おつかれ麺です。オゴポコです。
最近の記事でくどいほど説明していますが、本当のことなので改めて説明します。
いま福岡ではあるジャンルの新店が勃興しています。全国でも福岡にしか存在しないであろうそのジャンルとは・・・
”非豚骨”
『このラーメン、細かいことはよく分からんけど、豚骨ではないことだけは確かだから”非豚骨”でいっか』
『福岡は豚骨の街。だから醤油とか塩とか味噌とかは個性を認めない。あえて言うなら非豚骨だな』
など、無意識であれ、意識的であれ使われるこの単語。豚骨一神教の教義を表す言葉として言い得て妙ですね!私的には2017年福岡ラーメン界流行語大賞をあげたいそう思っています。
とはいえ「非豚骨のお店、そんなに見たことないけど?」という方も多いのではないでしょうか。果たして非豚骨は増えているのか?その目安として、福岡ローカルのTV番組(2017年8月放送)で興味深いデータを目にしました。
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『新規ラーメン店のジャンル 豚骨51% 豚骨以外49%』
(2016年1月~2017年6月まで 福岡県内112軒)
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この数字を見てどういう感想を抱くでしょう。
「非豚骨、意外と多いな!」か、それとも「スマホだったら51%は寡占。やっぱり豚骨帝国だ」でしょうか。
いずれにしても、新規開店数より大事なことは非豚骨の新店が何年続くかということです。続かなければ、それは一過性のものでしかないのですから。
さて今回は注目の”非豚骨”新店の中で、僕が今後を期待する5軒を選んでみましたので、一軒ずつ一緒に見ていくこととしましょう。
1.【地鶏らーめん はや川】”非豚骨”と呼ぶことは罷りならぬ!血統書を携えた醤油のサラブレッド!
「はや川」のオープンは、2017年7月。修行先は、東京・早稲田の名店「らぁ麺 やまぐち」、近年、東京・神奈川を中心に勢力を拡大している”鶏旨味爆発醤油ラーメン(僕が勝手に言ってます)”の一派です。
この一派の特徴は、鶏油に生醤油、鶏ガラスープ、無化調、艶めかしい麺、複数種類のチャーシュー、素材薀蓄アピール等々たくさんあるのですが、「はや川」の非凡な点はデビュー時に既にこの要素を満たしているという点。
写真は看板メニューの「地鶏醤油らーめん」
「やまぐち」と同じ「麺屋 棣鄂」の麺(茹で前150g)は、箸で引き上げると滑り落ちそうなほどぬるっとした感触。スープはバシッと効いた鶏油で旨味を爆発させ、鶏&豚チャーシューで味の違いを楽しむ。あえて言えば「やまぐち」よりやや油が軽い気がしますが、いつの間にか麺と具とスープが無くなっている完成度(これ大事!)。
プロ野球に例えるなら、一年目でいきなり3割30本30盗塁を記録してしまったルーキーのような店。”非豚骨”の壁を打ち破る切り札として期待大です!
紹介しているお店はこちら!
店名:地鶏らーめん はや川
住所:福岡県福岡市南区玉川町11-11-1F
営業時間:11:00~15:00、18:00~21:00
定休日:水
公式Twitter:https://twitter.com/hayaka_wa
2.【鶏白湯そば まつ尾】ラーメンは見た目が9割を体現した泡系鶏白湯煮干!
醤油、塩の2枚看板で人気の「中華そば かなで」が、定休の火曜日を利用して同じ場所でニューブランドをオープン!店名は「鶏白湯そば まつ尾」
ラーメンは「鶏白湯そば」の単品勝負!
一昔前に「人は見た目が9割」というハウツー本が流行りましたが、このラーメンは正に「ラーメンは見た目が9割」を体現した一杯です。
ご覧のとおり、関西発の「泡系ラーメン」を想起させるバブリーな見た目!味は適濃の鶏白湯スープにかなり強めの煮干!しかも小鍋で撹拌しつつ温めているので熱々。メリハリが効いてます。麺は恐らくふすま入りで、パツっと歯切れがよい細麺。
価格帯は福岡にアジャストしつつ、二毛作営業、泡系、鶏白湯+煮干と異文化を取り入れ、ランチタイムは満席キープするほどの人気。本店格の春日市「濃厚とんこつ かなで食堂」も素晴らしい出来ですし、福岡を代表するグループとして動向が見逃せないお店です!
紹介しているお店はこちら!
店名:鶏白湯そば まつ尾
住所:福岡県福岡市博多区東比恵2丁目8−23
営業時間:11:00~15:00
定休日:月、水、木、金、土、日(火曜のみ営業)
公式ブログ:https://ameblo.jp/kanadeshokudousuguten/
3.【汁なし担担麺くにまつ 福岡上川端店】お求めやすく高品質!広島式汁なし担々麺
中国は成都発祥の「汁なし担々麺」、日本では「汁あり」の方が一般的ですが、実はご当地ラーメンとして「汁なし担々麺」が根付く地域があるのです。
それは、広島市。
市内には汁なし担々麺を提供する店が数十軒以上あり、実は福岡にもちょくちょくその波が訪れてはいたのですがあまり目立ったものではありませんでした。そのような状況の中
2017年5月に広島式汁なし担々麺の人気店「くにまつ」が福岡へ出店!
