今回ご紹介するのは、笹塚にある「ペルラヴィータ 十号坂」。笹塚十号坂商店街の入り口すぐにみえる赤い看板の雑貨屋さん、実はその奥には小さなレストランになっているのです。

店内に入るとまずは雑貨売り場があり、かわいい食器やイタリアの食材が販売されています。その奥にカウンター３席、テーブル席が２つのみのスペースの小さなレストランが。以前は洋服店とのことで、調理スペースはとても狭く最小限な設備。そんなキッチンで手際よくお料理を作るのが、こちらのオーナーの内田シェフ。イタリアの星付きレストランで修行経験もあるシェフのお料理は、素材を重視した本格派イタリアン。

ランチもやっているのですが、やはりワインが似合う夜にいっていただきたい。メニューは季節の素材を生かしたものからイタリア定番の料理まであり、一皿1000円前後とお値段もお手頃。夏から秋にかけてのスペシャリテは「フォワグラいちじく」。シンプルながら素材にこだわった一皿は至福の時。ちなみにワインはイタリアやメーカーから直接仕入れているため、グラスで500円〜、ボトルでも3000円前後くらいとかなりリーズナブル。

そしてなんといってもパスタはおすすめ。個人的に感動したのがシチリアの「トラパネーゼ」を参考にしてつくった「ピスタチオソース　パスタ・ブガッティーニ」。ピスタチオとフレッシュトマトをフードプロセッサーでソースにしており、濃厚でありながら酸味がさっぱりとした口当たり。ほんのりカニ味噌のようなニュアンスもあり、奥深い味わいは絶品です。

また季節限定だった「アメリカンチェリーのカッペリーニ」。チェリーの色をそのまま身にまとったカッペリーニはピンクに染まり妖艶なお姿に。その上に切り立ての生ハムがまた色気を誘います。レモンの酸味にチェリーの甘味、そして生ハムの塩味と味のバランスがすばらしく、驚くほどクールな味わい。

そんな料理たちを前にカウンターに座りシェフのお話を聞いていると、ふと授業を受けているような錯覚に陥る瞬間がある。実は内田シェフ、専門学校の講師として次世代の料理人を育てている「先生」でもあるのです。

そんな先生のお料理はとても奥深くそして知的に美味しい。ひとりでふらりと立ち寄り、美味しいお料理をひとりじめ。そんな贅沢な大人の楽しみ方ができる雑貨屋奥にある小さなイタリアンなのでした。