寛ぎと驚きが同居する隠れ家レストラン
年末年始には、特別なレストランで自分へのご褒美、なんてこともしたくなりますよね。
そんな場面での私の選択基準は「居心地の良さ」と「驚き」。我が家のダイニングのように寛げて、そしてちょっと特別な素材や調理法でお料理を出してくれるところがいいなとイメージしながら選びます。
候補の一軒としていつも思い浮かぶのが「Cucina Shige(クッチーナ シゲ)」、駅チカですが、その駅が西大島というかなり渋い立地で隠れ家感もあります。
15席ほどの小さなレストランで、あまり堅苦しくなく美味しいものが食べられます。コストパフォーマンスと料理の質に関しては一定の評価を得ており、それを基準に掲載されている本もあるようです。
世間の評価はともあれ、私にとってはいつ行っても間違いがない頼りになるレストランのひとつ。ここぞという時に使わせていただいています。
パンは常に食卓にあるもの
「Cucina Shige」では、まず最初にパンが登場します。グリッシーニはセッティングの段階から、そして温めた数種のパンが後から追加されます。
他では前菜が出てからパンが出るという方が当たり前かもしれません。でも、イタリアの食卓ではパンは「常に食卓にある」もの、私達日本人にとっての白いご飯と一緒で食事の基本なのです。
このイタリアさながらの提供方法も私には心掴まれる大きなポイントですが、なんといっても手作り感のある出来栄えに魅力を感じるパン達です。
むぎゅっと目の詰まったライ麦入りのパン、もっちりとして風味のいいフォカッチャ、どのお料理と合わせて食べようかと迷う前についつい食べ過ぎてしまいます。
素材の持ち味とシェフのセンスが光る料理
岩手の短角牛を始めとしたこだわりの厳選食材を使用して、季節やイベントに合わせて工夫をこらしたお料理が提供されるので、何度訪問しても飽きることはありません。
引き出しも多いので、手が空いていれば好みに合わせて調理をしてくれることもあります。
私が訪れた日には、アカザエビのいいのが入ったとのことで、冷たい前菜にアカザエビのマリネを出してくださいました。
また、目の前でたっぷりとトリュフを削って下さったシンプルなパスタは鼻を近づけなくても香りが楽しめ、口に含むと口中に広がり、再び鼻に回って、味覚と嗅覚の両面を満足させてくれました。
パフォーマンスから余韻まで楽しめるパスタがメインの前にある、食事を盛り上げる素敵な演出でした。
メインはやはり短角牛。
今回は、濃厚なマルサラソース。夏ならどんな風に出てきたのだろうと、これからの季節、次回の訪問を想像させられている私がいました。
この一瞬だけでなく、次を思い描く楽しみまで付いた料理…長く楽しめるところもコストパフォーマンスの良さのひとつでしょうか。
大勢よりも、近い関係の人とゆっくりと食事を楽しみたいときにおすすめ。訪問の際には、事前の予約をお忘れなく!