広島式のお店でよく見かける「約20回混ぜてください(※30回のときもある)」というアナウンス通り、指がつりそうになりながらこねくりまわし、かき混ぜて、よっこらせっと持ち上げた麺は箸にのしかかるほどズシッとくる麺量!博多基準では太めの麺、これがもっちりして美味い!
後半は、辣油、花椒、鎮江香酢を投入しての味変化も楽しめる仕様。更に、余裕があれば卓上に置かれた中国醤油、中国胡椒も投入してみましょう。「中国の食べ物には中国の調味料が合う」の名言を残したとする海原雄山も納得のカスタマイズ!
以上、今後に大いに期待したい「くにまつ」には、実は更に良い点がひとつ。それは価格!「くにまつ」の「汁なし担担麺」は580円というお求めやすい価格です!
とかくラーメンの価格にうるさい福岡で、馴染ある価格帯の「非豚骨」 として推移を見守りたいところです。
紹介しているお店はこちら!
店名:汁なし担担麺くにまつ 福岡上川端店
住所:福岡県福岡市博多区上川端2-3
営業時間:11:00~24:00
定休日:不定
4.【肉盛中華そば 初代松山】あーつもり!・・じゃなくて肉盛!のファミリータイプの非豚骨
2017年8月にオープンした当店のコンセプトは肉盛!
「中華そば」「ざるつけ麺」は、それぞれ追加料金で「特製」「肉盛り」のオプションあり。写真はノーマル(海苔は自分で盛り付けてます)ですが、それでも結構な量の肉が入ります。
店のシステムは、食券購入後にレーンに沿って移動し、できあがったラーメンに自分で海苔とネギを入れ、薬味をよそって着席する食堂スタイル。よって、提供のスピードが命なのですが、訪問した日は満席近い盛況につき、急いで作ってはいるものの間に合わず、結局着席して待つこともあり。
※高菜、漬物は無料、100円でご飯食べ放題、しかも生卵一個付き
「中華そば」は、タレ、脂が強いシンプルな味。チャーシューは厚めで3~4枚。"北海道産小麦の中細麺"はややコシが大人しめです。とにかく肉を楽しむが吉。
「つけ麺」は、甘酸仕立ての汁。つけ麺の本場・東京で例えるなら「つけ麺やすべえ」に近い汁。麺は「中華そば」と同じのよう。
店のシステム、メニュー構成など、先日の記事(https://mecicolle.gnavi.co.jp/report/detail/11095/?sc_cid=scl_tw_mecico_1708046)で紹介した「製麺屋慶史 麺ショップ 西月隈」に似通った点が多いことが気になりますが、店内は木材使用の清潔な内装、テーブル席が多く快適!更にボーリング場と共同の駐車場完備!「ファミリータイプの非豚骨」として認知度が上がっていくかもしれません。
紹介しているお店はこちら!
店名:肉盛中華そば 初代松山
住所:福岡県糟屋郡新宮町美咲3-1-10
営業時間:8:00~15:00
定休日:不定
5.【中華そば 寿限無】店内音楽は落語!希少な醤油ラーメン専門店あらわる!
福岡では(塩も味噌もない)醤油ラーメンの専門店、しかも新店となると更に希少だ、というお話を、以前「麺や 佐渡友」の記事(https://mecicolle.gnavi.co.jp/report/detail/10541/)で申し上げた舌の根も乾かぬうちに、またもや醤油ラーメン専門店がオープン!
ラーメンは「醤油らーめん」のみ、他はチャーシュー、味玉、メンマのトッピングのみと潔し(8月時点)。横一列のカウンター6席の前は厨房、衝立もないので間近でラーメンが出来上がっていく様子を見ることができます。
ラーメンは、古き良き東京醤油ラーメン・・・というよりは、近年東京で見かけるオールドスタイルの東京醤油ラーメンを再構築し味を強くした東京ネオクラシックに近いイメージ。とはいえ、油の量が抑えめだからか、完全に”ネオ”というよりは、”ネオとオールド”の間くらいかな?懐かしさを新しさ、人によってはどちらにも取れるいい塩梅です。
チャーシューは食べごたえのある巻きバラ肉、メンマも食感がよくしっかり味が付き美味。トッピングにも手がかかっていることが分かります。一方、麺はややぐむぐむした太麺で、ゴム感強め。
これまで福岡の醤油ラーメンは、福岡に合わせることを意識してか、本場・東京の手法を取り入れた新店は少なかったと思いますが、先に紹介した「地鶏らーめん はや川」しかり、しっかり東京を意識した醤油ラーメンが出てきたことは嬉しい限り。今後の非豚骨の行く末を占う店のひとつと言えます。
紹介しているお店はこちら!
店名:中華そば 寿限無
住所:福岡県福岡市中央区高砂1-18-1 高砂イングビル 1F
営業時間:11:30~15:00、18:00~21:00
定休日:月曜、第2日曜
以上5軒、非豚骨、非豚骨と繰り返しましたが、この言葉が無くなるときが、豚骨鎖国状態の福岡が開国するときだと信じて止みません!