例年よりも新規オープン店舗の数が想像以上に少なめに推移し、私をはじめ、多くのラーメンフリークをヤキモキさせた、2015年第1四半期の首都圏ラーメンシーン。
が、今月(4月)に入って、まるで新年度が始まるのを待っていたかのように、新店が立て続けにオープン。
先月までとは一転、ラーメンフリークがうれしい悲鳴を上げている状況だ。
ということで、皆様方に自信を持っておススメできる「有力」新店の情報が徐々にストックできてきたので、今般、晴れて、選りすぐりの良店を5軒紹介させていただきたい。
つけ麺あり、御当地麺あり、淡麗系あり。フタを開けてみると、随分とバリエーションに富んだラインナップとなった。
ラーメンシーンもいよいよ、本格的な多様化の時代に突入したのかも知れない。
多様化するということは、食べ手にとっては選択肢が増えることと同義。
これまで、好みの1杯にめぐり逢うことができなかった方も、今回御紹介する5軒であれば、御希望に沿えるお店を見つけていただけるのではないかと、密かに期待している。
ジロリアンは、こんなつけ麺の登場を待っていた。二郎系つけ麺の「新・スタンダード」爆誕!
北浦和の『らーめんの店どでん』と言えば、『ラーメン二郎』の直系店に勝るとも劣らない超・ガッツリ系の1杯を提供することで有名。
考えてみれば、そもそも、『どでん』の前身は『富士丸北浦和店』。
その『富士丸』の大元を辿れば、二郎各店の中でも特に個性が強いスープと超・極太麺で名を馳せた『旧ラーメン二郎赤羽店』に行き着くのだから、超・ガッツリ系であることも当たり前と言えるだろう。
そんな『どでん』が、本年4月6日、ついに待望の2号店をオープン。
この2号店こそが、今回御紹介させていただく『つけ麺どでん』だ。
店舗の場所は、JRさいたま新都心駅とJR与野駅の中間地点付近。暖簾の前に陣取る長蛇の列がランドマーク。
提供されるメニューは、現時点では「極・どろつけ麺」と「油そば」のみ。
中でも、看板メニューである「極・どろつけ麺」は、『富士丸』らしさを徹底的に表現した上で、つけ麺らしさをも重視。二郎系つけ麺の歴史に新たな1ページを刻むであろう傑作だ。
注文時に「アブラ」トッピングの有無を指定でき、「アブラあり」を希望すれば、小皿に固形背脂が山のように盛り付けられる点。
「啜る」というより「齧る」という表現がしっくりとハマりそうな、自家製極太麺。
視覚的なインパクトが絶大な、豚の巨大なかたまり。
すべての要素が『二郎』や『富士丸』の在り方と見事に合致しており、スケールダウン感は皆無。
無料トッピングの種類も極めて潤沢で、コストパフォーマンスも絶大。
つけ麺好きはもとより、二郎好きにとっても、是非とも押さえておきたい1杯だ。
紹介しているお店はこちら!
【つけ麺どでん】
住所:埼玉県さいたま市大宮区北袋町1-333 白石ハイツA棟102
電話番号:非公開
営業時間:11:00~14:30、18:00~21:00 (材料切れ次第終了) 不定休
都内の実力店と静岡県の人気店で研鑽。板橋区役所前に淡麗ラーメンの超新星が出現!
以前は、近隣のラーメン激戦区である大山エリアと比較して、店舗の質量ともにやや見劣りする感があった板橋区役所前エリア。
ところが、ここ数年の状況は、そうではない。
ラーメン店の数こそ、まだ大山エリアに若干及ばないものの、2011年にオープンした『つけそば周』を皮切りに、良店が次々とオープン。
今では、少なくとも「質」の面においては、大山エリアに勝るとも劣らないラーメンが堪能できるようになった。
そんな板橋区役所前の地に、今月(4月)1日にオープンしたのが、こちらの『麺屋はちどり』だ。
都内の実力店『麺屋宗』と静岡の人気店『ABE's』で、地道に腕を磨いた店主。
そんな店主の実力の高さは、看板メニューのひとつである「丸鶏ラーメン」に見事に投影されている。
名古屋コーチンの丸鶏を徹底的に煮込んだスープは、ひと口啜った瞬間、鶏の滋養味が身体中を駆けめぐる純鶏100パーセント仕様。
バランスの良さと惹きの強さとが絶妙な塩梅で両立し、気が付けば、最後の1滴まで飲み干してしまうほどだ。
このスープとコンビを組んでいるのが、三河屋製麺製の細麺。
全粒粉の薫り高い上質な麺であり、適度に個を主張しつつも、スープの味を壊さない。
同店の出現によって、板橋区役所前一帯のラーメンシーンは、ますます熱を帯びることだろう。
同エリアの今後の動向から、しばらくは目が離せそうにない。
紹介しているお店はこちら!
