鶏ガラ、ゲンコツ、魚介、そして香味野菜。
生きていく上で、人間が空気と水を必要とするように、ラーメンのスープを作る上で、これらの食材は定番中の定番、いわゆる「馴染みのメンツ」として親しまれてきた。
ところが今、このスープの世界に、未だかつてない大変革のうねりが押し寄せている。
関東では鶏の代わりに「鴨」、関西では節・煮干しの代わりに「貝」に主役を演じさせる店舗が急増。しかも、東西ともに、これら『新素材系』の店たちが上位人気を独占し始めたのだ!
なかでも、大阪の十三駅に店を構える『くそオヤジ最後のひとふり』は、他の食材に目もくれず、貝一本でダシをとり、「しじみらーめん」「あさりらーめん」「はまぐりらーめん」と、麺メニューに至るまで一切の妥協なく「貝色」に染め抜いた話題店。
とろ火でじっくりと貝を炊き、うま味成分であるコハク酸を限界までしぼり取る。
各種貝類の個性を見極め、「しじみ」なら薄口、「はまぐり」なら濃口、「あさり」なら両者の中間のカエシを合わせたスープは、いずれも醤油味ながら三者三様。
画像の「しじみらーめん」は、麺を足掛かりにスープ中に腰を下ろす「しじみ」の大群が団結し、磯の香りを一斉に放出。
小型貝特有の繊細なうま味が紡ぎ出す気品のあるダシ感が、ひと口ごとに、口内の隅々にまでしっかりと行き届く。うどん用の中力粉で強靭なコシを実現した平打ち麺も、このスープにこの麺ありき。食べれば必ず幸福になれる1杯だ。
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- くそオヤジ最後のひとふり
- ラーメン
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