今春、東京と富山・金沢を2時間半足らずで結ぶ北陸新幹線が開通。
これに伴い、特に、首都圏からの北陸エリアへのアクセスが劇的に向上したことは、言うまでもない。
今回のレポでは、県都「金沢」が新幹線停車駅を擁したことで、首都圏在住者にとって、最大級の注目観光スポットへと躍り出た石川県、そして、石川県からのアクセスが容易で、個性豊かなラーメンが楽しめる福井県にスポットを当て、おススメ店を5軒紹介する。
今年も間もなく、夏休みが到来する。
もし、心に引っ掛かった店舗があれば、行楽の際、新幹線の切符を片手に、ぶらりと足を運んでもらえれば、味の方は、この私が保証しよう。
風光明媚な山裾の街並みとともに味わう『こいしや』のカレーラーメン
屋号は『うどん こいしや』。
どこからどう見ても、うどん屋であることは疑う余地もない。
にもかかわらず、こちらの圧倒的な人気メニューは、ラーメンだ。
中でも「カレーラーメン」は、全国各地で数多くのカレーラーメンを食べてきた私でも、思わず感嘆の声を上げてしまったほどハイレベル。懐かし系カレーラーの真骨頂。
丼から絶え間なく放射される幻惑的な甘味が、鼻腔を心地良く刺激するスープ。
空中で軽やかにタッチを交わす、焦げた小麦と香辛料の薫りが、食欲を無限に増進するカレー。
この両者を、毅然とした存在感を放つストレート麺が、しっかりと繋ぐ。
ひと口箸をつけた瞬間、食べ手は、この1杯が類まれな傑作であることを実感するだろう。
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背脂大国「福井」の底力が堪能できる『塩らーめん専門店麺屋る・ぐー』の塩バター
知る人ぞ知る、背脂チャッチャ系ラーメンの聖地、福井県。
福井市内をはじめ、積極的に背脂を用いるラーメンを提供する店が県内に数多く存在し、率直に申し上げて、同系統間での競争は激烈だと言わざるを得ない。
そのような状況において、圧倒的とでも言うべきスペックの高さを誇るのが、こちらの『塩らーめん専門店麺屋る・ぐー』だ。
中でも、おススメなのが、看板メニューである「塩ラーメン」と、トッピングの「バター」のコラボレーション。
ほのかな甘味を湛えた背脂と、シャープな香味を放つ液状油。
それらの下層に横たわるのは、絶妙な塩梅で塩カドを立たせた、限りなく透明に近いスープ。
このスープに合わせる麺は、男性的な太麺。
スープと麺とが寸分の不足なく自己を主張しつつ、悪目立ちすることもない。
熟練の手に掛かれば、「両雄」が「並び立つ」奇跡があり得ることを、思い知るだろう。
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- 塩らーめん専門店 麺屋 る・ぐー
- ラーメン えちぜん鉄道三国芦原線 日華化学前駅 徒歩18分
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身を委ねてみよう!『くらげが雲になる日』が描き出す唯一無二の世界観
土塀が続く長町の街並みは、城下町金沢のパブリック・イメージを映像として切り出したかのよう。
そんな街並みに溶け込むように佇む『くらげが雲になる日』は、ラーメンを食するときだけでなく、入店から退店するまでの全ての過程を、超一流のエンターテイメントとして訪問者に提示する。
入口からお店に到着するまでに仕掛けられた数々のギミックは、必体験。
店内には、静謐に包まれたレトロモダンな空間が広がり、来客を未知の世界に誘い込む。
画像は、同店絶対不動の看板メニュー「濁」。
海老などの甲殻由来の薫りが優しく鼻腔を包み込むスープは、味噌ベース。
このスープに太縄のような平打ち麺を合わせる。
こともなげに演出される非日常に五感を委ね、全身で、麺とスープの競演を楽しもう。
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- くらげが雲になる日
- ラーメン 北陸鉄道浅野川線 北鉄金沢駅 A-8口 徒歩19分
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横浜『くじら軒』と富良野『とみ川』。偉大な両親から生まれた『客野製麺所』は 生来のサラブレッド
全国的な知名度を誇る、横浜の『くじら軒』と富良野の『とみ川』。
その両店で腕を磨いた店主が営む店舗が、石川県に存在する。
それが、今年で創業7年目に突入した、こちらの『客野製麺所』だ。
基本メニューのひとつである「ラーメン(薄口醤油)」は、コンブのナチュラルなうま味を主軸のひとつとして押し出しつつ、動物系素材と魚介系素材をバランス良く組み合わせたスープが、ひと啜りで食べ手の胃袋を鷲づかみに。
とりわけ、乾物の凝縮されたうま味を縦横無尽に操る手腕は、石川はおろか全国でも屈指の水準。
2種類の北海道産小麦を用いた自家製麺の茹で加減は、やや硬め。
その茹で加減ですら、スープとの相性を考え尽くした、緻密な計算によるものだ。
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敦賀屋台文化を継承する期待のニューウェーブ『赤天(あかてん)』
福井県敦賀市は、北陸エリアはもちろんのこと、全国においても極めて珍しい、屋台ラーメンのメッカ。
JR敦賀駅から直進すること5分程度。
日が落ちると国道8号線沿いに林立する屋台ラーメン店の群れは、その光景を拝むためだけでも、足を運ぶ価値は大いにある。
『池田屋ごんちゃん』はそんな屋台を代表する名店であり、おそらく日本で最も有名な屋台のひとつであることに間違いないが、今回、私が強くおススメしたいのが、こちらの『赤天』だ。
空き地に軽トラックを引き込み、テントを張り、その中で営業する形態は、敦賀の屋台の中でも独特の個性を放つ。
厨房を兼ねた軽トラで生産される「ラーメン」のスープは、豚骨の重厚なコクが野太い支柱を築く、豚骨醤油。
ワンポイントとして添えられた焦がしニンニクが、スープの味わいに複雑なヒダを形成し、中細麺を伝って口元へと運び込まれる。
スープのうま味の奥行きを増幅させる液状油のパフォーマンスも絶妙。
敦賀の屋台の中では新しい部類に属する同店だが、屋台文化を継承する力量は十分。
同店が存在する限り、敦賀の屋台ラーメン文化の未来は明るい。
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店名:赤天
住所:福井県敦賀市本町1-10-18
電話番号:090-3286-3590
営業時間:20:00~26:30
定休日:月・木・日曜