【麺屋はちどり】
住所:東京都板橋区板橋3-14-2
電話番号:03-6909-6646
営業時間:11:00~15:00、17:30~21:00 火曜定休
淡麗系の名手が繰り出す新たな1杯からほの見える、ラーメンへの情熱
立川の『楽観』と言えば、都内のラーメンフリークであれば、知らない人はいないであろう超人気店。
立川の1号店はもちろん、武蔵小山の2号店の評判も上々で、飛ぶ鳥を落とすような快進撃が現在進行中だ。
そんな『楽観』の店主がこの度、新たな挑戦に乗り出した。
『楽観』の誕生の地である西麻布からほど近い乃木坂の地に、これまでの『楽観』とは180度コンセプトを異にする新店をオープン。
それが、こちらの『アルス南青山』だ。
ラーメン専門店である『楽観』とは打って変わって、ラーメンのほか、おでん、牛すじ味噌煮込みなど、数々の創作料理を精力的に提供。
ラーメンも、『楽観』で提供している「琥珀」や「パール」とは趣を全く異にした、ど煮干し系。
1杯当たり150グラムもの煮干しを用い、昆布由来の舌に沁み入るようなうま味と呼応させる。
「動物系素材を一切使わないラーメンを一度、創ってみたかった」と笑う店主。
魚介系素材のみで訴求力のある味を構築するのは至難の業だが、こちらの「アルス煮干しらぁめん」のスープは、そんな高いハードルを軽々と乗り越えてみせている。
2011年の『楽観』のオープンから足掛け4年。
皆さんも是非、店主が到達した新たな境地を追体験してもらいたい。
紹介しているお店はこちら!
- アルス南青山 (ars minamiaoyama)
- おだしにこだわったお店 地下鉄千代田線 乃木坂駅 3番出口 徒歩1分
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『中本』に追い付け追い越せ。旨辛系ラーメンの新たな歴史を切り拓く『荒木屋』の1杯
10年ほど前から破竹の勢いで快進撃を続け、今では、辛党のラーメン好きにとって「なくてはならない」存在にまで上り詰めた『蒙古タンメン中本』。
そんな辛味系ラーメン界のガリバー『中本』。
その牙城は当分の間は揺るがないと思っていたが、今月11日に蒲田の地で産声を上げた『元祖旨辛系タンメン荒木屋』が、もしかすると、その牙城に風穴を開けるかも知れない。
同店は、「味噌野菜麺」「味噌麻婆麺」など、幾種類もの辛ウマラーメンを提供。
中でも、基幹メニューのひとつである「味噌麻婆麺」は、うま味密度の高い味噌スープに、辛味とうま味が凝縮された麻婆をたっぷりと載せた、盤石の構成。
このスープと合わせているのが、『中本』でもお馴染みのサッポロ製麺所製の太麺だが、同店では、麺の加水率をより一層高めることで、しっとりと唇にまとわり付くような啜り心地を演出。
一見似ているようで、『中本』とは異なる趣を醸し出すことに成功している。
オープンしてからまだ1ヶ月足らずだが、既に数多くの常連客を獲得し、風格すら漂い始めている同店。
今後、どのような形でオリジナリティを出していくのか。
首都圏ラーメンシーンにおける、要チェック項目のひとつであることに間違いはない。
紹介しているお店はこちら!
【元祖旨辛系タンメン荒木屋】
住所:東京都大田区西蒲田7-63-1
電話番号:非公開
営業時間:11:00~21:00 火曜定休
ついに春日部に白河ラーメンが降臨。名店『とら食堂』譲りの味を心ゆくまで堪能せよ!
今回の記事のトリを飾るのは、こちら。
今年の埼玉ラーメンシーンの台風の目となる可能性を秘めた『白河手打中華そば法隆』だ。
しばらくの間、大型有力店舗がオープンせず、停滞気味の感があった春日部エリア。
この停滞状況を打破するためには、ラーメンフリークが「アッ」と驚くような超絶スペックを有する新店の登場が必要だったが、この『法隆』は、その要件を満たす超大型新人だ。
店主は、福島県白河市の超名店『とら食堂』のご出身。
提供されるメニュー群も、出身元のラインナップを忠実にトレースしており、基本メニューである「中華そば」から、「ワンタン麺」「焼豚麺」に至るまで、本格派の白河系であることを十二分に窺わせるもの。
画像のメニューは「中華そば」だが、過不足なく鶏の滋味が溶け出したスープ、鶏の存在を邪魔しない絶妙な塩梅でチューニングされたカエシなど、要所をしっかりと押さえたつくり。
麺も、太さなどが不均一な青竹手打ち仕様であり、啜り際に麺端がピロっと跳ねる感覚が病み付きになりそう。
白河ラーメンを提供する店は首都圏にも数軒存在するが、こちらの『法隆』が、その中でも上位に位置する店であることに異論をはさむ余地はない。
営業時間は昼のみ。
ハードルが若干高いことは否めないが、万難を排して訪問するだけの価値がある、新人離れした優良店だ。
紹介しているお店はこちら!
【白河手打中華そば法隆】
住所:埼玉県春日部市谷原1-17-55
電話番号:非公開
営業時間:11:00~15:00 月曜定休