埼玉県浦和と神奈川県川崎。どちらも東京都に近接し、東京23区から公共交通機関で40分程度の時間を見込めば十分お釣りがくる、アクセス至便なエリア。
そんな浦和と川崎に、地元の人たちが「ソウルフード」と胸を張る「地ラーメン」が存在する。「地ラーメン」とは、御当地ラーメンほど認知度は高くないものの、古くからその地域に根付く特色豊かな1杯のことだ。
埼玉の誇り「スタミナラーメン」
JR北浦和駅を降りて歩みを進めると程なく、横丁の細い路地のすき間から、鮮やかな黄色の屋根が見えてくる。
この屋根の主こそが、『娘々北浦和店』。浦和をはじめ、さいたま市、上尾市、桶川市など、埼玉県内に11店舗を展開する『娘娘・漫々亭グループ』の筆頭格だ。
ジューシーな「豚の挽き肉」と、うま味のエキスがしたたる「ニラ・タマネギ」を、甘辛い豆板醤で包み込んだ餡が、小気味よく鶏ガラを利かせた清湯醤油スープの深奥を鋭くえぐる「埼玉スタミナラーメン」。
余分な装飾をそぎ落とし、必要十分なパーツのみを選りすぐるミニマミズムに、流行に翻弄されず地元に寄り添い続けたいという、揺るがぬ決意がほの見える。
(※)画像の店舗及びメニューは娘娘上尾井戸木店のもの
紹介しているお店はこちら!
神奈川の誇り「ニュータンタンメン」
川崎市平間の焼肉店で産声を上げ、同店が提供する人気メニューとして、地域の人たちから暖かく見守られながら育った。
鶏ガラベースの澄み切った塩スープに、ふわふわの「溶き卵」と、「豚の挽き肉」「ニンニク」をかぶせ、「一味」が川面に舞う花吹雪のように浮かぶこの麺料理は、やがて「ニュータンタンメン」と呼ばれるようになった。
辛味一辺倒でなく、辛味、塩・溶き卵の甘味、挽き肉・ニンニクのうま味の3者が仲睦まじく唱和するスープは、他のいかなる担々麺にも代えられない唯一無二の存在。
素材の持ち味をまっすぐに引き出した素直な味わいが、長年にわたって地元から愛され続ける最大の理由だろう。
(※)画像の店舗及びメニューは元祖ニュータンタンメン本舗イソゲン東神奈川店のもの