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年間実食千杯以上!?ラーメン王山本剛志が語るラーメン潮流
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年間実食千杯以上!?ラーメン王山本剛志が語るラーメン潮流

最終更新日 : 2017/01/18

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カレーやラーメン、パンケーキに大衆酒場など、様々なグルメジャンルに特化して食べ歩きをされている著名ブロガーがキュレーターとなり、選りすぐりのグルメ情報を毎日お届けしている「メシコレ」。今回は、そんなキュレーターの皆さんの食べ歩き事情やグルメトレンドに迫るインタビュー企画第2弾。
TVチャンピオン第6回ラーメン王として知られ、メシコレでも全国各地のラーメン情報を紹介していただいている『ラーマガ』共同責任編集者の山本剛志さんに、ラーメンの食べ歩きを始めたきっかけや、この15年間のラーメンのトレンドについてお伺いしました。

 

ラーメン王達との偶然の出会いから引きこまれたラーメンの世界

●山本さんと言えば、言わずと知れたTVチャンピオン第6回ラーメン王ですけれども、元々はカップラーメンのフタを集めていたことがきっかけだったんですよね?

「そうですね。当時はニフティのパソコン通信の時代で、ひょんなきっかけで仕事の関係上、ニフティのアカウントを作ることになったんですよね。それでパソコン通信を始めてみたんですけど、様々なコレクターの集まりみたいなところがある中で、たまたま友人がいたのが“食品パッケージの部屋”という所で、『これだったら入っていけるかも』と思ったんです。空き缶を集めている有名なコレクターの人とかもいて、でも一人暮らしでこれから空き缶なんか集め始めたら、どうなっちゃうんだろう?と思っていたら(笑)、カップ麺の会議室にTVチャンピオンの『インスタント麺通選手権』で優勝した大山即席斎さんがいらっしゃって、カップ麺だったら何とかなるだろう?と思って始めたんです。珍しいカップ麺を集めたり、新商品の情報を掲示板にアップしたり。僕の場合はたまたま仕事場の近くに大きなコンビニがあって、とりあえずそこで新商品情報を調べてアップしていったんです。

そうしたら大山さんとも仲良くなっていって、ある日、大山さんが自身のカップ麺のコレクションを新横浜のラーメン博物館に展示することになったんで、一緒に行ってくれないかと誘われたんですよね。それで行ったら、新横浜ラーメン博物館の広報をやっていたのがTVチャンピオン第2回ラーメン王の武内伸さんで、それで打合せの後、大山さんと竹内さんと3人でラーメンを食べることになったんですよ。その時食べたのが京都の『新福菜館』と熊本の『こむらさき』の2店だったんです。これが大きなきっかけだったんですよね。おいしかったのももちろんですけど、タイプが全然違うし、自分の通勤路ではこんなラーメン食べたことなかったですから。それで、こういうラーメンを食べ歩いたら面白いんじゃないかと思って、翌年の1999年から700杯を超えるラーメンを食べ始めたんですよね。」

年間実食千杯以上!?ラーメン王山本剛志が語るラーメン潮流

▼こむらさきについての山本さんの記事を読む▼
https://mecicolle.gnavi.co.jp/report/detail/6086/

 

●じゃあ、食べ歩きは偶然の出会いから始まった部分もあったんですね。

「そうですね。実はTVチャンピオンのラーメン王に出演することになったのも、ある意味偶然なんですよね。ラーメンの食べ歩きを始めて、インターネットの掲示板などを見ている中で、ラーメンに関するクイズ大会をやる企画があって。その優勝賞品がTVチャンピオンの出場枠1枠だったんです。面白いからやってみようというので、クイズに挑戦してみたら優勝して、出場することになったんですよね。

実はこの時ってまだ食べ歩きを始めてから1年も経ってない頃で、だからいざ出場して優勝することになったのも偶然と言える部分があるんですよね。一つは大学時代に僕がクイズ研究会に所属していたので、もちろんTVチャンピオンはラーメンについての実力や技量を競う番組なんですけど、クイズに関する知識があれば、ある程度傾向が見えてくるんです。出題者の意図などを探るうちに、食べたことのないラーメンなのに当ててしまったりして(笑)。そういう形で優勝してしまったので、むしろその後のほうが怖かったです。当然、おいしいラーメン店を紹介してくださいとかって言われることは分かっていたので、その時に全然分からないのもマズイし、まだ当時は超有名な老舗のお店でも食べていない所とかがありましたから、恥ずかしいと思って、そこから食べに行くのは結構大変でしたね。」

 

過去最高は年間1221杯!ラーメン王の食べ歩き事情とは!?

●でも、その後の食べた杯数を見ると、すごいですよね。1999年の742杯を皮切りに、翌年の2000年には年間1000杯を超え、2004年には1221杯を食べています。とてつもない数字ですけど、かなり大変だったんじゃないですか?

