月日が過ぎるのは早いもので、今年も9月に差し掛かり、「食欲の秋」が到来。
都内においても、いつの間にか数多くの新店が誕生し、各店主は、自らが理想とする1杯の実現に向けて、日々、腕を磨いている。
今回のレポでは、そんな新店の中から、私が「間違いない」と太鼓判を押せる5軒を厳選し、皆様方の食の充実への一助とさせていただきたい。
都内にお住まいの方々はもちろん、今秋、観光などで都内に足を運ばれる方にとっても、このレポが少しでもお役に立つ機会があれば、無上の喜びである。
『RAIK』の屋号に込められた想い。ラーメンを愛する店主が放つ渾身の創作系
6月28日のオープン以来、着実にラーメン好きの支持を集め、開店からわずか2ヶ月余りで、激戦エリアである杉並区においても指折りの人気店として、確固たる地位を築くに至った。
それが、こちらの『Bonito Soup Noodle RAIK』だ。
屋号のアタマに『Bonito』とあるとおり、「鰹(かつお)』にこだわった1杯を提供。
中でも、看板メニューである「鰹×鶏RAIKらー麺」は、スープを舌先で転がし、まさに飲み干そうとする刹那、ほのかな甘味が茫洋と立ち上がり、食べ手に無上の幸福を約束。
ダシにも徹底的にこだわり、枕崎産の鰹、大山地鶏など、産地を吟味した素材を、針に糸を通すような緻密な計算の下、見事に使いこなす。
「菅野製麺」と相談・調整を積み重ねて開発された特注麺は、国産小麦がブレンドされた、日本蕎麦風の中細ストレート。
質実剛健なたたずまいの内側からほの見える、店主の妥協なきラーメンへの想い。
スープを啜る度に、ひしひしと伝わってくるような気がした。
紹介しているお店はこちら!
店名:Bonito Soup Noodle RAIK
住所:東京都杉並区大宮1-2-3
電話番号:03-6379-1282
営業時間:平日11:30~15:00、17:30~22:00、休日11:30~15:00、17:30~21:00(スープ終了次第閉店)
定休日:月曜
名店『ましこ亭』が繰り出す新たな1打は、味噌ラーメン専門店
本年7月、東武スカイツリーライン竹ノ塚駅前にオープンした、『味噌処 長尾』。
同店は、足立区を代表する実力店のひとつである『ましこ亭』が、一念発起し、ゼロベースから創り上げた味噌ラーメンを提供。
看板メニュー「味噌ラーメン」は、北海道産の赤味噌と大分産の麦味噌を、それぞれ産地から直送。それらを、絶妙なバランスでブレンドした味噌ダレに、高級な海老を用いたダシを合わせたスープが、味の決め手だ。
口の中で際限なく拡がる、味噌の甘味とうま味。海老の華やぎのある香りも、スープのクオリティを一段階上の高みへと押し上げる。
「浅草開化楼」製の、やや硬めの茹で加減に仕上げた太麺も、インパクト抜群!
さりげない風貌を装いつつも、その奥底に無尽蔵のポテンシャルを秘めた傑作だ。
紹介しているお店はこちら!
店名:味噌処 長尾
住所:東京都足立区西竹ノ塚1-12-9 共栄ビル1F
電話番号:03-5838-0262
営業時間:月曜~木曜:11:30~14:00、18:00~24:30、金曜:11:30~14:00、18:00~25:00
土曜:11:00~14:00、18:00~25:30、日曜:11:00~14:00、18:00~21:00
定休日:不定休
浜松町で王道の中華そばを堪能!浅草の名店のDNAを受け継ぐ『中華そば琳久』
立地は、JR浜松町駅から徒歩10分程度と、必ずしも至便ではないものの、本年6月のオープン以来、着実にファンを獲得し続けている新店。
それが、こちらの『中華そば 琳久』だ。
浅草を代表する実力店で修業を積み、この度、晴れて一国一城の主となった店主。
「修業元の味の長所をしっかりと生かしながらも、スープに用いる素材に一工夫を加えることで、オリジナリティのある味に仕上げた」と、胸を張る。
スープを啜ってみればなるほど、切れ味鋭いさっぱりテイストが特徴的な修業元と比べ、スープの風味に厚みがあり、ジューシーかつ惹きの強い1杯に仕上がっていた。
麺量は170グラムと、都内の淡麗ラーメンの中では比較的多めだが、ボリュームを感じさせる暇がないほど絶え間なく、うま味が、食べ手の味覚を刺激する。
ビジュアルこそ、決して華やかとは言いがたいが、食べてもらえれば分かる超絶スペック。
濃厚ラーメンに食傷気味の方にこそ、強くおススメしたい秀作だ。
紹介しているお店はこちら!
店名:中華そば琳久
住所:東京都港区芝1-3‐4 山谷ビル1F
電話番号:03-3453-8898
営業時間:11:30~15:00、17:30~20:30、土曜:11:30~15:00(スープ終了次第閉店)
定休日:日曜・祝日・第1土曜・第3土曜
全国クラスの実力店『一燈』の水準をあまねく継承。『煮干しつけ麺 宮元』の1杯をぜひ一度!
本年4月、ラーメン好きであれば誰もが知る『一燈』から独立した宮元店主が、激戦区蒲田に新店をオープン。
それが、こちらの『煮干しつけ麺 宮元』だ。
オープンから数ヶ月が経過してもなお、途絶えることのない行列の秘訣は、「誰もが親しみを覚える当たり前の味を、当たり前ではない労力をかけて創り上げる」こと。
看板メニューである「極濃煮干しつけ麺」は、啜った瞬間、目が醒めるようなフルボディの煮干しの滋養味が、食べ手を強襲。
ソース状に近くなるまでブリックスを高めたスープは、都内における濃厚タイプのつけ麺として、それほど珍しいものではないが、一滴一滴に凝縮されているうま味の密度が、けた違い。
硬めに茹で上げられた直線的なシルエットの極太麺のたたずまいも優美であり、つい、食べ進めるのが惜しまれてしまうほどだ。
中盛で麺量300グラムという麺量も、過不足なし。
断言できる。これは、間違いなく、2015年に食べておくべき「つけ麺」の代表格だ。
紹介しているお店はこちら!
店名:煮干しつけ麺 宮元
住所:東京都大田区西蒲田7-8-1
電話番号:03-5703-0213
営業時間:11:00~14:30、18:00~21:00
定休日: 水曜
提供のたびに麺生地から麺を切り出す超絶スペック!新星『七彩』の全力をご覧あれ
本年7月、七夕の日に、八丁堀を新たな住処と決めた『麺や七彩』。
もはや、名実ともに東京都におけるカリスマ店舗として認知されている同店だが、今回の試みは、厨房の中で、文字どおり「ゼロから1杯のラーメンを創り出してしまう」ことだ。
注文の度に、かん水・水・塩が入ったボウルに小麦を投入。
丹念に手でこねて麺生地を作り、棒で引き延ばす。
引き延ばした麺生地を製麺機で切り出し、全身の力を込めて手もみする光景には、誰しもが圧倒されるに違いない。
このような過程を経て完成した1杯は、出来立ての手打ち麺の木綿のような食感が、味覚とともに、食べ手の触覚を根底から揺さぶる、究極のハンドメイド。
魚介系素材を駆使して完成に至るスープの出来映えも申し分なく、着丼したら最後、食べ手は、スープの一滴まで飲み干さずにはいられなくなるはずだ。