ろうと思ったきっかけは、その「老舗感」。競争が激しい神保町で長くお店を続けていること自体が、美味しいお店の信頼の証ということなのですね。
塚田さん:「こちらのお店の餃子の特徴は、餡が透けて見えるほどの超薄皮で、皮のサクッとした食感を楽しめるところですね。餡に含まれている野菜は比較的形が残っているので、噛み応えがあって美味しいです。」
塩崎さん:「焼きそばは、由緒正しき日本の大衆中華の焼きそばという印象です。餃子と同じように野菜の食感がきちんと残っているので噛み応えがあり、野菜炒めの延長のような感覚で食べられますね。こういう焼きそばは大好きです。麺はかなり細かく切られていて、ここまで短いのは珍しいですね。」
よくよく聞くと、塩崎さんもこちらのお店はその外観から興味を持たれていたとのこと。食べ歩きのスペシャリストは美味しいお店を外観で見分ける嗅覚も研ぎ澄まされているようです。
▼このお店についてブログでもっと読む▼
・餃子について(塚田さん)
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・焼きそばについて(塩崎さん)
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【3軒目:塩崎さん推薦】神保町で最も歴史のある中国料理店でいただく上海風焼きそば「揚子江菜館」
3店目として伺ったのは、明治39年創業で、数多くの中国料理店が立ち並ぶ神保町界隈の中でも最も歴史がある「揚子江菜館」。こちらは塩崎さんのお勧めで伺いましたが、実は塚田さんも餃子を食べに何度も訪れたことがあるそうです。
塩崎さん:「こちらのお店で食べてほしいのは、『上海式焼きそば』。上海式と言っても1店目の太湖飯店とは異なり、麺は細麺で味付けは薄っすらとした醤油系。実はこういった細麺の焼きそばは上海にはほとんどなく、寧波(ネイハー)という地域に由来があるそうです。ただ、日本では寧波という土地はあまり馴染みがないので、距離的に近い上海の名前を取ったのではないかと思います。中でもこの店の上海式焼きそばは独特で、このお店でしか食べられないんですよ。」
塚田さん:「焼き餃子は、皮がずっしり厚めで、餡には生姜がよく利いていてアクセントになっていますね。このお店の餃子の良いところは、14~21時には焼き餃子セットが700円で提供されているところです。神保町の超老舗店で、この値段で餃子を楽しめるのは嬉しいですね。」
ちなみに、こちらのお店は日本で最初に冷やし中華を始めた元祖なのですが、お二人ともまだ冷やし中華を食べたことはないそうです。他のメニューを食べる余裕があればもっと新しいお店を開拓したいという、飽くなき探究心を感じます。
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・焼きそばについて(塩崎さん)
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・餃子について(塚田さん)
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【4軒目:塚田さん推薦】深夜まで営業している駆け込み寺!ザ・日本の美味しい餃子を楽しめる「三幸園」
食べ歩きもついに最後のお店です。最後に訪れたのは、神保町駅のすぐ側にある「三幸園」。お店を訪れたときには22時近くになっていましたが、サラリーマンが多く集まり店内は活気に溢れています。
塚田さん:「こちらのお店では、ぜひ焼き餃子と揚げ餃子を食べてほしいです。焼き餃子は薄皮でパリッと焼き上げた、日本の焼き餃子を実直に体現しているという感じですね。餡はほんのり甘い味付けになっているのも特徴です。また、揚げ餃子を提供されているお店は結構珍しいですね。」
塩崎さん:「焼きそばはボリュームたっぷりでいながら、味は意外とあっさり目の仕上がりなので、お酒のつまみとして丁度いいですね。酢や胡椒やラー油をかけて食べても美味しいと思いますし、野菜も多くヘルシーなので独身男性が仕事帰りに食べて帰るのにも丁度いいのではないでしょうか。」
塚田さんがこのお店をお勧めするもう1つの理由は、深夜2時まで営業をしているというところ。出版社が多い神保町のサラリーマンを遅い時間まで受け入れているこちらのお店は、深夜まで美味しい餃子を食べられる駆け込み寺のような存在なのだそうです。
▼このお店についてブログでもっと読む▼
・焼きそばについて(塩崎さん)
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・餃子について(塚田さん)
http://goo.gl/PmwK1s
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食べ歩くと良くわかる、お店によっての餃子と焼きそばの味の違い
今回1日に4店舗の餃子と焼きそばを食べ比べたことで、普段はあまり意識していなかったお店ごとの味の特徴に気づくことができました。
餃子の場合、皮の厚さやひだの大きさ、餡(お肉が多いか野菜が多いかなど)で食感が大きく変わってきます。特に皮の厚さは、日本人が営む大衆中華は薄皮でパリッと焼き上げるタイプが多い一方で、中国人系の中国料理店は皮が厚くしっかりしている傾向があるようです。元々中国の餃子は水餃子が主流なので、焼き餃子にもそれが影響しているのかもしれません。
一方焼きそばも、麺の焼き加減や餡の種類などバリエーションが多く、お酒のつまみ感覚のものから一品でしっかり楽しめるものまで、幅広い楽しみ方ができますね。
また、餃子と焼きそばで共通していることは、麺で炭水化物、お肉でたんぱく質、野菜でビタミンなどを豊富に取れる「完全食」であること。飲み会でも餃子や焼きそばを頼めば、みんなでシェアできるし、美味しくしっかり栄養が取れるとても頼もしい存在です。
ぜひ皆さんも、餃子や焼きそばを食べるときには、その特徴にも注目しながら味わってみてください。
~今回ご協力いただいたお二人のご紹介~
▼塚田亮一さん(餃子キュレーター)
餃子の記事1000以上のブログ「東京餃子通信」の編集長
・塚田さんのメシコレ記事を読む
https://mecicolle.gnavi.co.jp/curator/tsukadar/
・塚田さんの食べ歩きブログ「東京餃子通信」はこちら
http://goo.gl/SvohnN
▼塩崎省吾さん(焼きそばキュレーター)
全都道府県の焼きそば、500余軒を食べ歩いた焼きそばフリーク
・塩崎さんのメシコレ記事を読む
https://mecicolle.gnavi.co.jp/curator/yakitan/
・塩崎さんの食べ歩きブログ「焼きそば名店探訪録」はこちら
http://goo.gl/33KKZC