「そうですね。でも、地方なんかに行くと夢中になりますね。交通費もかかっているので、1~2杯で帰ってきたら、もったいないじゃないですか。初めて大阪に行った時は24時間で16杯食べました。20時に横浜を出て、23時過ぎに新大阪に到着して、そこから難波で深夜までやっているお店を5軒ハシゴして、サウナで仮眠してから朝やっているお店に2軒行って、その後ランチタイムにやっているお店を7軒回って、15時ごろにホテルにチェックインして寝たんですけど、21時頃に目が覚めたんで、そこから更に2軒まわったんですよね。

まあ初めてだったのも大きいんです。大阪にいろいろラーメン店があるよとは聞いていたもののほとんど食べたことがなかったので、割かし移動距離も少ないお店を、次々に食べに行く感じで。ただ、その時16杯目を食べた時は『今日はもうラーメンいいな』って思いました(笑)。もう1軒行きたいところあったんですけど、基本的にはおいしく食べられなくなったら、そこで止めようというのは思っていますね。」

 

ラーメン界のトレンドの変化には、インターネットの普及が大きく関わっていた!

●そうして1999年にラーメンの食べ歩きを始めて、ここまで15年間、その間にラーメン界のトレンドというのは目まぐるしく変わってきたと思うのですが、この15年間のラーメン界の変遷を山本さんはどんな風に見ていますか?

「確かにいろいろな流れというのがあっちこっちにあったと思うんですが、トレンドのひとつとして、東京では、こってり系のラーメンが隆盛を極めてきた時期でもあるんですよね。ここには実はインターネットの普及が深く関わっていて。

例えば、ラーメン二郎というのは元々取材拒否で知られていて、知る人ぞ知るみたいなお店だったのが、ネットが普及したことによって、こんなお店があるんだということが広く知られるようになって、二郎を食べ歩く人の姿も見えるようになったわけですよね。そして、食べてみたら、すごかったというのが更に広がっていくようになった。ここには非常にネット的な特性があって、一つはラーメン二郎のラーメンって画になるんですよね。今ではどんな写真でもすぐに投稿できるので、そうするとガッツリした見た目にもインパクト抜群のラーメンがいいわけです。

あともう一つは、インターネットによって地方にも同じタイミングで伝播するになったというのは大きいと思うんですよね。昔、それぞれの地域でご当地ラーメンがあったというのは、情報をやりとりする術がなかったからなんです。例えば、愛媛に八幡浜ちゃんぽんというのがあるんですけど、これは麺が普通の中華麺で、野菜は乗っていたりするんですけど、スープはいりこ出汁だったりするんです。それは長崎チャンポンを見た人が八幡浜に帰ってきてその話をしたことがきっかけとなり、具は長崎チャンポンにならっているんですけど、麺とスープについては地元のものを使っていて、それが地元の味として定着しているんですよね。でも、今っていうのは写真もネットで見られますし、作り方もある程度共有できちゃうので、そうなると東京で流行っているラーメンの味を全国で一斉に始めることができてしまうんです。だから、ご当地ラーメンの危機じゃないですけど、東京で流行っているラーメンの味が地方でもすぐに味わえる時代になっちゃっているっていうのは、この15年間、非常に大きく変わったことの一つですね。」

 

●やっぱり地方でそれぞれ特色があるわけですよね。

「ご当地ラーメンってよく地方の食文化を反映すると言われますけど、実際にはそれだけじゃなくて、地方の文化を反映しているんですよね。例えば、京都ラーメンっていうのは、京都のあっさりとしたテイストとは違ったこってりしたものが主流となっているわけですけど、その大きな理由の一つは京都に大学が多かったからじゃないか、というのはよく言われるんですよね。若い人は湯豆腐じゃ力が出ないですからね(笑)。若い人のためのこってり味で、地元の人の気取らずに食べている味というのがご当地ラーメンになったと思うんです。

替玉っていうのも発祥は博多・長浜ですけど、よく言われるのは長浜の人たちはすごくせっかちな人が多いというか、魚市場に勤めている人が多いので食べたらすぐにお店を出たいわけです。とにかくすごいスピードが要求されるんで、そのために早く茹で上げるために極細麺になったんです。それで、極細麺だから、たくさん食べたい人は大盛なんかにしてしまうと麺が伸びてしまうわけですよ。だから、発祥の元祖長浜屋というお店のスタイルが独特で、お店に入った瞬間にラーメンの注文は1杯分通っているんです。それで席に着いたらすぐにラーメンが出てくる。というのもメニューは基本的にラーメンのみで、後のメニューは替玉と替肉だけなので、肉を割り増しで食べたい人は替肉を注文するわけです。そういうふうにしてできるだけ早く提供することが最大のサービスとなって、替玉や極細麺の長浜ラーメンというのは生まれたんです。だから麺の硬さを指定したい人は店に入った瞬間に言わなきゃいけないんですよ(笑)。

実は博多ラーメンというのも元々極細麺ではなかったんです。あくまで博多ラーメンと長浜ラーメンというのは別々のものだったんですよね。博多と長浜は電車で行くと20分ぐらい離れていて、東京で言うと上野と新宿ぐらい離れている場所なんです。博多ラーメンは元々平麺だったんですけど、長浜ラーメンが大ブレイクして、博多の地域でも極細麺のスタイルのお店が増えていったんですよね。」

年間実食千杯以上!?ラーメン王山本剛志が語るラーメン潮流

▼山本さんの京都のラーメンについての記事を読む▼
https://mecicolle.gnavi.co.jp/report/detail/6312/

 

トレンドが大きな変わったタイミングは、96年、99年、2011年。

●あと、この15年間というのは、個人の方が個性的なお店を出すというのも一つのトレンドとしてあったと思います。そうした流れというのは山本さんはどう見ていますか?

「そういう文脈では96年組という言葉がよく使われるんですけど、『麺屋武蔵』、『青葉』、『くじら軒』を代表格としながら、それ以外のお店も含めて、よくよく考えると、この年はすごいお店がたくさん開店した年だったと言われているんですよ。『麺屋武蔵』はさんま節などの独自の食材へのこだわりと季節限定メニュー、『青葉』はダブルスープとつけ麺の再興、『くじら軒』は新しい油の使い方とレトロ調の店内、そうした特色があって、それが影響を受けたお店に引き継がれていったんです。あと、他の飲食業界の方がラーメン業界は面白いんじゃないかと思って参入してくるのもありましたし、有名店がこういう味ならウチはこういう味でやろうと、そうやって個性的なお店がオープンするようになったんです。

そうした96年組の影響を受けて出てきたのが99年組ですね。『らーめん天神下大喜』がこの年に出てきて、それから2~3年おきに注目店がオープンしていったんですけど、より大きな流れになったのは2011年なんです。この年は『饗 くろ喜』『ソラノイロ』『牛骨らぁ麺 マタドール』が開店した年で、『蔦』も翌年の1月にオープンしています。こうしたお店が今の新世代のラーメンを牽引している存在となっていますよね。そして、こうした人気店の情報は地方にも伝播していって、元々ラーメンがそれほど盛んではなかった大阪や名古屋のような地域にもラーメンが広がっていくきっかけとなったんですよね。味の傾向としては、やっぱり分かりやすさという点で、こってりが広がっていったんですけど、2000年代以降はそのカウンターとしてのあっさり味を志向するお店が出てくるようになりましたね。

 

●ラーメンはお店の移り変わりも激しいですよね。そうやって色々なお店を食べ歩く中で、特に印象深いお店はありますか?

「それこそ先日亡くなった「大勝軒」の山岸一雄さんはエピソードの塊みたいな方でした。なにせレシピを『dancyu』に載せてしまった人なんてそれまでいなかったですから。だから、訊かれれば教えるし、お弟子さんじゃなくても教えるんですよね。一度、電話で教えたこともあるみたいなんですよね。青森から電話がかかってきて、ラーメンを作りたいんですけど、って言ったら、電話でレシピを教えたというね。山岸さんにはお子さんがいらっしゃらなかったから、自分の味を息子だと思っていて、お弟子さんなどが自分の味を残してくれれば、という思いのあった人なので。そういう美味しいものを食べてほしいと思っている方たちが全国にたくさんいるんで、やっぱりそうして食べている人をあっためてくれるというのがラーメン屋さんの一番楽しいところでもありますよね。

 

年間実食千杯以上!?ラーメン王山本剛志が語るラーメン潮流

ラーメンに関するあらゆることを体系立ててまとめていきたい。

●今後チャレンジしてみたいことはありますか?

「今日話したこともそうですけど、例えば地方のラーメンの歴史をもっと原稿化していきたいというのはありますね。あと、ちょっと今日調べていて面白かったのはラーメン集合施設って、既に閉店してしまったものも含めると、これまで60ぐらいあるんですよね。その歩みをまとめてみたいというのもありますし。あとは、ラーメンが漫画のなかとかで描かれている時に、こういう描かれ方をするようになったんだっていう発見ってあるんですよね。実在するお店が描かれていたり、はたまたまったくのフィクションとして描かれていたり、ある種のテーマ性をもって取り上げられていたり、そういうものも面白いなと思っていて、そうやってラーメンに関するあらゆることを調べてみて体系立てることはやってみたいですよね。日本人の歴史のなかにいろんな場面でラーメンは入り込んでいるんですけど、生活文化ということもあって、あまり資料が残されていないですから。口承で伝わっている部分もあるので、そういうことをまとめていくのが自分の務めなんじゃないかと考えています。

 

いかがでしたでしょうか?ラーメンを長年食べ歩かれた山本さんだからこそ語れるラーメントレンド、改めて振り返ると時代の流れがよくわかりますよね。インタビューを読んで山本さんのことをもっと知りたいと思った方は、ぜひこちらもチェックしてみてください!

▼山本さんの他のメシコレ記事を読む▼
https://mecicolle.gnavi.co.jp/curator/rawota/

▼山本さんのブログ:ラーマガ▼
http://goo.gl/SU0NdU


(撮影協力:チラナイサクラ)

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※本記事は、2015/04/15に公開されています。メシコレで配信している記事は、グルメブロガーの実体験に基づいたコンテンツです。尚、記事の内容は情報の正確性を保証するものではございませんので、最新の情報は直接店舗にご確認ください。

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